DATE : 26th November, 2004 (Fri)
写真提供 : Beatink (各写真のクレジットは本ページの下部に記載)
TEXT : H.Nakamura (HigherFrequency)
今や日本を代表するエレクトロニック・ミュージックの祭典となったElectraglideが今年も幕張メッセで開催された。2000年にスタートした時には「こんな豪華なアーティストが一度に見れるなんて…」と、まだまだフェスティバル慣れしていなかった日本のファンをビックリさせたものだが、早いものであれから4年。こういったトップ・アーティストが数多く顔を揃えるフェスティバルやイベントも多少当たり前になってきたとはいえ、それでも今回のElectraglide 2004のラインアップには多くの人が度肝を抜かれたことであろう。 The Prodigy、Daren Emerson、Tim Deluxe、2 Many DJs、LCD Soundsystem、HexstaticそしてThe Designers Republic… 確かに最近のビッグ・アーティストの来日ラッシュに慣れきってしまったのは事実だが、やはりこれだけのラインアップはそうそうお目にかかれるものではない。会場に貼ってあるポスターを逆さに読もうが斜めに読もうが、すごいものはすごいのである。何といってもトップ・バッターがあのCold Cutの"Timber"などでも知られるトップ・ビジュアル・アーティストHextaticなのだから、その豪華さはハンパじゃないと言えるだろう。 | |
筆者が会場に到着したのは午前1時ごろ。LCD Soundsystemはおろか2 Many DJsも完全に見逃してしまうことになったが、ステージ上ではすでにThe Prodigyのステージが始まっており、予定より1時間以上も遅れての到着を後悔する間もなくグイグイとその迫力に引き込まれていく。キースとマキシムによるツイン・ヴォーカル(MC)がステージを縦横無尽に駆け巡り、リアムはステージ中央でシンセやミキシング・ボードなどを操る。そしてライブドラマーがファットなビートと派手なドラム・アクションで盛り上げていく… シンプルなセットアップでありながらそれを感じさせない変幻自在の彼らのステージ・パフォーマンスはやはり王者の風格といったところだろう。楽曲はニューアルバム"Always Outnumbered, Never Outgunned"からのものが中心であったが、やはり"Breathe"のあのベースラインが聴こえてきたときには、ミーハーながら大喜びで飛び跳ねてしまった。そしてアンコールの2曲目には"Smack My Bitch Up"が!! やはり筆者の世代(30代半ば)にはこの2曲はもはやDNAに刷り込まれたも同じで、どうしても体が勝手に反応してしまうのである。 | |
The Prodigyのステージが終わり「やっぱすげぇよなぁ」などと話しているうちに、後方のステージには早くも歓声が沸きあがり始める。Darren EmersonのDJプレイがスタートしたのだ。ちなみに今回のElectraglideのステージ構成は、エスカレーターを降りて左手前方に巨大なライブ用のステージがそびえ、それに丁度対面する形で反対側にDJ用のステージが組まれているというもの。したがって、ライブが終了すると丁度みんな回れ右をしてDJフロアに流れ込むことになる。そんな感じでお客が入り乱れる中、フロアにはどこかで聴いたことのあるサウンドの切れ端がカット・アップされて徐々にビルド・アップされていく。それが"Born Slippy"のイントロだと分かった瞬間、フロアの温度は早くも頂点へと達することに。「たぶん、イントロだけプレイしてあとは次の曲に持っていくんだろうな」と思いきや、何とほぼフル・コーラスのプレイ!しかもその次に持ってきたのがTim Deluxeの" It Just Won't Do"、そして3曲目はMory Kanteの"Yeke Yeke"だったからたまったものじゃない。クラウドたちの熱気も一気に沸点へと到達してしまう。この日のDarrenはピッチも140前後と速く、途中からはハード・ミニマルばりの疾走系トラックを連発し、かなりアゲアゲの展開であった。そして最後には再びUnderworldの"Dark and Long"をドロップ。あのブッといJupiter 8で作られたというパッド・サウンドは何度聴いても最高だ。そしてDarren自らマイクを取って観客にメッセージを送り、Underworldで始まりUnderworldで締めくくられた彼のセットは終了する。 | |
再びそこで全員回れ右をし、今度は!!!のライブセットがスタートする。彼らのライブ・パフォーマンスのカッコ好さは噂には聞いていたが、筆者にとっては実は始めての体験。期待まじりにステージを見守ることにする。これは正直言って「衝撃的」だった。好みはハッキリと分かれるサウンドだろうが、筆者にとっては直球ど真ん中。ナマのドラム、ベース、ギター、パーカッションが織り成すファンキーな4つ打ちサウンドに、60年代のフィルモアあたりから飛び出してきたようなNicの祈るようなボーカル。時にホーンセクションが絡み、メンバーがクルクルとパートを入れ替わるなか、ファンキーなダンサブル・トラックからダビーでレゲエイッシュなサウンドまで、カラフルなステージが繰り広げられていく。ロック、ファンク、ディスコ、ハウス、レゲエ…さまざまなサウンドがブレンドされた彼らのサウンドは、妙に後引くいわば美味い料理のような感覚を筆者に与えてくれた。 ここでタイム・アップとなり会場をあとにすることになり、残念ながら最後に予定されていたTim Deluxeは見逃すことになってしまったが、この3アーティストのパフォーマンスだけでも十分に満腹感を感じることの出来たイベントであった。個人的には2ステージ制が大好きだっただけに、来年以降は復活を期待したいところだが、逆に一つ一つのステージに集中できてこちらの方が良いという声も周りから聞かれた。ただ、べた〜っと床に座り込んでいるお客の数がかなり多く、中にはフロアの真ん中でマジで寝込んでいる連中もいたりして、ちょっと雰囲気をそがれてしまったのも事実。まぁ、その辺りの感覚は人それぞれだろうが、聴く側のマナーというものをちょっと考えさせられたイベントでもあった。 Photo Credit 2many DJs / LCD Soundsystem / Tim Deluxe / Darren Emerson / Crowd (Small) : Tadayuki Aritaka !!! / Hexstatic / Crowd (Top) : Teppei The Prodigy : Yuki Kuroyanagi |
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