HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Chris Liebing


04年のDJ Mag TOP100で、前年度から65ポイントアップの23位に付け、名実とも に「今ヨーロッパで一番株を上げているDJ」の称号を得たプロデューサーChris Liebing。 つい先日発表されたドイツのダンス・ミュージック・アワードにおいても、見事ベスト・アーティストに輝き、本格的な活動開始から10年を経て、今やヨーロッパ・テクノ・シーンの顔とも言える存在に成長したということができるだろう。

日本においてもWIREに03、04と2年連続で出演するなど、すっかりお馴染みの顔となったChris。2月の上旬には約半年ぶりの来日を果たし、石野卓球主宰のイベントSterne @ WOMBでライジング・スターの名前に相応しいプレイを披露してくれたばかりだ。その際に行われた今回のインタビュー。CLRのこと、ニューテクノロジーのこと、そして昨年のジャンプ・アップなどについて話を聞いた。

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> Interview : Laura Brown _ Translation & Introduction : H.Nakamura _ Photo : Masanori Naruse

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HigherFrequency (HRFQ) : 約半年ぶりの来日ですが、今のご気分は?

Chris Liebing (以下Chris) : とてもいいね。丁度、休暇でスイスに行ってきたばかりで、アルプスでスキーをしてきたところなんだ。だから、体調も万全だし、今年に向けての準備もバッチリって感じさ。

HRFQ : 昨年のDJ Magazine Top 100では、とても目覚しいランクアップを果たされましたよね。65ポイントもアップしたのは、あなたが初めてだそうですが、何が一番の好材料だったと思いますか?

Chris : 多分、イビサでのパーティーだろうね。昨年からMauro Picottoと一緒に始めたんだけど、Privilegeで毎週水曜日に開催していたんだ。最初はリスクを抱えながらのスタートで…というのも、お客さんからどんな反応が返ってくるか分からなかったからね。でも、結果的には大きな成功を収めることが出来たんだ。集客的にも内容的にもスゴク良かったし、ゲストの顔ぶれもいつもスゴクて、Ben SimsやHenrik Bといった素晴らしいテクノDJをフィーチャーしたラインアップが組めたのも良かったんだろね。あと、普段はテクノや僕の音楽に興味のなかった人たちも、Mauro目当てで大勢集まっていたし。というのも、彼はトランスでかつて大ブレイクした超有名なアーティストだからね。で、逆に僕の音楽を聴きにきたお客さんたちも、Mauroがどんな音楽をかける人なのか知らなかった。でも実は彼も最近では随分とテクノよりになってたりして…。だから、その組み合わせが上手く行ったんだと思う。それに、僕ら二人もすごくウマが合って、いつも一緒にブースの中で盛り上がっていたから、それがお客さんに伝わったというのもあるだろうね。とにかく。素晴らしいシーズンだったし、そのおかげで僕の名前を知る人が、世界的にも増えたんだと思うよ。まぁ、それが理由じゃないかな。

HRFQ : 今年もドイツのダンス・ミュージック・アワードで2部門においてノミネートされていますよね。ドイツにはスゴイ才能を持ったテクノ・アーティストが大勢いるのですが、その中で今年も受賞できる見込みはありそうですか?

Chris : 僕は2003年にベストDJに一度選ばれているから、僕が今年受賞できる可能性は少なくて、きっと誰か他の人が受賞することになるだろうね。でも、ノミネートされただけでもスゴク嬉しいことだよ。というのも、昨年は海外での活動に重点をおいていて、ドイツ国内にはそんなに力を入れていなかったからね。海外に出かけることが多かったから、どうしてもそうなってしまったんだけど…。だから、ノミネートされたこと自体が光栄なことだよ。ドイツ以外での活動が増えても、僕のやっていることを分かってくれていたわけだからね。でも、受賞は他の人がするんじゃないかな。

HRFQ : あなたのレーベルCLRについてですが、今年はどんな戦略を立てているのですか?誰か良い新人とかはいますか?

Chris : 一番の戦略は、また自分の作品をリリースしていくことかな。というのも、最後に自分の作品を出したのが、もう2年も前のことになるし、その間、ドイツの新鋭 Eric Sneoや、スウェーデンのHardcellなどの他のアーティストをリリースしたけど、今年は自分の作品を出したいと思っているんだ。あと、Stigmata名義でのリリースも続けたいね。実は、ここ数年はディストリビューションの問題を抱えていて、僕が仕事してきた会社は全て、どこも問題を抱えたり倒産したりしてしまったんだ。まぁ、そんな問題もあったりしたので、レーベルの運営についてはちょっと控えめにして、Speedy J とのプロジェクトにもっと力を入れたり、時間をかけたりしているよ。

Chris Liebing Interview

HRFQ : 次のオリジナル・アルバムの予定はいつですか?

Chris : Chris Liebing名義での次のオリジナル作品は、2006年にリリースする予定になっていて、制作自体は今年のうちにスタートすることになると思う。でも、Speedy J と作っているアルバムは、Novamuteから今年の10月にはリリースされることになっていて、4月には完成することになっているんだ。彼と一緒に仕事をするのはとても楽しくて、スタジオ・ワークについて色々と学べるし、とてもよいコンビなんだと思う。と言うのも、お互いに自分のカラーを持っているし、それに彼の手がけてきた音楽はとても幅が広くて、アンビエントなども含めてとても長い経験を持っているから、僕もそのテイストを学ぶことが出来るんだ。それに二人とも、テクノは得意のフィールドだからね。だから、彼との作業はとても楽しいし、その雰囲気がアルバムにも現れていると思うよ。

HRFQ : さて、Final Scratch 2についての質問ですが、丁度、プロモート契約を結ばれたそうですね。日本のファンにプロモーションをするとすれば、どういった点を伝えますか?

Chris : Final Scratchについては、3年前から前のバージョンのプロモート役を引き受けてきたんだ。ただ、新技術には常に問題はつきものでしょ。でも、僕らがその解決に懸命に取り組んできた結果、その全ての努力がこのFinal Scratch 2で実を結ぶことが出来たんだ。だから、Final Scratch 2は、3年に渡る僕らの成果だと思ってる。もちろん、僕だけじゃなくて、試作品を作ってくれた50人ものスタッフのね。あと、色んな新しい発想が取り入れられているのと同時に、サウンドカードの音質も改善されているし、一つ一つのスイッチなんかも随分と改良されているんだ。だから、これがFinal Scratchの本当の出発点になると思うし、それに関わったり、貢献することが出来たりして、とてもワクワクしているね。あと、僕のプロモーションは実際にプレイすること。僕が楽しんでプレイしていれば、みんなも良さが分かるだろうし、それが一番の方法だと思っているんだ。

HRFQ : スタジオではどのような機材を使っていますか?

Chris : 昔はいつもLogicで作業をしていたし、Logic Proも最近出たみたいなんだけど、実はまだあまり触っていないんだ。というのも、最近Ableton Liveに本当にハマっているからね。特に、半年前に出たバージョン4はMIDIの要素も加わって、音楽制作に関しては最強クラスのソフトだと思う。とにかく、技術の進歩は素晴らしいことだし、クリエイティブな可能性が更に広がって、それを自分の作品に取り入れていけるって事は、本当に素晴らしいことだと思うよ。その可能性は今や無限大だからね。これから数年先は、一体どうなっていることやらって感じさ。

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HRFQ : テクノ・シーンの将来についてですが、10年後はどうなっていると思いますか?

Chris : このシーンはまだ始まったばかりだと思うんだ。今までの10年間は、ちょうど電子楽器という新しいおもちゃを与えられた子供のような時期だったんだと思う。でも、最近ではパソコンも速くなって、去年は出来なかったことも、今では簡単に出来るようになったりするわけでしょ。だから、これから5年後には、パソコンもハード機器ももっと速くなっているだろうし、あと、ソフトもかなりスゴイものが出ていることになるだろう。特に、ソフトはいつもハードより先を行っているからね。ただ、最近ではようやく両者の力が同じようになってきたと思うし、パソコンの進化が急激に進んだおかげで、色んなことが可能になってきたと思うんだ。で、この可能性を背景に、テクノはもっと様々なスタイルの音楽を、取り込んでいけるようになるんじゃないかな。いろんな融合が更に進んでいくと思うし、それは決して音の面だけじゃなくて、映像の面でもそうだと思う。だから、10年後や15年後のクラブでは、DJがプレイをしながら同時に映像もコントロールしていて、DJの後ろにはたくさんのスクリーンがあって、お客さんは聴覚だけでなく、視覚的な体験も楽しみにクラブに行くと思うんだ。ひょっとしたら映像で、何かリアルタイムなことが出来るのかもしれない。例えば、DJをやりながら、「よし、大きな象をフロアに走らせよう」みたいなこととかね。まぁ、とにかく音と映像はもっと融合していくことになると思うよ。

End of the interview

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