DATE : 20 January 2006 (Fri)
DJs : Damien Lazarus (Crosstown Rebels) Kentaro Iwaki
PHOTOGRAPHER : Mark Oxley Official Site
TEXT : Yoshiharu Kobayashi (HigherFrequency)
Felix da Housecat の "Silverscreen" や Tiga & Zyntherius の "Sunglass at Night" といった名曲を次々とリリースしてきたエレクトロクラッシュの先駆け的なレーベル、City Rockers で A&R を務め、現在はその傘下で Crosstown Rebels を主宰。その一方で、イビザの DC10 やロンドンの Fabric といった数々の名高いクラブでプレイを重ねるなど、多角的なかたちで現在のエレクトロ・シーンを牽引している DJ、Damian Lazarus。待望の来日となった今回は、前回 The Glimmers を招聘した注目のパーティー、deAthdisko でエクスクルーシヴ・ロング・セットを披露した。ストイックな展開でじっくりと楽しませる彼のスタイルを堪能するにはうってつけのロング・セット。そこには派手さこそ無かったが、期待を遥かに上回る濃密な一晩を届けてくれた。 まだフロアに人影もまばらなオープン間もないころのメイン・フロアでは、Kentaro Iwaki がゆったりと身を任せたくなるような幻想的なセットを披露していた。しかし、Damian の時間が迫ってくるにつれて、トライバルなパーカッションが縦横無尽に鳴り響く独自の展開で徐々にペースを上げていく。よくある「味付け」程度にトライバルを取り入れたスタイルとは一線を画するオリジナリティの光るプレイ。その不思議な魅力に乗せられてフロアが十分に暖まったところで、お待ちかねの Damian が DJ ブースの前に登場した。 | |
Kentaro Iwaki のプレイに対してフロアに拍手を求めるという、紳士的な態度を見せてからプレイを始めた Damian。ミックス CD で聴く以上に大ネタを安易に使わない地味な DJ スタイルながら、曲間からじわじわと自分の世界観を漂わせていき、いつの間にかフロアを自分の空気で包み込んでしまう。「自分は DJ でありトラックメイカーではない。だから名を売るためだけに曲を作ったりしない。」という真摯な姿勢で DJ に取り組む彼だからこそ出来るのであろう、まさに DJ 職人という言葉がぴったりのプレイ。新鋭と呼ばれている彼がこのような渋いプレイを見せるのも驚きだったが、更に驚くべきは、彼はこのロング・セットの中でほぼ一つの展開を繰り返していただけ、ということだった。これは、下手をすればクラウドを退屈させてしまいかねない挑戦的なスタイルである。しかし、この日は退屈どころか抑制と開放を繰り返す展開をコツコツと積み重ねることによって、ボディ・ブローのようにじわじわと私たちを深い快感へと連れ込んでいってくれた。この絶妙な匙加減の上手さこそが、今最もブッキングが難しい DJ と言われる所以なのだろう。 フロアは決して足の踏み場も無いほど込み合っていた訳では無く、クラウドが一斉に両手を高々と挙げるような分かり易いピーク・タイムがある訳でもなかった。しかし、職人芸の美しさでピンと張り詰めた空気を創り出し、終始フロアを揺らし続けたそのプレイは、淡々としているだけに、なおさら深い印象を残すものだった。 | |
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ディスクレビュー : Damian Lazarus / Begged Out presents Suck My Deck (2005/06/10)
インタビュー : Damian Lazarus Interview with Jonty Skrufff (2005/06/24)
関連リンク
Damian Lazarus Official Site
Crosstown Rebels Official Site
UNIT Official Site