HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

HigterFrequency パーティーレポート

ROTATION 10 YEAR ANNIVERSARY PART 1
BUNKA VIBE WAGON REPAIR VS CYNOSURE @ ageHa, TOKYO

DATE : 4 July 2009 (Sat)
【ARENA】
LIVE : Modern Deep Left Quartet (Cobblestone Jazz + The Mole), Deadbeat feat Tikiman (Wagon Repair, Cynosure/Canada)
DJ : Mike Shannon (Cynosure/Canada), Fumiya Tanaka (op disc, Sundance), Sisi (Timothy Really, Real Grooves)
VJ : Ben Sheppee (lightrhythm Visuals)
【WATER BAR】
Tripster Presents Mild Bunch Soundsystem featuring :
EZ (Tilt), Fran-Key (Crue-L), Fraser (Mo`Wax), Kun (Tripster), Maxxrelax (Tripster)
LIVE : The Mole (Wagon Repair)
【ISLAND BAR】
DJ : Tech Booty Funk (Red Box), Aosawa (Red Box, Freerange Tokyo), Patrick Oancia (JayaJaya, Yoga Jaya, Interchill), Kikiorix (Ladies and Gentleman, Red Box, Geisha Disco Boyz) × Satoshi Otsuki (Tres Vibes, Circo Loco Japan) × Takuya (Riot, BLiNKBLiTZ)
【TENT】
DJ : Chad Breen (Rotation, Minimal.Ca/Canada), Ozmzo a.k.a Sammy (Real Grooves), Hidehiko Takano (Affordance, Real Grooves), Mold
PHOTOGRAPHER : ryu kasai, Fumiaki Sakurai
TEXT : Yuki Murai (HigherFrequency)




今夜のパーティーが楽しみすぎてとにかく気が気でない、という状態に陥ったことは、 クラブ・ミュージックを愛する人なら、少なくても一度は味わったことがあるのではないだろうか。

これまで数々の素晴らしい夜を紡いできた良質パーティー Real Grooves。その前身となるイベント ”Rotation” 開催から数えて10周年というアニバーサリーイベントが、ageHa を代表する信頼のビッグ・パーティー CLASH との共催で行なわれると聞いた時から、身にすっかり染み付いている 「いいパーティー」 へのアンテナが一気に反応したのは言うまでもない。 筆者には久々の2日連続のクラビングだったが、前日の疲れは期待でどこかに蒸発してしまい、日中からずっと落ち着かぬまま。この勢いに遅れをとってはなるものかと前のめりに ageHa 入りを果たした。

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アリーナに入ると、丁度 Deadbeat feat. Tikiman のライブ準備の真っ最中。ステージ前には Real Grooves でよく見かけるような夜遊び慣れした感じの人々はもちろん、さすがの大箱・ageHa とあって、筆者が普段あまり見かけないタイプの人々の姿もちらほらとうかがえる。まだ浅い時間、これから始まる挑戦的なセットに、果たして彼らはどんな風に反応するのだろう…(笑)。

筆者にとっても Deadbeat feat. Tikiman のライブは初体験だったのだが、重いビートのきまぐれな反復の上に、もともとその一部であったかのように乗っていく Tikiman のクールなラップ…これ自体が素晴らしいのに加え、天井の巨大スピーカーから箱全体にごうごうと降り注ぐ音の圧倒的な質感にすっかり打ちのめされた。こんなヘビーでマニアックな音を、ここまで大規模なサウンドシステムで体感できてしまう今夜のセッティングの贅沢さに思わずニヤニヤしてしまう。そして、ディープな音像をまったく崩さぬまま、しっかりとお客を煽る Tikiman の姿がまた猛烈に格好良い。先述した人たちも、彼の煽りスキルで楽しそうに拳を振り上げていた。 AM1時前からいきなりこの盛り上がり、どうしてくれよう?気が付くと、音にあわせて重めに揺れていた(つもりの)筆者もすでに汗だくである。

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まさに 「致死級」 の Deadbeat の音から回復する猶予もそこそこに、ステージでは Modern Deep Left Quartet のセッティングが着々とできつつある。これまでにも複数回来日し、すっかり日本のシーンでも人気が固まったと言える Mathew Jonson、 Tyger Dhula、 Danuel Tate の3人からなるジャズ・テクノ・ジャムバンド Cobblestone Jazz に、彼らのレーベルメイトでもある The Mole が加わったスペシャル・バンド構成。先日DVDにも収録されたCobblestone Jazz の Yellow でのライブにも居合わせた筆者はもちろん数年来の大ファンだ。広いアリーナが続々と埋まっていく。早く彼らの音が聞きたい!大歓声の中、ライブがスタート。

最高なライティング、最高なサウンドシステムが最高な音に出会い、フロア全体が音で描かれた映像のように感じられる。テクノ経由のしっかりとしたボトムに身体が踊らされ、感情はジャジーでちょっとひねくれたメロディーライン、緊張感あるパーカッションとシンクロして揺り動かされていく。そこには本当に、純粋に抽出された 「音楽」 があった。 言うのは2回目になるが、今夜のセッティングはとにかく贅沢すぎる!瞬間、瞬間で変わっていく音像に翻弄され、どこまでも続くように思えたジャム・セッションはいつの間にか、あらかじめセットされていたかのように自然と終了した。 以前はダンス・ミュージックに 「ジャズ」 要素が入ってくるだけでちょっと敷居の高いもののように感じられていた自分の認識をすっかり変えてくれた彼らだが、今回のライブはそれ以上、完全にネクスト・レベルに到達していた。

後を引き継いだ Mike Shannon の端正なグルーヴ、朝焼けの Water Bar で見た The Mole の自由なセット、そこだけ真夜中が続いているような ISLAND BAR、そして最後の最後を飾ってくれた田中フミヤ氏の貫禄のセットに、一気に駆けつけた人たちのフロア中に広がる笑顔…。 後半はあちこちのフロアを巡って楽しむ感じで、最後まで全力で行けなかったことに正直、ペース配分ミスをしてしまった感もあるが、この日、広いageHaの全体に満ちていた強烈なパーティー・グルーヴは、久々に感じたビッグな楽しさだった。

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