HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

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HORIZON presents JOHN DIGWEED @ SHINJUKU FACE, TOKYO

DATE : 5 May 2009 (Tue)
DJ : John Digweed (Bedrock), Yoda
PHOTOGRAPHER : Masanori Naruse
TEXT : Toru Kikuchi



GW終盤の5月5日こどもの日、Shinjuku Face にて、DJ Yoda 主催の Horizon presents John Digweed が開催された。90年代初頭から Sasha とともに世界のプログレッシブシーンを築き上げ、いまだなおひた走る John Digweed の来日である。歌舞伎町に位置する Shinjuku Face は普段フリースペースとして使われている場所であり、今年はGWの期間限定でクラブスペース 「SOUND LAB FUNCTION」 としていくつものパーティーが開催された。ダンスミュージックが必要としている 「実験精神」 を備え、今やほとんど忘れられてしまった原点、すなわちシンプルに 「音楽を楽しむ場所」、「オーディエンスとDJ、オーガナイザーによる新たな関数を計量する場所」、「音楽の持つ力強いメッセージによる祝祭の場」 というのがこのクラブのコンセプトである。何よりもこの場所は現在恵比寿にある Liquidroom が以前まであった場所であり、久々にこの場所でクラブイベントが開催されるとあって楽しみにしていたクラバーがこの日は多く見うけられた。


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小雨のぱらつく中、23時に会場の入り口に到着。以前 Liquidroom があったころは7階までの長い階段を登らねばならなかったが、今回はエレベーターでスムーズに7階まで運んでくれた。会場は以前とほとんど変化がなく、「何も変わってないねー」 という昔を懐かしむ声があちらこちらから聞こえてきた。今回のパーティーの主催者である DJ Yoda は過去にこの場所で 「Mothership」, 「The Ocean」 というパーティーを開催しており、当時まだ日本ではほとんど知名度のなかった Sasha や、Paul Van Dyk 等をいち早く召致し日本のトランス・プログレッシブシーンの礎を築いてきた。この日 Yoda はオープンから2時間ほどプレイ。久しぶりの Home に戻ってきたからなのか、Yoda のプレイは序盤からアグレッシブに攻める情熱的なプログレッシブトラックを連発していた。1時手前になると、フロアはほぼ埋まっており、みなが黙々と Digweed の登場を待ちわびていた。

この日筆者が興味深かったのは、新宿という土地柄なのか、渋谷・六本木とはまた違うお客さんが多くみられたことだ。新宿という場所特有の雑多感がお客さんからも感じられた。少しコワモテ風のお兄さんから、遊び尽くして丸くなったんだろうなという人、Digweed 大好きです!!というような人、近くのお店で働いてるんですよという風なお姉さん等など、色んな人がいたのだが、その来ていた人みながひとつのフロアでダンスすることに没頭していた。こういう雑多感が大好きな筆者は、その光景だけで一人ニヤニヤしてしまった。おそらく一番変だったのは筆者に違いない。もうひとつ興味深かったのは、演出がステージの上に設置されたブースにDJが立ち、特に映像が入るわけでもなく、照明と音だけでお客さんを躍らせるというシンプルかつ明瞭なものだったことだ。そのためフロアはだいぶ暗かったのだが、それが逆にフロアの居心地の良さへと変わり、何度フロアとラウンジスペースを往復してもすんなりと音や雰囲気に浸ることができた。現在映像が入ってショーケース的なクラブイベントが増えてきているが、こういった環境の方がお客さんとしても自主性が生まれて楽しいのではないかと思った。先に述べた 「SOUND LAB FUNCTION」 のコンセプトがしっかりと表現されている空間であった。

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いよいよ Digweed の登場である。大きな歓声とともにプレイがスタート。序盤は少し乗り切れてない感があり、いろいろなトラックをかけて少々まとまりの無い感じであったが、1時間も経つころにはきっちりと Digweed らしい堅く、軸のあるプレイへと軌道修正されていた。そこからはもう本領発揮というか、過去これまでに何度も Digweed のDJを聞いてき中で一番良かった。前半はアッパーなトラックを用いることはほとんどなく、ひたすら暗いフロアに呼応するかのようにオーディエンスをハメていた。PCを使った彼のDJはおそらく同時にいくつかの曲をパーツパーツで組み合わせていたようで、上音は何本ものレイヤーを張り巡らせたような緊張感のある繊細なものへと変わり、ベースラインは強く重厚感を増し、そしてどこからとも無くボディーブローのようなキックを捻りだしていた。ひたすらにオーディエンスを自分の世界に引き込んだ後、シフトチェンジし後半はガンガンに躍らせる激しい流れへと。オーディエンスはというと、激しい曲が流れてきたからといって決してむやみやたらにそれに釣られてテンションを上げ発狂するわけでもなく、まだまだ足りない!といった感じで踊り続けていた。DJとオーディエンスのある種の駆け引きのようなものが行われていたように思われた。そういったものが Digweed 本人にもいい刺激を与え筆者がこれまでで一番良かった!と思えたのではないだろうか。終盤はトランスのように疾走感のあるDJを聞かせてくれて、一晩中飽きることなく躍らせてくれた。この日のパーティは最近ではなかなか感じることのできない、クラブ・クラブミュージックが元来持つ 「本当のかっこよさ」 を与えてくれた。

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