HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

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ARIA 03 CECILLE SHOWCASE @ AIR, TOKYO

DATE : 8 May 2009 (Fri)
FEATURING DJ : Nick Curly (Cecille, 8bit), Robert Dietz (Cecille, be chosen)
DJ : DJ Sodeyama (No:More Rec, Archipel), Takuya (Riot, BLiNKBLiTZ, The Barcelona)
LOUNGE DJ : Kikiorix (Ladies & Gentlemen, Redbox), Shingo420 (Weekend Warriorz), Ettoo (Anima, Gio)
Aita (Ignite)
VJ : Chimaera Craft
PHOTOGRAPHER : Masanori Naruse
TEXT : Hiroki.K




ヨーロッパ圏を中心に近年日本でも多くのダンスミュージックファンをフリークさせているミニマル、テックハウス。 中でも今最もフレッシュかつ勢いのあるサウンドを矢継ぎ早にリリースし、世界中の DJ・クリエイターから多くの注目を集める Cecille Records/8Bit Records を率い、マンハイム・サウンドと呼ばれる一連のシーンの旗手でもある Nick Curly が、同シーンの最注目アーティストである Robert Dietz と、ここ東京におけるパーティーの新機軸とも呼べる 「ARIA@AIR」 に初来日を果たした。


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「ARIA@AIR」 は2009年3月にローンチしたばかりのパーティーではあるが、DJ Sodeyama を中心に Kikiorix、Takuya など若手ながら国内外で既に多数活躍の場を持つ有能なアーティスト・DJ陣を擁し、第1回に Stimming、第2回に Matthias Tanzmann など気鋭の海外アーティストをゲストに迎えており、エッジーなフロアメイキングが好評を博している注目度の高いパーティーだ。筆者も旬を見逃すまいと毎回必ず足を運ぶパーティーの一つである。 3回目となる今回も、ラインナップをフライヤーで確認しただけでこれに行かない理由を見つける事が非常に困難であり、どれだけ濃厚な一夜になるのか想像すらつかず、この夜起きる全てを確認すべく雨上がりの代官山へ向かった。

階段を足早に降りメインフロアへ向かうと、オープンからプレイしていた Takuya によるウォームアップに続き、DJ Sodeyama によるグルーブ感溢れるプレイでこのパーティーを象徴する独特の空気感が作り上げられていた。ブースに向かって黙々とステップを踏み続ける人々と彼との間でとられる、一種対話にも見えるエモーショナルなやり取りは、フロア外で談笑していただけだった人々を巻き込みながら、ピークタイムを期待させるに十分な空間へと徐々に変化していった。フロアの人口密度が上がり、高揚感を露にしたオーディエンスからの歓声がちらほら聞こえてきた頃、それに呼応するかのようなタイミングで Robert Dietz がブースに登場。テックハウスのトレンドど真ん中の重くタイトなキック、パーカッシブな上モノを駆使したプレイで、あっという間に自分の土俵へフロアを引き込んでしまった。あっけにとられている間に、間髪いれずやや上ずったベースラインをうねらせながらボルテージをぐんぐん引き上げ、ピークタイムへの助走をつけ始めた彼を見届けつつ、休憩がてら一度B1Fラウンジを覗いてみる事に。

ラウンジでは Kikiorix、Shingo420 らがメインのストイックなサウンドとは趣を異にした、ディープで温かみのあるハウスグルーヴで見事な対比を作り出し、メインフロアを行き来する人々の絶好の回遊ルートとなっていた。ここでは音楽を楽しむ人、会話を楽しむ人、躍り疲れた体を休める人など、各々が好きなスタイルで遊ぶ事の出来る、まさにクラブの醍醐味が詰まった場となっており、常に人が絶えることのない盛況ぶりを見せていた。踊りたおすのもまた一興だが、こういった楽しみ方もまた一つである。

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一息ついて再度メインへ戻ると、Robert のプレイは更にヒートアップしていた。熱気を帯び満員状態のフロアに渦巻くようなバイブスが生まれ、人々の足が止まる様子は一向に見られなかった。ちょうど目の前で楽しそうに踊っていた派手なプリントのTシャツを着た男性に煽られ、筆者も上着を脱ぎ再びフロアへ!

畳み掛けるようなキックと軽快なハイハットのコンビネーションに体を預けて踊る。とにかく踊る。ともするとこのまま朝まで踊り続けてしまうかも!?と思った次の瞬間、体の芯を揺さぶるベースラインがフロアを縦横無尽に走りはじめた。ブースに目をやると DJ が一人増えている。Nick Curly だ!

そのまま Robert からバトンタッチになるかと思いきや、見ているとどうも今夜はB2Bでプレイするようだ。こんなに豪華な組み合わせはまず見られない。ブース前からフロアの端に移動し、しばし観察モードで楽しむ事に。Robert が16ビートのハイハットやパーカッションを軸にした選曲で縦の波を作ると、そこに Nick が抑揚のついたベースフレーズで横の波を作っていく。淡々とした流れに大波がランダムに訪れる度、大きな歓声が巻き起こる。素晴らしいコンビネーションプレイだなぁ・・・と息を飲む間もなく、気付くとまた最前列に戻らされてしまった。最早観念し、無心でステップを踏む。朝を迎える頃にも幾度となくアンコールが繰り返され(3回目までは記憶にあるが・・・)、フロアの照明が全点灯されるまでこの日はすっかり踊り明かしてしまった。

現状、ただの海外アーティストの興行になってしまっている大箱のウィークエンドパーティーにこそ、DJ のプレイを聴くだけではない、クラブならではの 「遊び」 要素が詰まったこのような空間が一番不足していて、今後増やしていく必要がある事をこのパーティーで強く感じた。個人的な想いが強い部分もあるが、昨年の Yellow 閉店以降本当に少なくなってしまったと思う。テックハウスシーン、また ARIA@AIR はそういった雰囲気を味わえるだけでなく、最前線のサウンドにも触れられる貴重なカルチャーであり、これらを手本に平日・週末を問わず、本来の 「パーティー」 がここ日本でも増えていくことに期待したい。

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