HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

EAST VILLAGE 2ND BIRTHDAY with Quentin Harris
LONDON REPORT

DATE : 20 February 2010 (Sat)
VENUE : EAST VILLAGE
LINE UP
Downstairs : Quentin Harris (4hours set), Stuart Patterson, Jimmy P
Deco Lounge : Richard, Taka, David Hill, Jimbo Raw Deal, Amy, Simon Kurrage

Photo by Takahiro Nakayama, Yuka Kimura
Text by Takahiro Nakayama




2012年に開催されるロンドンオリンピックの為の開発でゲットーなイメージが払拭され、すっかりオシャレなエリアとなったイーストロンドンの Shoreditch。 数年前までは街中の壁がグラフィティーやイベントのポスターで埋め尽くされ、スクワット(勝手に空き家に住みつく行為)が横行していたエリアとは思えないほど、週末になると観光客やナイトライフを楽しむロンドナーで賑わっている。このエリアには Cargo, Plastic People, Tbar など中規模クラスのクラブやバーが多いため、週末になると数えきれない程のパーティーが開催されている。

パーティーの激戦区 Shoreditch に EAST VILLAGE がオープンしたのが2008年の2月だった。
Medisin bar というバーの跡地に大規模な改装を施し、新しいサウンドシステムを搭載してオープンした。ミュージック・ダイレクターは、ロンドンの老舗ハウスパーティー 「FAITH」 の中心人物である Stuart Patterson。彼は以前にウエストロンドンで 「Lodge」 という知る人ぞ知るロンドンのアンダグラウンドなクラブを経営しており、ロンドンのハウスシーンに多大な影響を与えた人物でもある。
Stuart の音楽に対する真摯な情熱と抜群の立地条件が起爆剤となり、EAST VILLAGE は一瞬にしてロンドンのトップクラブの仲間入りを果たした。

オープンからの2年で EAST VILLAGE でプレイしたアメリカやヨーロッパのビッグDJは数えきれず、定期的に1階のラウンジでDJをしている筆者が 共演させて頂いたDJだけでも、Carl Craig, Osunlade, Danny Krivit, Derrick Carter,Todd Terje, Prosumer, Phil Asher とかなり豪華であった。
さらに毎月第1日曜日にはレゲエのレジェンド David Rodigan が主催するパーティー 「Rootikal」。最終日曜日には SoulUSoul の Jazzie B と Spin Doctor による 80's の Hip-Hop, Soul, Funk をフューチャーした、
「BackUBoogie」 などがレギュラー開催され注目を集めている。

そんな EAST VILLAGE にとって特別な一夜となる2周年パーティーが Quentin Harris をニューヨークから招いて行われた。


前売りチケットは全てソールドアウト、さらにディスカウントのゲストリストも早い時間に閉め切られ混雑必至の状態で9時にオープン。
オープン前にクラブに到着した筆者はロックステディー、ソウル、ファンク、ディスコなどを選曲しラウンジで9時から12時までのオープニングDJを担当。メインフロアが11時オープンだったので、早い時間からラウンジは人で埋まり、自分のDJが終わる頃には早くもフロアの雰囲気は周年を祝うお祭りモード全開。

12時を過ぎたところで Ministry of Sound のラジオ等で活躍している御大 David Hill にバトンタッチ。THE END がクローズして以来、ロンドンの新しいホームとしてお世話になっているクラブの周年でDJさせてもらえるのは至極光栄であった。自分に与えられた仕事を終えた後は、パーティーを純粋に楽しむべくメインフロアへと向かった。


メインフロアのDJブースには Jimmy P と Stuart Patterson が往年のハウスミュージックと最近のテックなハウスの新譜を織り交ぜつつ、メロディーラインをキープしてストーリーを展開していく彼等らしいスタイルでDJをしていた。そして驚いたのは、まだ12時をまわったばかりとは思えないほどの人がフロアを埋め尽くし盛り上がっていた。完全に出遅れた形でDJブース前でイエガーのショットを何杯も呷りながら無我夢中に踊っていると、Quentin Harris がDJブースにTractorとCDを準備し始めた。

筆者は、過去 Quentin Harris 自身が主宰するパーティー ''KISS MY BLACK ASS'' が EAST VILLAGE で開催された時にも、彼のDJを体感した事はあったが、以前よりもフロアの反応もダイレクトで彼のmixがスタートすると同時にオーディエンスの反応も最高潮に。
前回のプレイが素晴らしかったので、もちろん期待はしていたのだが、それをはるかに上回るレスポンス。写真を撮りながらDJブース内で目立たないように踊る踊る、そしてプレイ開始30分で完全にフロアはロックされていた。

ニューヨークを拠点に世界中で活躍する Timmy Regisford 率いる Shelter ファミリーの一員としてのイメージが強い彼だが、実はデトロイト生まれヒップホップ育ち。デトロイトのもう一つの顔 Motown の影響を色濃く受け、幼い頃から音楽一家で育てられた天才肌のプロデューサーである。そして彼が奏でるグルーヴからは、理論ではなくその経験によって培われた独自のリズムとバックグラウンドを感じさえられる。


フロアで踊り、のどが乾けばビールとイエガーを買う、ショットを飲みながら友達と一言二言交わして、そしてまた夢中に踊るという無限のループにハマっていると4時間という時間はアッと言う間だった。
お酒を買いに行くのも大変だったフロアにも気が付けばスペースが、そして完全に泥酔している事にも気付いた。

朝の5時、フロアの照明がオンになり、スピーカーから音が止る、大歓声と拍手につつまれて2周年パーティーは幕を閉じた。「ハッピーバースディー」 と言って飲んだショットの数は不明。
ただ EAST VILLAGE の素晴らしい誕生日パーティーであった事は間違いない。

こんな日は収まりがつかないのが筆者の悪い癖。
クローズした EAST VILLAGE を後にして、Tobi Neumann @ fabric へとさらに音を求めて旅立った。

 




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