HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

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ECLIPSE2009〜奄美皆既日食音楽祭 @ 明神崎リゾート ex.HANA HANA EAST

DATE : 16〜24 July 2009 (Thu〜Fri)
ACT : Eric Mouquet from DEEP FOREST, System7, Etnica, Takkyu Ishino, Ken Ishii, DJ Tsuyoshi, Mix Master Morris, Andrew Till, DJ Nori, Kaoru Inoue, Ree.K, Masa, Juzu aka Moochy, Hikaru, Dachambo, Soft, The Sunpaulo, Funky Gong + more.
PHOTOGRAPHER : Kuro, Relaxmax, Kotaro, Munehide Ida
TEXT : Terumi Tsuji



'09年7月22日、46年振りに日本の陸地で皆既日食が観察された。しかも今世紀最長の皆既日食ということで、数年前から著者もかならず参加しようと心に決めていた。しかし今回観測できる場所の多くが離島ということで交通手段や宿の手配が非常に困難であったため、一時は参加自体が危うまれたが、奄美で開催された 「奄美皆既日食音楽祭」 主催のツアーを無事手配することが出来たため、4泊5日奄美バケーションを楽しんできた。

鹿児島港から大型チャーター船に揺られること約11時間。到着したのは夜11時を過ぎているにも関わらず、ジッとしているだけでも汗ばんでくるような暑さ。早くも南国にたどり着いたことを肌で実感させられる。名瀬港から会場の明神崎リゾートまでは専用バスで移動し、日付が変わった頃ようやくフェスティバルサイトへ到着。大阪を出発してから既に17時間以上経つため体は疲れきっていたが、逸る気持ちを抑えきれず速攻フロアへと向かった。

明日のオープンに向けて最終調整中のメインフロアを抜け、ビーチへ面した月ステージへ。紅く光るデビルの角のようなゲートを通り抜けると、波の音が聞こえてきた。砂浜に設置されたステージに映し出された緑のレーザーが、緩やかなテックハウスのリズムにシンクロして気持ちがいい。外国人も多く、どこかタイのパンガン島を彷彿とさせる。音楽と潮風、そして満天の星をしばし堪能し、明日から始まる過酷な暑さに備え早めに就寝。

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滞在2日目。湿気と暑さで7時半には目が覚める。まずはこれから4日間を過ごすキャンプサイトの散策。著者たちがキャンプ地として選んだのは、メインフロアから少し離れた地球エリア。メディテーションテントや、オーガニックカフェもあり、オーストラリアの Rainbow Serpent やイギリスの Big Chill のようなリラックスした空気が流れている。このエリアにキャンプしている人たちは長期滞在者が多く、もはや一つの村のようだ。南国特有の木々や真っ赤なハイビスカスの花が、バケーション気分をより一層盛り上げる。 地球エリアのオアシスことカフェ 「SORA」 のタイフードで食欲を満たした後は、公共バスに乗り島を探検へ。

この日の夕方からメインフロアの太陽もオープン。夜の帳が降りた頃、奈良の天川神社の宮司、柿坂神酒之祐氏による護摩焚きが厳かに執り行われた。地元住民も巻き込んだ大笠利里前地区八月踊り保存会による伝統踊り 「八月踊り」 の圧倒的なパフォーマンスに続いて、Dachambo が登場。ジャンルの枠を飛び越えたハッピーなジャムサウンドでフロアを湧かせた。その後月ステージの Mirror System へ移動すると、BPM125前後の気持ちよいテックハウスを披露中。"今時" なカッコいい音ではあったが、Mirror System 本来のアンビエント〜チルさが殆どなく少し残念だった。太陽ステージでは TAKKYU ISHINO、KEN ISHII といった大御所のプレイが控えていたが、明日の皆既日食に焦点を当てるべく、3時頃にはテントへ戻り夢の中へ。

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滞在3日目、皆既日食当日。興奮して6時頃目が覚めるも、外はあいにくの曇り空…。太陽からかすかに聴こえてくる Ree.K の音は、すぐにでも踊りに行きたい位カッコ良かったが、天気の悪さにテンションが上がらず。「次に目が覚めたときは青空が広がってますように…」 という淡い期待を胸に再び眠りについたが、残念ながら願いは天まで届かず。フロアでアマテラスに直談判することに。

太陽ステージへ着くと同時に、System7 のライブがスタート。 手塚治虫氏による長編アニメーション 「火の鳥」 にインスパイアされて作られたコンセプチャル・アルバム "Phoenix" のメイントラック 'Hinotori' を一曲目に持ってくる辺りに、彼らの日本に対する愛情の深さを感じてしまう。ここ最近はアッパーでアグレッシブなライブセットを披露することが多かった彼らだが、この日のセットは幻想的でスペーシー。そのスピリチャルな音を聴いているだけで、1時間後に迫った皆既日食への期待がドンドン膨らんで行く。10時を過ぎた頃には、少しずつ太陽が欠け初めて来た。そしてヒンヤリとした空気が流れ始める。今まで体験したことのない凛とした 「冷たさ」 を肌で感じる。時折雲が意地悪をして太陽を隠してしまうが、この独特の空気を体験しているだけでも鳥肌ものだった。次々とヒット・トラックをプレイし、ラストは 'Hinotori' でフィニッシュ。これから始まるエクリプスに向けての最高のプロローグと言える素晴らしいライブだった。ライブ終了後、皆既日食を見るためにビーチへ移動。するとビーチ手前で大阪から来ている友人に偶然出逢い、彼女たちのテントでその瞬間を待つことに。

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日食直前、虹色の輪が太陽を囲み、そして10時55分月が太陽をすっぽりと包み込んだ。その瞬間、空がグレーに染まり、 そして静寂が訪れた。夕方とも夜とも違う美しい空の色。今までに見たことのない景色に圧倒され、太陽の様子を見守るのが精一杯だった。そして2分44分後、太陽が再び顔を見せはじめ、世界は元の色へと戻った。日食後の時間の流れは驚くほどゆっくりで、穏やかなものだった。 曇りだったため完全なダイヤモンドリングを見ることは出来なかったが、エクリプス・バージンの著者にとっては、十分すぎる神秘体験だった。これで最後ではなく、今回がエクリプスハントの入り口。2012年のオーストラリアのエクリプスでは、好きな人と一緒に太陽と月のランデブーを体験したい。

Mixmaster Morris のゆるいレゲエをバックにテントへ戻り、しばらく余韻に浸っていると雲行きがどんどん怪しくなり、大粒の雨が降り出した。雨が降っては戦は出来ぬということで、しばし休憩。雨が降ると暑さが和らぐため恵みの雨ではあるけれど、これが皆既日食前でなく本当に良かった。夕方には雨も止み音が再び鳴り始めたため、Eric Mouguet from Deep Forest を見に再び太陽ステージへ。ステージ中央に置かれたシンセサイザーから壮大で美しいメロディーが次々と奏でられる。往年の名曲たちも現代風にアレンジされ、よりダンサブルなトラックへと変化していた。曲が終わる度に音を止め次のナンバーを紹介するスタイルは、正直少々時代遅れな感もあったが、トラックへの熱い想いを語る姿がとても印象的で好感が持てた。夜はトランス中心だったため、地球エリアで Candle JUNE のキャンドルアートと星を眺めながらゆっくりとした時間を過ごした。

滞在4日目。マングローブツアーに出かける予定だったが、雨のため断念。そろそろ自然や天候に身を任せることに慣れてきた。今までレイブでは音中心に行動スケジュールを経てていたが、ここ奄美ではそれは通用しない。やる気を失わせる程の暑さや突然の豪雨で、自然の偉大さを改めて実感させられる。明日こそ晴れることを願って、テントの中で雨が止むのを待ちわびた。そして夕方雨が上がってからは、フロアへ急いで移動、星空の下で音と戯れることに。すっかりジャジーで大人っぽくなった SOFT のライブも去ることながら、この日のNO.1はオーストラリア出身のベテラン DJ Andrew Till。トランス黎明期を彷彿とさせるダークなテックトランスと、日よけタープに映し出されたミニマルな映像が驚くほどマッチして、彼の世界にグイグイと引き込まれてしまう。やはりトランスは宇宙へと繋がっているんだなと感じずにはいられないセットだった。

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滞在5日目、最終日。著者の願いがやっと天に通じたのか、惚れ惚れするような快晴!どこまでも続く青空に、キラキラ輝く青い海。奄美最高!青空の元で聴く音楽はこれまた格別で、ターコイズブルーの海を眺めながら月ステージで音浴。まさに至福の瞬間。昼間にはフェスティバルを後にしなくてはいけなかったため、フロアにはあまり長居は出来なかったが、最後の最後にこの景色が見れて本当によかった。フェスを思う存分楽しんだ!という清々しい気持ちで会場を後にした。

著者が野外パーティーに行き始めて今年で早や10年。ここまで過酷なレイブは正直初めてだった。人生初レイブで出会った友人カップルにフロアで偶然再会したのだが、彼らは今や夫婦になり2児の親となっていた。その瞬間、この10年間に遊びに行った野外パーティーの楽しかった思い出が、走馬灯のように次々と蘇ってきてノスタルジックな気持ちにさせられた。'06年から3年に渡って開催された奄美皆既日食音楽祭 COUNTDOWN PARTY を経て遂に実現した今回の奄美皆既日食音楽祭は、著者の10年間の総括とも思える厳しくそして心に残る素晴らしいフェスティバルだった。世界中から集まったエクリプスハンターにも、日本のフェスのクオリティーの高さがしっかりと伝わったのではないだろうか?このフェスを作り上げてきた人たち全てに感謝の気持ちを送りたい。

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