HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

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UNIT presents 2000 TAKKYU ISHINO Long Set @ UNIT, TOKYO

DATE : 11 September 2009 (Fri)
【UNIT】
DJ : 石野卓球
VJ : 宇川直宏
【SALOON】
DJ : mitchelrock (freebase), Yusaku Shigeyasu, Tomotsugu Kondo a.k.a. KON (Ni.com, selfservice)
PHOTO : ryu kasai
TEXT : Chelcom

イベント詳細


前回4月に、田中フミヤ氏がオープンからラストまでロングセットを務め、最近の東京のマンネリ化したパーティーシーンの中に刺激を与え忘れかけていたパーティーマインドを思い出させてくれ、久し振りにクラブパーティーらしいパーティーで盛り上がった事が未だ記憶に新しいUNIT企画の "UNIT presents 2000"。

今回も前回同様ディスカウント・ゲストなし、1時までに入場の人と、フライヤー持参の人は2000円という試みの下、前パーティーの興奮も冷めやらぬまま、今回UNITと共にパーティーキッズ達を迎え討つのは、日本のテクノ界の先駆者であり、いつの時代も日本のシーンをリードし続けてきた、石野卓球氏のオープンからラストまでのロングセット。 そしてパーティーに更に華を添えるのは、卓球氏の盟友でもあるVJ宇川直宏氏という強力タッグなラインナップ。

日本のテクノシーンを語る上で絶対的存在である卓球氏。 つい先日、自らがオーガナイズを務め昨年10周年を迎え、横浜アリーナで開催された日本最大級屋内テクノフェスティバルであるWIREを終えたばかりで、更に電気グルーヴが20周年という節目を向かえ、20周年記念アルバムもリリースし益々ノリにのってる卓球氏に加え、そのWIREでもVJとして参加し、卓球氏も参加してる自身のニュープロジェクトである 「UKAWANIMATION!」 も始動し、多方面で精力的に活躍中であるこの2人のコンビには、今まで何度もいい旅に連れて行ってもらったことがあるが、この組み合わせでオープンからラストまでというのは本当に興奮の夜になるであろうと想像する。 そして、この2人のコンビネーション+UNITスタッフ達の志+パーティーキッズ達のスパイスで調理される今夜の料理は、間違いなく美味しいものになるであろう。

わたし自身オープンからラストまで卓球氏1人でのロングセットというのは久し振りであり、前回のフミヤ氏のとき同様、今日もまたまたパーティーを楽しませてもらえるであろうという勝手な安心感と期待に胸を膨らませながらUNITへと向かった。

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わたしは少し遅めのスタートで1時前にUNITに到着。扉を開けて入ると、1時前にも関わらず階段を降りなくても前のめりなパーティーキッズ達の熱いバイブレーションでパーティーがもう出来上がり、そして盛り上がってる事が伺える位、フロアを見ずとも入り口から感じることが出来る雰囲気に更に胸が高まる。階段を降りるとロッカーがあるフロアが既に混雑しており、とにかく人が多く、前回と同じく始まったばかりだというのに、早い時間帯から大盛況の様子。

早速メインフロアを少し覗いてみたが、人と熱気でフロアは溢れかえっており、とても前に行ってダンスできそうな感じではなかったので、一旦SALOONへと足を運んだ。

SALOONは前回と同じラインナップ。こちらの方も同じく人で溢れかえっており、メインフロアに負けないくらいの盛り上がりで、トップバッターの Yusaku Shigeyasu がミニマルとダブステップを織り交ぜつつ、フレッシュで男気と疾走間溢れる独特のグルーヴでフロアを温め、次の Tomotsugu Kondo にパスを出す。 そこから Tomotsugu Kondo が、彼得意の温かく、どこかセクシーさをも感じさせるグルーヴで、オーディエンス達を優しく気持ちのいい音のベールで包み込み、そのグルーヴは深い時間になるにつれ次第に大きくなり、SALOONのフロアを最高潮の空間に持っていき、ラストアクトである mitchelrock にバトンタッチ。

そこから雰囲気はガラッと変わり、mitchelrock の醸し出す彼の音楽人生のルーツであるロックスピリッツをベースに、スペイシーな上音で繋いでいき且つ暗黒な世界へと攻めていきながらも、どこか優しく壮大に包み込むグルーヴで、オーディエンス達を彼特有の世界へと導き、熱狂的にダンスさせる。前回と同じラインナップだった事もあり、SALOONの方もしっかりいい感じにパーティーになっていた。

mitchelrock のプレイが終わり、ふと気が付くと、ひと汗かいてしまって時計は5時を回っており、そろそろUNITの方も空いた頃で、まだまだこれからだろうと上のフロアへと足早に階段をかけ登る。

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UNITへ行くと多少減ったとはいえ、まだまだ遊び足りない元気なパーティーキッズ達でフロアは埋め尽くされており、卓球氏と宇川氏両者の、さすが息ピッタリな演出と見事なコンビネーションにより、フロアはサイケデリックな空間に。 そしてパーティーも終盤だというのに全く衰えない、むしろ中盤に一度様子を伺いにメインフロアを訪れた時よりもBPMが上がっているのではないか?という絶好調な様子で、一体何処まで連れて行かれるんだろう、どこまでも駆け登り続け、このトリップのループから永遠に放してくれないのではないかという、エネルギッシュなプレイに、オーディエンス達は没頭し大いに楽しんでいる。

やっと伸び伸びダンスできる!と張り切って前の方に行き、ヒートアップして笑顔で本当に楽しそうにダンスするオーディエンス達の輪に混ざり、勢いあるキックで勝手に動いてしまう興奮を抑えきれない自分の全身を卓球氏の醸し出すビートに委ね、そこからひたすら無我夢中になった。以前の卓球氏に比べると年々渋さが増してきてる様な気がするが、勢い衰える事が無いその見事なプレイには脱帽。

最近流行の緩めのハウスグルーヴも気持ちいいし好きではあるけれど、わたしはやっぱりこのひたすらダンスなこの感じが好きだなと、フライヤーを握り締めオープン前のクラブの前で、わくわくしながら、まだかまだかとパーティーが始まるのを待ち望んでいた頃の10代の自分の姿を脳裏に思い浮かべ、スピーカーから鳴る古い懐かしい曲を聴きながら新鮮さをも覚えた。

ディスコ調の曲、ニューウェーブタイプの曲、何をかけても卓球氏の魔法の手にかかれば全てテクノでしかないんだなと圧巻。 この人も、またテクノの神様の内の1人だなと再認識し、これはもうダンスしまくるしかないでしょうと汗だくになりながらも、その日最後のテクノマラソンのゴールを目指して無心で踊る。

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パーティーも終盤を迎え熱狂と多幸感で溢れかえるフロアを尻目に一度音が止まるも、オーディエンス達の興奮は全く冷めず 「もっとやってくださーい!お願いします!!!」 の止まない熱いリクエストに応え、笑顔で再度レコードに針を乗せる卓球氏。

そこからどれくらいの時間であっただろうか。もう時間の感覚を麻痺させられる位の時間軸が何処にあるのか分からなくなる卓球氏のプレイでフロアも最高潮に盛り上がり、ふと横を見ると 「ヤバイよね!ヤバイよね!この人!」 と連発し、VJブースから降りオーディエンス達と共にフロアでダンスする宇川氏の姿、そしてステージ上には今回のパーティーも大成功だった安堵感からか、最高に幸せそうな笑顔で手を上げラストを楽しむUNITのスタッフの面々と、テクノの醍醐味である 「音で遊ぶ」 という事を誰よりも楽しみながらフロアとコミュニケーションをとる、気持ち良さそうな満面の笑みでラストプレイに挑む卓球氏の姿。

このラストの愛と笑顔とハッピーに満ち溢れ、幸せしかなかった、あの何ともいえない瞬間を体感した人達は、その時そこに居た全員の自由でありながらも全てがシンクロしてた一体感は、何事にも変えがたいものであり、この日がどれだけ最高で素晴らしい夜であった事を誰しもが感じ、その日のパーティーがどういうものであったかという説明など皆無であり、この空間を見れば一目瞭然であろう。

「コレコレ!コレだよね!」 と心の中で呟きながら思った。 この感覚を一度でも味わった事がある人は、この気持ちが分かると思うが、これだからパーティーへ行く事を止められない。イベントではなく、クラブでしか成り立たない、この 「パーティー」 というものを、また再び味わせてもらえたこの夜に心から感謝したい。そして、またこういったパーティーが増えてくれる事を心から願った夜であった。

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