DATE : 19 September 2009 (Sat)
LINE UP : Carl Craig, Theo Parrish, Plaid, JAMES HOLDEN, mum, 相対性理論, DJ KRUSH & 熊谷和徳, Isolee, Omar S, PARA, sleeparchive, Sascha Dive, INO hidefumi, Luke Abott, DJ NOBU, MOODMAN, DJ BAKU, DJ KENSEI, Monolake, 原田知世, iLL with 沼澤尚+ナスノミツル+西竜太+益子樹 (ROVO), Monolake, 野崎良太 Special DJ Set with Percussion 中里たかし
VJ : Jukietta, Tripon
PHOTO : Suzuki Yusuke, Terasawamiyu, Joshia Shibano
TEXT : Hiroki.K
今年の TAICOCLUB は何かが違う、そう思っていたら夏前にまさかの発表だった。川崎の海側、工業地帯のど真ん中というロケーションで、メンツも非常にタイコらしいバリエーションに富んだ渋いラインナップ。早々に触手が反応し、メタモにエレグラにタイコ・・・秋の楽しみがまた一つ増えるかも・・・と、この日を心待ちにしていた。 到着すると芝生と砂浜がいい具合に共存するナイスロケーションが目の前に広がっていた。周囲で煌く大規模な工場群の照明が、野外でありながら箱の様な雰囲気を醸し出す不思議な場所だ。しかし当日は台風の影響からか、すさまじい強風で肌寒い、というか冷える! そのうえ風で巻き上げられた砂塵がガンガンあたってくる・・・ すぐに手持ちの上着を全部着て寒さと砂埃から身を守りつ、まずは会場全体を探検してみた。 会場はフード・物販エリアを中心に芝生ステージ、ヘリポートステージ、ビーチステージの3つで構成されており、それぞれのステージ前は足元もよく、とても踊りやすい。サウンドシステムは全ステージに FUNKTION-ONE がセッティングされ、野外ながら輪郭がはっきりしたパワフルサウンドが鳴り響いており、オタクなラインナップを含め主催者側もサウンドクオリティには相当力を入れたであろう形跡が見てとれる。 |
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しばらく徘徊したのち、乾杯のビールを買ってビーチステージへ行くと、DJ NOBU がソウルフルなクラシックハウスをプレイしていた。日が落ちた直後のビーチの雰囲気にバッチリはまったサウンドをしばし堪能。が、心地よく楽しむのもつかの間、容赦なく吹き付ける風が体をどんどん冷やしていく・・・たまらずフードエリアへ走り、温かいフードで一息つく事に。ヘリポートステージが遠くに見える位置で食事をとっていると、ステージの音が柔らかく聞こえてくる。周囲を見渡してみるといかにも音好きな人が多い。年齢層の幅も広く、レイブというよりロックフェスに近いノリ。みな思い思いの楽しみ方をしている様が会場の雰囲気を良いものにしていた。 食事を終え比較的風の当たりが弱いであろう芝生ステージへ向かう。ちょうどDJ BAKU がミッドテンポのブレイクスからバキバキのエレクトロまでを力強くミックスし、オーディエンスをガンガンあげている。あら・・?この人こんなに良かったの!!初めてプレイを聞いたけど、まさにお祭り騒ぎDJ。今後はもっとチェックしていかないとなぁと思うと共に、自らの勉強不足を感じた。。。 音も居心地も最高な芝生ステージで踊っては飲みしながら入り浸っていると、やおらアシッド感たっぷりのシンセフレーズが鳴り始めた。手元のタイムテーブルを見ると sleeparchive!やっぱり!と心の中で大納得するとともに、大学教授みたいな変態性を匂わせる彼のプレイに集中する。緻密でグニャグニャ感を伴うプレイはまさにハメ系テクノの筆頭に相応しく、ふと周りをみるとお客さんみんな下を向いてリズムを拾っている。(笑) 盛り上がるでもしらけるでもない絶頂ギリギリなところで焦らすようなどSなプレイに完全に持っていかれてたまま、あっという間に1時間が経っていた。 | |
続けて今回筆者が一番楽しみにしていたアーティスト、Monolake こと Robert Henke がステージ上にあがる。芝生ステージにだけ前後左右に4つのスピーカーユニットが配置されていたのは、彼が今回4chのサウンドシステムをリアルタイムでマニピュレートする貴重なライブセットを披露するからだ。ミニマルなフレーズから始まったライブは徐々に音が重なり厚くなっていくものの、2chステレオと何が違うのか最初はいまいち分からなかった。しかし展開が進むにつれ、時折入るエフェクトが右後方から聞こえたりするようになるなど、徐々に4chライブの凄さを実感する事になる。エコーが体中を取り囲むようにかかる、パニングで音が360度あらゆる方向に走るなど、簡単に言えばスピーカーの位置が目まぐるしく変わっているような感じだ。体を中心に全方位から音が入ってくるライブは実に素晴らしく、通常のクラブやフェスではできない体験を味わう事ができた。 空が白み始めたころ、ビーチに行くか芝生に行くか迷った末、芝生の James Holden を拝む事にした。 ステージ前にいくと、フロアはまさにピーク寸前。夜明けの空の色にシンクロするかのような美麗な旋律を伴ったトラックで、俺について来いといわんばかりのプレイ。彼にはもっとアーティスティックで難しいイメージを持っていたが、思いのほかポップなトラックも紡いでいく。展開が本当に予想外で、そこからそうくるか!の連続。CLARKのGrowl's Gardenがドロップされると、すっかり日が昇っているのに芝生ステージのボルテージはマックスに!夜中にあれだけ踊ったのにまだ踊りたいと思わせるプレイは圧巻であった。 都市型の野外で、聴きがいたっぷりの渋いラインナップ。 どれだけ面白い事ができるか、という TAICOCLUB の旺盛なチャレンジ精神に賛辞を送ると共に、また来年の秋も開催してくれることを期待したい。 | |
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