HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

sonarsound tokyo 2004

sonarsound tokyo 2004 @ 恵比寿ガーデンプレイス

DATE : 9th October, 2004 (Sat)
TEXT : H.Nakamura (HigherFrequency) _ 写真提供 : sst2004実行委員会



sonar sonar
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そのような波乱含みの幕開けとなったsonarsound tokyo 2004であるが、そこはさすがに前評判の高かったイベントだけに、会場内に足を踏み入れると既に猛烈な混雑ぶり。メインフロアでは既にAkufenによるセットが始まっており、隅々までビッシリと埋め尽くされたクラウドたちが、暗闇にうかぶ青白い炎のようなクールで体感温度の低いサウンドに揺れている…そんな感じの空間が演出されていた。特に驚かされたのが非常にクオリティの高いサウンド!決してラウドにブンブンと鳴るわけではないが、バランスの取れた心地よいサウンドがスピーカーから響いてくる感じで、Akufenの無機質でありながら知性を感じさせるプレイとの最高の相性を示していた。

Akufenのセットは、最後にHardriveのアンセム"Deep Inside"などを挟みながら終了。続いて本当はAkufenの前にプレイするはずだったRei HarakamiとShiro Takataniが登場する。ビーチの映像をバックに、オーガニックな4つ打トラックでスタートしたセットは、様々なクールな映像を背景に、ブロークンなトラックからエレクトロニカ〜ハウスまで幅広いサウンド・スケープを紡ぎだしていく。マウンテン・ロードを走る車からの映像や音に合わせて広がる波紋、そしてストライプ模様のアブストラクトな映像などなど…フィード・バックするシンセ・サウンドを挟んで綾織られていくショーは、まさにsonarの持つ「アドヴァンスド・ミュージックとマルチメディアの祭典」というコンセプトに完璧にマッチした内容で、筆者もしばし仕事を忘れて美しいサウンドと映像に酔いしれることに。あくまで個人的な嗜好の範囲で言うと、会場自体が持つ雰囲気とあいまって彼らのライブセットが一番ど真ん中に突き刺さった感じであり、この瞬間だけは彼らの出番を遅らせてくれた台風にちょっとだけ感謝をした。グレイト!

sonar sonar
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そのころLabの方では、HIFANA見たさのために長蛇の列が出来、そしてついに「入場制限」という事態に!WIRE 04のときのRYUKYUDISKOのショーを思い出すが、やはり最先端で活躍している日本人アーティストに対するファンの関心の高さは並々ならないものがあるのだろう。プレスパスを持っていたが弱気にも入場をあきらめ、しばらくフロアの各所を見て回ることに。今回のSonarでは、特に機材メーカーの出展が多く、i-Podやシンセサイザー、それに音楽制作系のソフトなどのプレゼンテーションが多数行われており、大勢の人が実際にソフトを触ったり説明を受けたりしていた。こういったプレゼンテーションをきっかけに、ダンスミュージック(とは限らないが)の制作に興味を持つ人たちが増えるというのはとても良いことだなぁ、などと思いながら、筆者自身も機材オタク熱が突如として湧き上がり、しばし最新のソフトをいじり倒して時間を過ごす。

しばらくすると、階上のメインフロアではChicks on Speedのショーがスタート。カラフルな衣装(というか布切れ)を身にまとい、顔や腕に蛍光塗料を塗りたくった3人がCOSのテーマと共にステージに現れる。"99 Cents"で幕を開けたショーは、ヒット曲の"We Don't Play Guitar"、そして彼女たちが影響を受けたといわれるTom Tom Clubの"Wordy Rappinghood"のカバー、"Fashion Rules"などを含む全9曲がプレイされ、途中編み物をしたり新聞を破いたりと、シアトリカルというか何というか、とにかく派手なアクションが印象的なセットを披露してくれた。

sonar sonar

彼女たちのステージが終わり、いよいよ本日の目玉のひとつであるCarl CraigとJuan AtkinsによるDJセットがスタート。この二人の伝説的なDJが一緒にステージにあがるということもさることながら、デトロイト・クラシックを含むテクノ・ヒストリー・セットというコンセプトに期待は高まるばかりだ。「ひょっとしてバック・トゥ・バックか?」という期待もあったが、今回のセットはCarlとJuanが交代で約20分づつプレイをしていくというもの。まず最初にステージにCarlが上がり、その後JuanがステージにあがるとCarlが下がるといった感じで進められていった。数々のデトロイト・クラッシックスをベースに敷きながら、YMOの"Fire Cracker"、Donna Summerの"I Feel Love"、そしてCandidoの"Thounsand Finger Man"( ! )までもが飛び出す幅広い選曲は、かつてダンスフロアの自由度がもっと高かったころの時代を彷彿とさせるもので、筆者も足の疲れも忘れて最後まで彼らのサウンドに酔いしれることになった。

こうして筆者のSonar初体験は終了。残念ながらスケジュールの都合で2日目に参加することは出来なかったが、おそらく初日同様、IQ値の高いパフォーマンスが繰り広げられたことであろう。個人的な印象としては、台風による様々なトラブルがあったにも関わらず会場内には大きな混乱もなく、サウンド・クオリティの高さやステージ転換のスムースさなどをとっても、バックステージは非常によくオーガナイズされていたと感じた。とくに海外で10年間も続いているフェスティバル、しかも非常に高いクリエイティブ・コントロールを施してきたこのSonar Festivalを日本に輸入するというのは、本国サイドとの交渉も含めて相当大変だったと推察する。日本には、こういったフェスティバルを行うのにふさわしい会場がなかなか見つからないのが実情だが、来年も是非今年以上の規模で、日本のクラブシーンのIQ値をもっともっと高めていって欲しいものである。

Photo クレジット

Yukari Morishita (Karafuto, Akufen, Towa Tei x atom, Chicks on Speed, Juan Atkins, Carl Craig)
Akihiro Saga (Benge, Guitar, HIFANA, nujabes, I'm Not A Gun)


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