元 Basement Boys のメンバーとして活躍し、Crystal Waters、 Ultra Nate 等のヒット作もプロデュース。その後は自身のレーベル Code Red を設立し、現在もハウス・シーンに多大な影響を与えている世界的トップ・プロデューサー / DJ Spen が1年ぶりに日本へやってきた。昨年の Yellow でもみせてくれた、フロア・ライクなハウス・トラックと往年のガラージ・クラシック、ディスコ作品などを織り交ぜた彼ならではのスタイルは今回も健在。日本のハウス・ラバーズの期待を全く裏切らない素晴らしいプレイを披露してくれた彼に HigherFrequency がインタビューを決行。自身のバック・グラウンドや Code Red とも親交深い Defected との関係、日本に対する思いなどを訊くことに成功した。
> Interview : Ryo Tsutsui (HigherFrequency) _ Translation : Len Iima (HigherFrequency) _ Introduction : Masanori Matsuo (HigherFrequency)
HigherFrequency (HRFQ) : 今はどちらにお住まいですか?
DJ Spen : 僕はボルチモアに住んでいる。ニューヨークからそれほど遠くない場所だよ。
あなたは自分が住んでいる場所が自分の音楽に影響を与えていると思いますか?
DJ Spen : うん、すごくそう思うよ。自分の歴史を振り返るとそれがすごくよくわかる。80年代初頭、80年代中盤、90年代アメリカではハウスがすごく大きなムーブメントになったんだけど、70年代にまだディスコといわれていた時期でもプレイされていたのはハウスミュージックだった。そういったハウスの土壌というのは僕に大きな影響を与えたよ。僕が始めてきちんとしたサウンドシステムを備えたディスコに行ったとき、とても感動したのも覚えている。そういった経験はアメリカや自分の住んでいた場所だったから体験できたことも多いし、そうでなかったら僕の音楽ももっと違うものになっていたと思うよ。
HRFQ : あなたは初期のころは NUMARX というユニットで Hip-Hop を制作されていましたが、何がきっかけでハウスミュージックへと移行されたんですか?
DJ Spen : 90年代初期の頃、Hip-Hop が2度目の大きな変革期を迎えていた頃、Puff Daddy や Biggie Small, N.W.A. などが出てきて、音楽のメッセージが変質したように感じたんだ。ストリートな感覚を持ったシリアスなものか、SEX やドラッグや何人の女の子を獲得できるかといったものという感じで、Run DMC などがいた時期、僕はセカンドフェーズと呼んでるんだけど、とは違ってきてしまった。当時もシリアスな問題はいろいろある時期だったけど、基本的に楽しいものだったからね。その頃は Hip-Hop はネガティブではなかったし、そもそも本当にネガティブなメッセージを描くということもしなかった。そういった変化を感じてそろそろ違ったことをやる時期なんじゃないかと考えたのさ。それに僕は13歳から Hip-Hop を始めたこともあって、20、21ぐらいになったときに自然と変化した部分もある。ひょっとするとその理由が最も大きな理由かもしれないな。
HRFQ : レーベルDefected との関係はどのようにして始まったんですか?
DJ Spen : 僕がまだ Basement Boys にいた頃、 Defected のオーナーの Simon Dunmore から仕事を依頼されて関係が始まったんだ。確か90年代中盤ぐらいの時期だったかな?その後はロンドンにいく度に必ず会いにいって、忘れられないように努めたんだ。その後僕が Basement Boys を抜けたときも最初に音楽を続けるように励ましてくれたのも彼だった。特にその頃は違法ダウンロードの影響で音楽業界全体が下り坂になっていた時期で、多くの人が自分の仕事がなくなるんじゃないかって恐れていたけど、 Simon はしっかりと自分のやっていることをやり続けたんだ。彼はすごく頭も良くて、音楽に対する情熱もすごいし、彼が音楽の世界に居続けてくれてよかったと感じているよ。それに彼のことを知れば知るほど彼のやっていることを理解するようになったし、感謝もするようになったんだ。
HRFQ : 以前に Yellow であなたのプレイを聴いたときにあなたがクラシックなハウスの楽曲に対してすごく愛情を持たれているように感じましたが、最近の曲よりも昔の曲の方が好きですか?
DJ Spen : んー、それはいい質問だね。正直言うと今の曲より、昔の曲の方が好きかもしれない。昔の曲には今作られている楽曲の元となっているようなものがあるからね。今の楽曲にオリジナルなものがないという意味ではないんだ。実際今でもたまにオリジナルな作品はあるし、新しい音像の楽曲もでているけど、初期のころの Kerri Chandler の楽曲や Master at Work の楽曲の中にはまったく新しいような本当にすごい楽曲があったからね。それにそういった90年代中期のレコードには今聴いても本当に音がいいものが多いんだ。その頃の音や手法は今も盛んに使われているし、自分でも昔どうやってあの音を作ったかななんて考えるときもあるんだ。だけどそれはいいことで自分もエンジニアやプロデューサーとしてとても成長したから、昔の自分の音をどうやって出していたのかを探ることができるし、それを元にまったく違うものに作り変えることもできるようになったから。昔のものをヒントにすることで新しいもののクオリティを上げることはすごくいいことだと思うし、自分もそういったことができるようになったことはすごくうれしいと感じているよ。
HRFQ : 以前に Richie Hawtin のチャートにあなたのリミックス作品 DJ Oji // Tha Afronauts (Dj Spen Remix) が入っていたことがありますが、自分とはまた違ったタイプのDJからそういったサポートを受けることに対してどのようにお感じになられますか?
DJ Spen : 僕は常に色々なことにチャレンジしていて、一つのレコードを作ったら、前のことは忘れてすぐにまた次のことに取り掛かるといった感じなんだ。でもそういう風にサポートしてもらえたことはすごくいい気分だよ。
HRFQ : あなたは以前に自身の myspaceページで AIR での写真を掲載されていますが、AIR に対してはどのような感想を持たれていますか?
DJ Spen : あの夜のパーティはすごくいいパーティだったし、あの写真はその感じを良くとらえているよね。僕は日本に来るときはまるで地元でDJしているように感じることができるんだ。 僕は色々なところでインタビューを受けて世界中で一番行くのが好きな国と聞かれたら必ず日本って答えるんだ!なぜなら日本のクラウドは自分があげたものは必ず返してくれるし、すごく音楽を尊重してくれるから何をかけてもとてもいい反応を返してくれるから、すごくすごく古いものをかけることもできるし、新しいものをかけることもできる。なんでも自由にミックスできてすばらしいよ。日本は僕にとって特別なところさ。特にAIRはそうだね。今目の前には木製のまるでハンドメイドみたいなスピーカーがあるし、こんなスピーカー地元じゃ見たこともないからね。ここでしかこんなものにはお目にかかれないんじゃないかな。この辺からもこのクラブが音にとても気を使っているってことがわかるよ。
HRFQ : それでは日本のファンに一言メッセージをお願いします。
DJ Spen : とにかく大事なのは自分が本当にしたいと思うことを実行すること、自分の心に従うことだと思うよ。それは何だっていいんだ。どんなに大変だっていいのさ。自分の夢を追っていたら絶対にすごく難しいことってあると思うけど、頑張れば頑張るほど目的に近づけるし、一度目標に近づくことができたら世界中で他にそれほどすばらしい場所はないから、だから僕はこんなに長く音楽を続けてこれたんだ。 I love House!
End of the interview
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関連リンク
DJ Spen Official Site
Defected Official Site
DJ Spen Myspace page
AIR Official Site