HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

Satoshi Tomiie

PIONEER presents KHE3 x ES DOUBLE RELEASE TOUR feat. DJ GEAR DJM-1000 x EFX-1000 @ SPACE LAB YELLOW, TOKYO

DATE : 27th May, 2005 (Fri)
PHOTOGRAPHER : Mark Oxley / Official Site
TEXT : H.Nakamura (HigherFrequency)




ニューヨークをベースにまさにワールド・ワイドな活躍を展開するトミイエサトシと、日本のシーンを黎明期からリードし、今年でDJ歴20周年を迎えるキムラコウ。それぞれ活動の拠点こそ違え、日本のクラブ・シーンを世界レベルへと導いてきたこの二人の功績には計り知れないものがある。そんな二人が、ほぼ同時期にミックス CD を発売。そのダブル・リリース・パーティーが、同じく近日中に"ダブル・リリース"が予定されている Pioneer の2モデル、DJミキサー"DJM-1000"と DJ エフェクター"EFX-1000"をそれぞれフィーチャーして西麻布の Yellow にて開催された。

二人が共演するのは、筆者の記憶にある限りでは、昨年11月の John Digweed の来日公演以来。過去10数年に渡り、ここ Yellow で何度となく伝説的な夜を紡ぎだしてきた彼らだけに、筆者も期待感に胸を膨らませながら会場入りする。フロアでは既にキムラコウが、クールでありながらもドライブ感の溢れるセットで、徐々に全体の温度感を上げているところ。時折、EFX-1000 を使ったトリッキーなサウンドを織り交ぜながら、じっくりお客と対峙しながらグルーブを上げていくそのスタイルは、"Mix Work シリーズ"から現在の"Ko: Hear: Ency"シリーズに至るまで、常にフロアの熱気をミックスCDというパッケージに収めてきた彼ならではの 『リリース・パーティーのアティテュード』 と言えるのかもしれない。

Ko Kimura
Pioneer Booth
Pioneer Baloon Yellow's Floor
Yellow's Floor Yellow's Floor
Satoshi Tomiie

さて、先ほども触れたとおり、この日は Pioneer の DJM-1000 と EFX-1000 のリリース・パーティーも兼ねたもので、会場の中には実際これらの機材に触ってみることの出来るトライアル・ブースが設置されていた。筆者も早速近づいて触ってみたのだが、まず DJM-1000 のアイソレーターの位置に感激!既にDJ業からは引退してしまっている身であるにも関わらず、「いやぁ、ここにあると楽なんですよね〜!」 などと騒ぎながらしばらくいじり倒す。と言いながら、このミキサーの最大のウリはデジタル・システムによる高音質とのこと。アイソレーターばかりに興味を示す 「元パフォーマンス系DJ」 である筆者に、担当の人が丁寧にそのスゴサを説明してくれた。

しばらくすると、フロアではトミイエサトシにプレイがバトンタッチされ、タイトでエレクトロイッシュなトラックを中心にセットがスタート。The Dons feat. Technotronic の "Pump Up The Jam" や Bush II Bush "Piano Track" などお馴染みのキラー・トラックを挟みながら、鮮やかな流れでもってフロアをピーク・タイムへと押し上げていく。スピーカーから出てくる DJ-1000 の音も、メリハリがハッキリした筋肉質なニュアンスで、エサとして曲中に入っている細かいループもキッチリと前に出てくる感じ。まさにデジタルならではというところなのだろうが、曲の持つ勢いとスピード感だけで盛り上げていくのではなく、それぞれの曲が持つ繊細なニュアンスを綾織り風につなげることで展開を作っていくトミイエ氏のスタイルとの相性はバッチリのように思えた。

Ko Kimura

Satoshi Tomiie
Yellow's Floor Pioneer Gears
Yellow's Floor Ko Kimura

この日のトミイエ氏のプレイは、ここ最近のプログレッシブ・シーンの流れを最も強烈に印象付けたセットであったと言えるだろう。タイトなキックにエレクトロイッシュなサウンド・カラー。かつてのプログレ・トラックのように大げさなブレイクもなければ、暴走系のハイハット・ループもない。どちらかと言えばシンプルでミニマルなビートに、あくまで効果的に絡む音数の少ないベースと印象的な主旋律…。それでいて、いつの間にかフロアに今まで以上の高揚感が生まれているというのは、やはりDJとして、またプロデューサーとして世界中のフロアを知り尽くした彼だからこそ出来る技なのかもしれない。

技術の進歩で誰でも音楽を作れるようになり、世界中で毎日スゴイ数の新曲が生まれている今、その中から如何にフロアで映える音をピック・アップ出来るかはDJにとって生命線となっているが、その意味において改めてトミイエサトシというアーティストの底力を目の当たりにさせられたような気がした。

Ko Kimura
Yellow's Booth

 

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