HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

Nick Warren

WOMB presents W feat. NICK WARREN @ WOMB, TOKYO

DATE : 03 December 2005 (Sat)
DJs : Nick Warren, Yoshi, Malo
PHOTOGRAPHER : Mark Oxley Official Site
TEXT : Kei Tajima (HigherFrequency)



はっきり言い切ってしまうと、ここまで 「良い意味で」 期待を裏切られたイベントは今までになかった。Nick Warren が、一番初めのトラックをプレイしたその瞬間に、すっかり度肝を抜かれてしまったのである…。

実に3年ぶりとなった プログレッシヴ・ハウス・シーンを代表するアーティスト Nick Warren の来日ギグ。今や超大物アーティストが毎週のように来日する東京のクラブ・シーンで、ここまで来日しないケースも珍しく、一部のファンの中では「もしや日本嫌い?」との噂も流れていたほど。その真相は近日アップ予定のインタビューをチェックして欲しいのだが、とにかく、"Global Underground 28 : Shanghai" のリリースを記念して行われた今回の来日は、ファンにとっては超待望と表現すべきものだったのだ。

Nick Warren DJ Booth
Nick Warren @ WOMB Crowd
Nick Warren @ WOMB Crowd
Nick Warren @ WOMB Crowd Nick Warren @ WOMB Crowd
Nick Warren @ WOMB Crowd Nick Warren @ WOMB Crowd

しかし筆者には、そんな大ニュースにも素直に喜べない理由があった。今年プライベートでイビザを訪れた際に、Nick のセットは一足先に体験していたものの、そのセットが期待はずれのものであり、今回のセットも半信半疑で望んでいたのである。ギグ当日、今年で4×歳という、年齢を感じさせない爽やかなルックスの Nick とのインタビューを終え、HigherFrequency がフロアに下りると、DJ Yoshi が雰囲気たっぷりのトライバル〜プログレッシヴ・ハウスで、クラウドを熱狂させているところ。DJ Yoshi によるダイナミックなセットは、Nick の登場を前にセットへの期待を大いに膨らませてくれるものだった。グッド・パーティーを象徴するような雰囲気の中、いよいよ Nick がステージ上に登場すると、まるで NY ハード・ハウスのようにタフでヘヴィーなビートの上に、綺麗で繊細なメロディーが重なるという、ジャンルでは形容しがたい新しいかたちのダンス・ミュージックを次々と紡ぎ出して行き、ストーリーを描いていく。そんな全く予測不可能で斬新なセットに、冒頭にも記したような驚きを隠せない筆者をよそに、Nick の快走劇は続いていくのだった。

Nick に限らずほとんどのビッグ・スターにとって、未発表トラックを手に入れ、プレイしてクラウドを喜ばせることは難しいことではないのかもしれない。しかし、この日のNick Warren は、そのトラックの性質を見事に熟知し、愛情を込めてプレイし、自分のセットに組み込んでしまうという、一ランク上のセットを披露してくれたのである。中盤には Westbam & Nena の "Oldschool, Baby" 等のクラッシックをドロップし、果ては Primal Scream の "Loaded" のフレーズをループさせて聴かせるなど,要所で粋な計らいをみせつつも、後半にはタフなビートをキープしたままプログレッシヴ・ハウス特有のミステリアスで綺麗なメロディーを重ねていき、プログレッシヴ・ハウス〜トランス・ファンの永遠のアンセム "Xpander" でフロアを熱狂させるなど、ベテランの底力を見せ付けるようなセットでクラウドを圧倒してくれた。

多くのDJの間で、プログレッシヴ・ハウスというジャンルが、まるで汚い言葉のように扱われる中、自分が「プログレッシヴDJ」 であることを主張してきた Nick Warren。今回のギグで、彼が表現したかった プログレッシヴ・ハウス というジャンルの真髄を、身をもって理解出来たような気がした…。筆者はそんな気持ちと、Nick への感謝を胸に、フロアを後にするのであった。

Nick Warren
Lounge DJ Lounge DJ
Nick Warren DJ Booth Nick Warren
Nick Warren
Nick Warren

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