DATE : 17 October 2009 (Sat)
LIVE : Minilogue Extra
DJ : Sebastian Mullaert
VJ : Visualogic
PHOTO : Kuro
TEXT : Terumi Tsuji
スウェーデンが世界に誇る気鋭プロデューサー・デュオ Minilogue がクリエイトする至福の一夜 "MINILOGUE NIGHT" が再び開催された。「今回はどんな旅へと誘ってくれるんだろう?」 という期待を胸に、会場となる TRIANGLE へと足を運んだ。 23時ピッタリに Seb のDJで MINILOGUE NIGHT の第2章が幕を開けた。凛とした透明感のあるハウスでゆっくりとフロアを温めて行く。Seb のDJを一秒たりとも聞き逃したくないという熱心なオーディエンスが開場同時に次々と集結し、オープンから1時間も経たない内にフロアは熱気で包まれた。早くも踊る場所を確保するのが難しくなったため、一階上のラウンジエリアへ一旦移動。フロアやステージが全部見渡せる吹き抜け部分から、暫くの間フロアの様子を眺めることに。 |
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フロアが十分に温まって来たのを見計らい、サウンドもアップテンポなミニマルテクノへとシフトして行く。以前から選曲の幅広さには定評があるSebだが、今回のジャパンツアーでも名古屋の club about、そして WOMB のメインフロアでロングセットを披露してきただけあって、オーディエンスの求めているサウンドを即座にキャッチしフロアを自由自在にコントロールしていく。今年の Labyrinth をもってDJ活動を一旦休止した Marcus の分まで、今後も頑張って欲しいものだ。 Seb の奏でるサウンドとVJチーム Visualogic の幾何学的な映像のコンビネーションも目を見張るものがあった。彼らが Minilogue と共演するのは今回で3回目ということもあり、Minilogue のサウ ンドを彼ら独自のフィルターを通して表現しているのがヒシヒシと伝わってくる。 TRIANGLE の白い壁に映し出されたカラフルな映像と Seb の織りなすサウンドスケープにしばし酔いしれた。 一方、今回ライブだけ参加の Marcus も一足遅れて、1時半頃 TRIANGLE へ到着。ここ数年は年に2度のペースで大阪でプレイしていることもあり、 バーカウンター前で顔なじみのファンたちとお酒を飲んだり会話を楽しんでいる様子。何でも到着してすぐにライブの準備をするためにステージに向かったものの、DJプレイを満喫中の Seb に 「もう少しDJさせて!」 と懇願されたとのこと(笑) パーティーのバイブや自分たちのコンディションによってタイムテーブルを変更できる というユルさも MINILOGUE NIGHT の醍醐味の一つだろう。 | |
そしてオーディエンスのボルテージが最高潮に達した頃、満を持して Marcus がステージへ移動。所狭しと設置されたおびただしい数の機材と2台の Mac に電源を入れると、待ってましたと言わんばかりにフロアーからは歓声が上がる。すると壁一面に "minilogue" のロゴと、彼らのシンボルとも言えるアニマルたちが浮かび上がった。 Minilogue のライブのスタートだ。待ちわびたオーディエンスの気持ちを焦らすように、ゆっくりと音数を増やして行く。彼らのライブセットは、 ヒットトラックを次々と投下するという王道ライブではなく、何曲ものパーツを組み合わせてまるで新しい曲のように作り替えるリアル・インプロビゼーションスタイル。ここ数年で幾度となく彼らのライブを体験している著者だが、けして飽きることがないのは、彼らが毎回全く違ったセットを見せてくれるからだろう。所々に入る鳥の鳴き声や、スモーキーでどこか物悲しいサウンドを聴いていると、スウェーデンの深い森の風景が目の前に広がってくるようだ。緑豊かなスウェーデンの町、マルメで育った彼らの創り出す音は、自然とは切っても切れないものなんだろう。 高音の粒子を体中で感じながら音の海をただよっていると、ベース音が増えて行っているのに気がついた。そして心なしかbpmも早くなって来ている。「もしかして…」 と思った瞬間、聴いたことのあるトラックが! そう Son Kite !! そこからは怒濤の Son Kite 節炸裂、トランシーで疾走感のある低音でグイグイと引っ張って行く。とはいえ、ドレットヘアーのヒッピーが集まるトランス・フェスの常連だったころの Son Kite のようなアッパーなトランスではなく、あくまでもテクノをベースとした洗練されたトランス・ミュージック。Minilogue が体全体に染み込んで行く "静" なるサウンドとすれば、Son Kite はダンス中枢が刺激される "動" なサウンド。 体を揺らしながら静かに音を愉しんでいた人たちをも踊らせてしまう、そんな音だ。残念ながら Son Kite の代名詞とも言える Seb のエレクトリック・バイオリンは登場しなかったが、新曲と思われるトラックを何曲も披露してくれた。テクノとトランスを絶妙なバランスで融合させたこのサウンドこそが、新生 Son Kite なのだろう。 今回のライブは "Minilogue Extra" と表記されていたこともあり、彼らの気分が乗れば何曲か Son Kite のトラックもやってくれるんじゃないかなという淡い期待はあったけれど、正直ここまで Son Kite をプレイしてくれるとは思っていなかった。Minilogue と Son Kite の2ライブを同じ日にプレイすることはあっても、Minilogue から Son Kite へシームレスに移行というのは彼らにとっても初の試みだったらしく、オーディエンスそして彼らにとっても非常に貴重な体験となった。そして最後は往年のプログレッシブ色満載の美しい旋律のトラックでフィニッシュ。2時間に及ぶ極上のライブを讃え、会場からは自然と拍手が沸き上がった。 | |
オーディエンスからの拍手が鳴り止まないうちに、Cobblestone Jazz "India in Me" で Seb のDJ後半戦がスタート。すでに5時を回ってるにも関わらずフロアからオーディエンスが引く気配はゼロ。また Seb もフロアーの熱い情熱に応えるべく、前半以上にグルービー&ダンサブルなセットでオーディエンスの心を鷲掴みにした。ライブを終えホッとしたのか、Marcus もファンと一緒に Seb のセットを堪能していたようだ。 そして6時、MINILOGUE NIGHT - Chapter 2 が幕を閉じた。毎回違った魅力を見せてくれる MINILOGUE NIGHT。Chapter 3 では一体どんなサウンド・ジャーニーを繰り広げてくれるのか、今からすでに楽しみだ。 | |
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