発売日 : 2006/06/05
レーベル : Human / Uncivilized World
カタログ : Human22
フォーマット : Mix CD
発売国 : France
スタイル : Techno, Electro
Miss Kittin & The Hacker 名義での活動でも知られ、近年は Tiga や Vitalic が所属する Pias の姉妹レーベル Different から良質なソロ作品を次々と送り出しているフランスの鬼才 The Hacker が、6年ぶり2枚目となる待望のミックス・アルバムをリリース。一癖も二癖もある下記の収録曲を見てもらっても分かるとおり、本作はニューウェイヴからデトロイト・テクノまで幅広く影響を受けてきた The Hacker 自身のルーツを総ざらいしたような渾身のミックスとなっている。
プツプツと古いカセット・テープのような音と共にドイツ語の囁きがループされる Notstandskomitee のスローなエレクトロ・チューンで、まず本作はスタート。ジワジワと盛り上げていく展開かと思いきや、Cabaret Voltaire 等と共にエレクトロ系アーティストに多大な影響を与えたジャーマン・ニューウェイヴのバンド Liaisons Dangereuses のトラックを投入し、3曲目にして早くも聴く者に鮮烈な驚きをもたらす。そして、Ellen Allien や The Emperor Machine による最新のテクノ/エレクトロ・ヒットで前半のピークを作ると、デトロイト・テクノのオリジネーター Model500 aka Juan Atkins の 'Techno Music' に繋ぐという意外性に満ちた濃厚な展開へと移行していくのである。
続いて、Perspects をフィーチャーした自身のヴォーカル・トラックをアクセントとして差し込むと、今度は畳み掛けるように、'80年代初期のベルギーで活躍したインダストリアル・バンド Front 242 による不穏なニューウェイヴ・チューンをドロップして、彼ならではの退廃的で危険な魅力に満ちた世界を鮮やかな手さばきで作り出す。Pure 'GTO' で一旦幕を閉じ、僅かな間を置いてからアンコールのように始まるアンビエントな自身の未発表曲 'Link 1' と、Mount Sims による緩やかなヴォーカル・トラックで、映画のエンドロールを見ているかのような充実感を味あわせるという凝りに凝った構成も見事である。
アヴァンギャルドな選曲によって時代とジャンルの壁を超越し、更には偉大な先人たちへの深い愛情まで感じさせる本作。いちエレクトロ・プロデューサーによるミックス CD として捉えては全てを語り切れない、奥深い内容を持った一枚と言えるだろう。(Yoshiharu Kobayashi ; HigherFrequency)
収録曲
01. Notstandskomitee / Uhrwerkwelt (Tape Version)
02. Miss Yetti / Could I Kill You
03. Liaisons Dangereuses / Los Ninos Del Parque
04. Revolving Eyes / Space Model
05. Sleeparchive / Elephant Island
06. Ellen Allien / Brain Is Lost
07. The Emperor Machine / Bloody Hell
08. Model 500 / Techno Music
09. Luke Eargoggle / A2
10. Perspects / Strap
11. The Hacker / Flesh&Bone
12. front 242 / No Shuffle
13. Kiko & Ginofs / Oddyssey
14. GTO / Pure (Battle of the Bass Mix)
15. The Hacker / Link 1 (Unreleased)
16. Mount Sims / Restless
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