DATE : 29th October, 2004 (Fri)
PHOTOGRAPHER : Mark Oxley / Official Site
TEXT : H.Nakamura (HigherFrequency) / 一部をYUUKI YAMANE氏作成のWOMB Party Reportより引用
早いもので10月も終わりに近づき、それと共に、今年のTime Sensitive 2004も幕を閉じる瞬間が来た。Opening Partyで見たFrancois Kによる炎のようなライブ・セットがつい昨日のようのことである。そして、その最後の週にフィーチャリング・アーティストとして招かれたのは、我等が日本を代表するテクノゴッド、Ken Ishii。つい先日発表された今年のIbiza DJ Award のテクノDJ部門で見事1位となり、今更ながら彼の世界的な名声を改めて思い知らされたところであるが、テクノというサウンドを日本に広め、そして更に世界へと還元していった男に対するJeffの思いは、やはり特別なものがあったのだろう。 その日の会場は、それまでの3回を遥かにしのぐ混雑ぶりで、やはりこのゴールデン・カードとも言える組み合わせに対するファンの期待度の高さが伺えた。「2001年宇宙の旅のテーマ」が厳かに流れると、既に埋め尽くされたフロアから歓声が上がる。それを合図に、ハードなトラックを浴びせるJeff。まるでブラックホールに吸い込まれるように、怒涛のハードミニマルで攻め立てる。それに合わせるようにフロア内の景色も変化していく。巨大な月や細かな岩片、宇宙の塵の間をすり抜けて突き進む。そして「rushed」で宇宙船はゆっくりと月面に到着した。 Ken Ishiiのプレイはピッチも抑えめの展開で、テクノ・セットというよりはプログレッシブ系セットとも言える内容。このTime Sensitive 2004を素晴らしい映像で支えてきたNUMAN a.k.a. GRAMOOVEをブースの左に従え、まさにこの日のテーマである「エレクトロニック・ミュージックの壁を破るチャレンジ」にふさわしいセットを展開していく。スクリーンの上には東京のモーターウエイの映像や各都市の様々な風景などが映し出され、映画のようなサウンド/ヴィジュアル・スケープが空間を支配。徐々にピッチも加速し、よりハードなテクノサウンドへとシフトしていく頃には、フロアは完全にレッドゾーンを振り切ったような状態になったいた。そして、「E2−E4」のあの美しいリフがWOMBの空間に鳴り響き、あたかもライブセットが終了するかのように彼のセットが一旦終わりを迎える。 | |
鳴り止まないアンコールに応えて1曲プレイをしてステージを終えたKen Ishiiに続いて、白のシャツに身を包んだJeffがステージに登場。アブストラクトなビートレス・トラックと共に今年のTime Sensitive最後のプレイがスタートする。スクリーン上には今度は空と雲が流れる映像と未来都市を描いた素晴らしいCG映像が映し出され、Jeffの紡ぎだすサウンドと完璧なマッチングを見せていたのが印象的だった。 そしてこのパーティーの終わりを告げる、スクリーンに浮かび上がった「Time Sensitive 2004」の文字。ステージからJeffが改めて今回のイベントの感謝を告げると、クラウドからは惜しみない拍手が送られる…。こうして今年のTime Sensitiveは幕を閉じることになった。常に数歩先を見据えシーンの未来を切り開いてきたJeffが、その壮大な実験の場をここ日本に作り上げてくれたことに我々は心から感謝すべきであろう。特に、今年は自らのルーツをたどったコンピレーション"Choice"のリリース、そしてLaurent Garnierと共に行ったジャンルレスを標榜するヨーロッパ・ツアー、そしてシーンに激震を与えたDVD "Exhibitionist"のリリースなど、Jeffの新たな試みが様々なエリアにおいて大きなうねりを生み出した年でもあり、その集大成の場に立ち会えたことは本当にラッキーであったと思う。JeffはLaurentとのヨーロッパ・ツアーを始めるにあたって次のように語っている…「ハウスやディスコ、それにR&Bをプレイするってアイデアはかつての記憶を呼び覚ましてくれるようなもので、十数年もDJをやっていると必ずターニングポイントがやって来て、そう言った音楽に立ち返ることでそこから何かの価値を学びたいと思ったりするものなんだ…」 きっと来年も更に進化しパワーアップした彼に会えることだろう。Thank you, Jeff and see you next year !! |
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