HigherFrequency  DJインタビュー

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Danny Rampling Interview

Nicky Holloway、Paul Oakenfold、Johnny Walker、それにDanny Rampling…1987年の夏、もしこの4人の若者達がイビサ島でバカンスを過ごす計画を立てていなければ、ひょっとすると今のダンスミュージック・シーンは全く違った進化を遂げていたかもしれない。元々ヒッピーのカルチャーが根付いていたこの島で、この地域特有の快楽主義的な思想に触れる事で大いに感化された4人は、その考え方をイギリスに持ち帰り、セカンドサマー・オブ・ラブという一大ムーブメントをイギリス中に巻き起こす事に成功する…。

繰り返し語られてきた、このクラブカルチャー創世記の逸話に登場する4人の主人公のうちの一人であり、その後のシーン隆盛にとって欠かせない存在となっていったDanny Ramplingが、5月に行われたPete Tongとのダブルヘッダー公演から約5ヶ月という短いインターバルで、9月25日、再び東京のageHaに登場する事が決定した。

この来日に先駆け、HigherFrequencyでは、イギリスにおいてDannyとのインタビューに成功。日本のクラブシーンについての思いや、伝説のイビサ体験などについて話を聞いた。

> Interview : Matt Cheetham (Samurai.fm) / Translation : Kei Tajima (HigherFrequency) _ Introduction : H.Nakamura (HigherFrequency)

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HigherFrequency (HRFQ) : 2004年も半分以上過ぎましたが、今年はどんな年ですか?

Danny Rampling : 今年は本当に素晴らしいことばかり起こってるよ。文句なしにベストな年だね。信じられないくらいだ。今年一番の出来事は、息子が生まれたこと。Claudioって言うんだけど…彼は僕とワイフの人生に信じられないくらい大きな喜びと愛情を運んでくれたんだ。

HRFQ : 音楽面での一番の出来事はなんでしたか?

Danny : やっぱりこのあいだの日曜日(8月15日)イビザのSpaceのテラスでプレイしたことだね。何より雰囲気が素晴らしかったし、クラウドとの一体感もすごかった。僕にとって今年一番のギグだったと思うし、去年と比べても良かったね。2〜3千人のクラウドがテラスにいて、僕のミックスにもマジックを感じられたし。とにかく、あの雰囲気は最高だったよ。

HRFQ : 今までのあなたの作品やコンピレーションの中で、あなたが一番気に入っているリリースは何ですか?

Danny : 自分の作品の中では、'How Good Your Love Is'かな。DefectedのDave Leaと2、3年前にやったコラボレーション・ワークなんだけどね。あと、コンピレーションに関して言うと、すべて気に入ってるけど、ひとつだけ選ぶとすれば'Decade of Dance'かな。僕が10年来プレイしてきたすべての楽曲が、きれいにCD2枚組みでパッケージにされていて、僕自身も関わって来たハウス・シーン隆盛の歴史や、僕の音楽的ルーツがたくさん詰め込まれている作品なんだ。

HRFQ : 何年にも渡って、ものすごい数の作品をリリースして来られましたよね。今までにレーベルを立ち上げることは考えられなかったのですか?もし立ち上げようとしたなら、なぜそれは実現しなかったのでしょう?

Danny : なぜって、パーティーするので忙しかったからだよ!いつも世界中を飛び回っていたし、しかもラジオの番組も担当していたし。それに、あまりビジネス的な精神も働かなかったからね。実は、何年か前に、Ministry of Soundからコンサルタントを受ける形で、彼らと一緒にTimexxxっていうレーベルを立ち上げた事があったんだけど、Ministry側の都合で、可能性のないレーベルは全て削ってしまおうって事になっしまって、そのレーベルはすぐに終わってしまったんだ。それが僕の短いレーベル・オーナーとしての経験になるかな。でも、現在のマーケット状況を見ると、あまりダンス・ミュージック・レーベルのオーナーにはなりたいとは思わないね。最近では状況はまた良くなってきてるみたいだし、レコード・セールスも伸びてきてるとは思うけど、やっぱりレーベルを持つとなると大変だし…。まぁ、少なくとも僕のやりたいことじゃないね。

HRFQ : あなたがKISS FMで始めたダンス・ミュージック初のラジオ番組は、後にBBC Radio 1を通じて世界に広められていくことになりましたね。またこういったラジオ番組をやってみたいと思いますか?

Danny : 僕がRadio1を辞めて2、3年が経つんだけど、その間ずっとラジオ番組はお休みにしてきたんだ。でも、おかげで世界中をツアーして回れるし、これからは、自分の名前を世界的にも広めていくためにも、もっとブッキングに力を入れていこうと思っているから、ちょうど良かったのかもしれない。でも、将来的には、いいオファーといいラジオ局があれば、また番組を持っても良いかなぁと思ってるんだ。ラジオ自体は好きだし、しかも僕のやっていた番組には、いつも小さなインディ系のダンス・レーベルからたくさんの新譜が送られてきて、それを番組の中で紹介することで、実際に彼らのレコード・セールスをアップさせる役割も担っていたりしていたから、とても楽しい仕事だったんだよね。あと、僕自身で言うと、最近はよくGLR (Greater London Radio, www.bbc.co.uk/london/insideldn/radio)を聴いているかな。車を持ってないから、じっくりとラジオを聴くチャンスはなかなかないんだけど、時間のある時は、たいてい日曜の夜にNorman JayがGLRでやっている番組を聴くようにしているよ。

Danny Rampling Interview

HRFQ : 2002年に番組を降板してから、頻繁に世界中をツアーで回っていられるのですが、その中でもどこでプレイするのが一番楽しいですか?

Danny : イタリアが大好きだね。あそこでは、すべての音楽シーンがきちんと根付いていて、クラウド達もシーンのルーツに対する理解を持ちながら、常に新しい音楽をサポートしていこうという姿勢を持っているんだ。クラブも活気で溢れているし、なによりイタリアの文化自体も大好きだからね。クラブ・シーン以外の部分でも本当に美しいものが多くて、訪れるたびにインスパイアされて、新しいアイデアが浮かんで来るような所だと思うよ。

HRFQ : 日本と日本のダンス・ミュージック・シーンに対する印象はどのようなものでしたか?

Danny : 日本のリスナーは、とても細かいところにまでこだわって聴いていると思う。それに、音楽に対する理解もしっかりしているし、素晴らしいレコード・ストアもたくさんあって、ダンス・ミュージックに対する情熱で溢れている国という印象があるね。あと、日本はアメリカのシーンと強いつながりがあって、ハウス・ミュージックを作り上げて来たアメリカのDJやプロデューサーに対するリスペクトも強いものを持っているでしょ。だから、日本でプレイするのは(イギリス人の僕にとって)とてもいい経験なんだ。今度(9月25日)、ageHaでプレイする事になっているんだけど、それにしてもあそこのDJブースはすごいよね。広いし、テクノロジーも進んでるし。本当に素晴らしいDJブースだと思う。ageHaでは2、3ヶ月前にプレイしたばかりなんだけど、また呼ばれたってことは、いい印象を残せたってことなのかもね。でも、とにかくageHaのサウンド・システムは本当に素晴らしい。世界中の他のすべてのクラブもアレ位のサウンド・システムを持つべきだと思うよ。

HRFQ : 今年もまた、イビサでたくさんのパーティーにゲスト出演されているわけですが、イビサで一番好きなパーティーは何ですか?

Danny : Pachaでプレイするのはいつも楽しいね。7月にDavid Moralesと一緒にDefmix nightでプレイしたんだけど、とても楽しかったよ。でも本当に盛り上がったギグという意味では、Spaceでのプレイだったかな。あと、クラブって言う点では、El Divinio,やPrivilege、Es Paradis、 Edenなど、イビザにある全てのクラブでプレイしてきたけど、やっぱり一番なのはPachaだね。クラブのデザインもクラウドの雰囲気も、いかにも"イビザ"って感じがするんだ。

HRFQ : あなたがイビザを訪れた事がきっかけで、現代のダンス・ミュージックのイメージは大きく変わったとよく言われていますが、初めてイビザを訪れたことは覚えていますか?

Danny : もちろんだよ、昨日のことのようにくっきりとね。イビザに行ったことで僕の人生は大きく変わることになったし、その意味で、あそこで過ごした1週間は、僕にとって絶対に忘れる事が出来ないものなんだ。しかも、そこで僕が得た経験が、イギリスのダンス・ミュージック・シーンを築き上げるのに大きく貢献し、最終的にはそのイギリスのダンス・ミュージックが世界中に広まることによって、全世界的にも影響を与えることになったわけでしょ。だから、息子が産まれたことと、父親になったことを除いて、イビサを訪れた事は、自分の人生の中でもっとも素晴らしい瞬間だったと思うよ。

で、その時に経験した中でも最高だったのは、Alfredoのプレイするハウス・ミュージックを聴きながら、生まれて初めて6時間もの間オープン・エアーのフロアで踊り続けたこと。当時のAmnesiaは、口コミでしか人が来ないような、アンダーグラウンドかつ魅力的な場所で、どこでも踊れるオープン・エアーのフロアが、僕らをいつもスペシャルな気持ちにさせてくれる…そんな雰囲気のクラブだったんだ。きっとそういった様々な要素が組み合わさって、あの素晴らしい空間がつくられていたんだろうね。

Danny Rampling Interview

HRFQ : あなたが80年代の後半に訪れた時と比べて、今のイビザはどのように変化したと思われますか?

Danny : 劇的に変化したと思うよ。でも、発展したとは思うけど、最近ではよくない変化が起こっているのも事実で、ある意味、エゴで溢れた"エゴ・アイランド"になってしまった感じがするね。イビザでは、DJの名前が載った広告が大きければ大きいほど、ブランド的なイメージが強くなってしまって、みんなからは"ビジネスマンDJという目で見られてしまいがちなんだ。でも、逆に良い変化としては、観光客の数が増えても、イビザのクラブ・シーンはまだまだエキサイティングであり続けているって事があるかな。あの島では、思いっきり遊んでストレスを解消しても何の問題にもならないし、たとえクラブ・シーンから5年以上離れていた人でも、イビサの砂浜に一歩足を踏み入れれば、クラブにも行けるし、何も抑える必要は無くなるわけだからね。とにかく、そういった精神とエネルギーがあの島には根付いていて、特に今年はそのエネルギーを去年よりもずっと強く感じたね。

いずれにしても、夏の間、あんなに小さな島に世界中の有名なDJを集めてしまうのは、イビサだけなんじゃないかな。確かに、イビザは変わったし、発展もした。快適な設備も今ではそろっているし、ホテルやお店も随分とよくなった。変わっていないと言えば、バーのシステムくらいかもしれない。とにかく飲み物は昔からバカみたいに高くて、87年当時でも、水が5ポンドもしたものだった。まぁ、これもイビザ・スタイルだから、これからも変わらないんだろうけどね。 あと、最近では、VogueやHarpers読んでいるような金持ち連中から、再び注目を集めるようになってきたみたいだね。今年は、イビザに遊びに来るセレブが増えたみたいだし、Puff Daddyとか、Tommy Lee、 モデルのKate Mossとか Naomi Campbell なんかもイビザに戻ってきていたらしい。で、そういう人々が集まると、自然にグラマラスなクラウドも戻って来る。そして、セレブとか、個性的な服のセンスを持った人が分け隔てなく集まって、新しいファッションが生まれていく…。これこそが"イビサ"なんだよね。でも、昔に比べると、今のメディアの大きな取り上げかたはスゴイよね。イビサは昔も今も変わらずスペシャルなんだけど…。

HRFQ : Puff Daddyのようなポップ・スターが、ダンス・ミュージック界に進出してくることをどう思われますか?

Danny : もっと前から、そういうムーブメントが起こってもおかしくなかったはずで、その意味ではとても面白い現象かもしれないね。まぁこれは、ようやく最近になってアメリカの企業も本気でダンス・ミュージックに介入しようとし始めたって事で、ある意味とてもエキサイティングな話なんじゃないかな。だって、もしかしたら今後ダンス・ミュージックがもっとメジャーになるかもしれないし、一旦広まれば、どこまで成長していくのかなんて予測不能だったりするでしょ。だから、もっと新しい見方をしてもいいと思うよ。Puff DaddyがHouseのレコードを作ったっていいじゃないか。彼もハウスのシーンが好きだから取り入れているんだし。例え彼がハード・コアなヒップ・ホップのバック・グラウンドを持っていたとしても、ルーツを忘れずに、自分のやるべきことを理解し、そしてエゴを出さずにやっていれば、それはそれで良いんじゃないかな。しかも、よくよく考えればすごくポジティヴな話で、結果として僕たちが、アメリカのメディアやレコード・レーベルからもっとリスペクトされる存在になれるかもしれないし、古いスタイルのアメリカのラジオも、こういう人たちの存在によって変わっていく可能性だってあるわけだからね。

HRFQ : 現在のアメリカのミュージック・シーンについてどう思われますか?

Danny : 最近では余り訪れる機会がなくて、BostonのAvalonで2〜3年前にプレイしたのと、New Yorkで半年前にプレイしたくらいなんだ。でも、シーンはすごく成長したと思うし、これからもどんどん成長していくんじゃないかと思う。あの国では色んな制約がありすぎて、シーンの成長が押さえつけられているような気がするんだけど、それは気の狂った政府の仕業であって、逆にシーン自体にはいつも勇気付けられているんだ。10年前の閉ざされた状況に比べて、現在のアメリカはもっとオープンになったし、自分の音楽をプロモートできる環境もきちんと整っているからね。だから、これからもアメリカのシーンはどんどん力をつけていくと思うよ。

HRFQ : 最近、アメリカのミュージシャンは、現在の政府に対する意見を述べたり、投票に行くように呼びかけたりと、政治的な場面でも活動していますね。これは、イギリスやその他の国のミュージシャンも見習うべき姿だと思いますか?

Danny : 殆どのアーティストはそうすることによって負わされる責任や、U2のBonoみたいに、危険な目に遭う可能性を恐れているんだと思う。マスコミの連中はいつも「アーティストはうぬぼれてないで、政治のことになんかに首を突っ込むんじゃない」って言うんだけど、真剣に世界がどうなっていくのかを心配しているポップ・スターが、それを表現して一体何がいけないって言うんだろう?彼らポップスターが自分たちの意見を表現すれば、それは一番ダイレクトに、政治や投票することに無関心な若い人たちに届くことになるはずなのに…。だから、アメリカのアーティストたちが政治に対して意見を持ち、それに関わろうとしているのは、ものすごくポジティヴなことだと思う。きっとそういった動きは、人々をインスパイアして、何らかの変化を起こすきっかけになると思うし、それこそが今まさに全世界が必要としているはずのものだからね。残念ながら、必ずしも全ての政治家の判断や政策に、国民の意見が反映されていたとは言いがたいし、だから、もし若い世代が政府に対して自分達の意見をぶつけることが出来れば、世界はもっといい方向に向かうんじゃないかと思う。僕らの理想が政治家の理想と違う事もあるだろうし、それに往々にして僕らの方がより現実的な考え方を持っていたりするからね。

HRFQ : あなたは他のDJが達成できないことをしてきた人です。これからの野望は何ですか?

Danny:大きな家族を持って、好きなことをしながら健康で幸せに暮らすことかな。それがみんなにとっても大事なことだと思うよ。

End of the interview


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