06S - DJ AKi MIX CD LAUNCH PARTY feat. FABIO and D BRIDGE @ WOMB
DATE : 30th September, 2004 (Sat)
PHOTOGRAPHER : Mark Oxley / Official Site
TEXT : H. Nakamura (HigherFrequency)
| 主にテクノ、ハウス周辺の情報を中心にコンテンツを掲載しているHigherFrequencyにとってドラムン・ベースの存在は、身近でありながらもなかなか間近に接する機会がなかったというのが正直なところだが、この日はWOMBの人気イベントO6Sをオーガナイズし、日本のドラムン・ベース・シーンを牽引してきたDJ AkiのミックスCD "New Type Drum+Bass 06S"の発売を記念したスペシャル・パーティーが行われ、しかもゲストとしてドラムン・ベースの父と言われるFabioが登場するということもあって、HigherFrequencyとしては初のドラムン・ベース取材を試みることになった。筆者がドラムン・ベースのイベントに足しげく通っていたのはそれこそ５、６年前のこと。決して嫌いになったと言うわけではないが、年齢とともにクラブに出かける回数自体が減ったこともあって何となく遠ざかってしまった感じであり、いわば久々に昔よく一緒に遊んだ親戚の子供にでも会うような感覚で会場へと足を運んだ。 実は先に会場入りしていたHigherFrequencyのフォトグラファーMarkから電話があり「ちょっとお客さんの数が少ないかも…」という報告を受けていたので、ちょっと心配をしながらフロアの入り口をくぐったのだが、そんな心配は全くの無用であったことをいきなり思い知らされる。フロアは完全に満員状態であり、今日の主役のひとりDJ Akiがプレイするエモーショナルなトラックに、早くもピークタイムのような盛り上がりを見せているところであった。しかも驚かされたのは、そこにいるクラウドたちの「純度」の高さ！フロアの後方で腕組みして見ていたり、社交だけに夢中になっているような人はほとんどいない。そこにいるほぼ全員が完全な戦闘モードでフロアを所狭しとうごめいているのだ。そのエネルギーの塊のようなものに背中を押されるように、筆者も気がつくとフロアの真ん中へと繰り出し、DJ Akiの繰り出すサウンドにしばし体を委ねることになる。 | |
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しかし、これが正直言って「カッコいい！」のである。ドラムン・ベースと言えば、どうしてもサイバーでリズムトラックで突進していくという勝手な先入観を抱いていたのだが、DJ Akiのプレイはある種の歌心に満ち溢れていると言うか、ストーリーをしっかりと感じさせるもので、リズムも腰を直撃するグルービーなもの。しかもそこに載ってくる上モノもプログレで言うところのRenaissance風シンセからファンキーなディスコ系サンプル、そしてクールな女性ボーカルまでヴァリエーションも豊富で飽きさせない。まさか今日の取材で「仕事忘れモード」に入るとは思いもよらなかったことである。 その後ブースにはFabioが登場。王者の風格を漂わせながら、ダーティーな雰囲気を持つ攻撃的なトラックを自由度の高いミックス・ワークで聴かせていく。彼のプレイはどす黒く光るファンクネスに、時折クリアで冷気を帯びたようなサウンドがふっと差し込むような雰囲気で、どちらかと言うと内側に向けてエネルギーを放射するようなイメージ。彼のプレイが進むにつれて、フロアの雰囲気も徐々に密度の高い黒い塊へと変化していく様子が感じられ、その後も筆者の「仕事忘れモード」は続いていくことになる。 こうして久々の再会を果たしたドラムン・ベースのイベントであったが、まず感じたのは「また来てみたいなぁ」ということ。HigherFrequencyでは極力ジャンルの壁を取り払い、クオリティの高いクラブ・ミュージックを伝えていきたいといつも考えているのだが、この日ほどその大切さを感じた日はなかったと言えるだろう。やはり音楽はジャンル分けや理論で語るものではなく「音」で楽しむものであり、とくにパーティーはフロアの中にその身を投じてみないとわからないものである。と言いながら、文章で自分の感じたことを表現しなければならない今のサイトの実情に矛盾を感じつつ、「マルチメディア・コンテンツやるぞ〜」とひとりで盛り上がったりしながら会場をあとにした。 | |
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