DATE : 7th September, 2007 (Sat)
GUEST LIVE: Ada (Areal Records)
DJ : Takkyu Ishino, Ten amd more...
VJ : Devicegirls
PHOTOGRAPHER : Masanori Naruse (www.myspace.com/masanori)
Areal Records からの独特のカラフルで繊細な楽曲群で注目を集める才女、Ada が Womb の人気テクノパーティ STERNE に登場するとのことで、期待を胸に早めの Womb 入りを果たした筆者だった。 入り口でばったり会った友人と話に一花咲かせ、いよいよフロアへ。 STERNE のレジデントとして活躍する Ten 氏が乾いたサウンドのミニマル・テクノをプレイしていた。まだまばらなフロアでは筆者と同じように期待を胸に、早めから集まった人々が思い思いに体を動かしながら、安定感のあるプレイを楽しんでいた。徐々に集まる人でフロアが埋まってくるにつれて Ten 氏のテンションも少しずつアップ。地味目のトラックを気持ちよくつないでゆくプレイから少しずつ癖のあるトラックを使った組み立てへとシフトしてゆく様は,このパーティで着実なプレイを積み重ねていることが伺える、さすがの内容といった感じであった。少しずつあがってゆくテンションの中、フロアも徐々に埋まってゆき、筆者が混雑し始めた2Fのバーを避けて、1Fでドリンクを買って戻ってきたころにはウォームアップも完了といった趣で、すでに楽しそうな笑顔であふれたフロアはあらかた人で埋め尽くされた状態となっていた。 | |
そんな中、 Ada がブースに登場。ゆっくりと機材のチェックをしつつ、静かにたたずむ物腰が印象的で、いったいどのようなプレイを見せてくれるのかと期待は最高潮に。いったんサウンドを止め、 Ten 氏に拍手を送りながらプレイを開始した彼女、出だしは女性らしい丸みのある綺麗なシンセフレーズが鳴り響き、その雰囲気を引っ張りつつ、徐々に入ってくる新たなリズムが次の展開への期待を膨らませる。あちらこちらで我慢ができなくなった観客からヒューヒューと声があがり、ますますテンションが張り詰めていくなか、低音が力強く差し込まれた瞬間、それまでの期待がはじけ、いきなり狂喜乱舞状態へ。 出だしから自分の世界へと引き込むことに成功したわけだが、彼女自身はいたって淡々とプレイを続行していった。その彼女のサウンドだが、なんというか彼女ならではの切り口を持った、非常にオリジナリティ溢れるサウンドだったといえよう。リズムは比較的シンプルで、余計な装飾を取り除いたある意味で無骨なサウンドで、まるで不器用なドラマーがたたいているようなリズムなのだが、どことなく丸みのある音と、コンピューターに制御されたリズムの正確さによって、聴いているうちにそのシンプルなリズムがたまらなく気持ちよくなってくるような不思議な感覚を感じてくるリズムであった。また絶妙のタイミングで抜き差しされる低音によって、低音が抜けたときのハイハットの切れだったり、低音が戻ってきたときの楽曲の張りといったものがいちいちクローズアップされて聴こえたのは、ひとつにはこのシンプルさがいい風に作用していたのではないかと予想される。またその上にのるサウンドは非常に音楽的で、時にファンキー、時にメルヘンチックとも取れるようなところまで表現する、独特のカラフルさを持ったフレージングで、女性ならではのやわらかさを持ち合わせたような世界は、筆者にとっては今まで体験したことのないようなダンスミュージックのテイストだったといえる。 |
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そのような筆者の感想をよそに淡々とプレイを展開させていった彼女だが、そのサウンドの振れ幅は時間が経つにつれて明らかに大きくなってゆき、それに伴って、観客の振れ幅もさらに大きくなっていった。だんだんと恍惚の表情を浮かべる人が見受けられるようになり、フロアは一種の集団興奮状態へ、彼女はそんな中でも勢いを止めることなく、むしろその勢いは増すばかり、そのころにはリズムのきれもすさまじく、その上にかぶせられるスネアのサウンドはファンキーで荒々しく、華々しいシンセフレーズはラストに向けて踊り狂う観客を力強くあおっていくばかり、プレイ終了までその勢いがとまることはなかった。 プレイを終了し、観客の拍手ににこやかに答える姿からは、どこにあれほどすさまじい音楽を生み出す力が秘められているのか、不思議に思わずにいられない筆者であった。そしてトリを務めたのはいわずと知れた石野卓球氏、興奮冷めやらぬフロアにいきなりパーカッシブなファンキートラックをドロップ、VJからは Welcome to Techno Party の文字が乱れ飛び、がらりと卓球ワールドへ。疾走感のあるトラックを細かくつないでゆき、観客をあきさせない展開力はさすがというべきか、テンポよく楽曲をつなぎながら、フロアを引っ張っていくうちに、観客の方もすっかりパーティモードへ、そこからはだれもが大いにお酒を飲み、ラストまでますます勢いを増してゆきながら、テクノパーティをたっぷりと満喫するのだった。 |
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