DATE : 22th December, 2004 (Wed)
PHOTOGRAPHER : Mark Oxley / Official Site
TEXT : Kei Tajima (HigherFrequency)
8月に来日が予定されていたものの、急遽キャンセルとなってしまっていた、ワシントン DCを拠点に活動するハウス界の大御所ユニットDeep Dishの来日ギグが、昨年の来日ギグからちょうど一年ぶりとなる12月22日に行われた。今年は、今やクラブ・アンセムとなった大ヒット・トラック 「Flashdance」の大成功により、彼らにとって特に実りの多い、濃い一年となったことが予想され、会場に近づくほどに今回のギグに対する期待はいっそう高まっていった。 | |
今回も去年と同様、オープンから終わりまでAliとSharamが交互にプレイしていくという、目の離せないセット構成だっただけに、ハウス/プログレッシヴ・ハウス・ファンから支持されているDeep Dishならではの広い客層が、早い時間からフロアを賑わせていた。まずダンス・フロアに特設されたステージに立っているのはAli。ディープなトライバル・ハウス・セットで神秘的な空間をつくり出し、WOMBのフルカラー・レーザーも手伝って、満員のクラウドを完璧に音の世界に引き込んでしまっていた。時間が経つにつれて、選曲はだんだんアップ・リフティングな方向へ。ロック系のトラックが次々と飛び出し、フロアも縦揺れに盛り上がっていく。まさに、予測不可能なセットで初っ端から度肝を抜かれてしまったが、ここでDJはSharamにバトン・タッチ。AliのDJスタイルとは一転、ビートがきいた美しいハウス系トラックで、なめらかなセットを披露していく。彼らが考え、表現する現在のハウス・ミュージックのかたちに、多ジャンルのファンから支持されるDeep Dishの魅力を感じた瞬間であった。Sharamの申し分ないハウス・セットを十分に堪能し、そろそろ違った音の方向にシフトしてくるかなと思った瞬間、怒涛のドラムン・ベース・セットが幕を開ける。予想はしていたものの、正直急な展開に少々驚いてしまったHRFQだが、逆にフロアはこの変化によってさらに勢いを増していく。 | |
ハードでありながらも、躍動感のあるドラムン・ベースのビートに合わせてしばらく体を揺していると、セットはハードなプログレッシヴ・ハウス/テクノへ移行。Sharamもここぞとばかりに激しく盛り上げていく。そこに、フロアに居合わせた誰もが待ちわびていた「Flashdance」のギター・リフがかすかに聴こえはじめる。待って、待って、やっと出てきた待望のトラックにほとんどのクラウドが絶叫し、体全体でその喜びを表す。今まで、様々なDJがこのトラックをかけるのを目の当たりにしてきたが、やはり制作者である彼らこそが、このトラックの素晴らしさを一番よく理解し、トラックの魅力を最大限に生かす術を知っているのだと思い知らされた。今回のセットのハイライトともいえる瞬間を過ぎてもなお、盛り上がり続けるフロアに、ブースに二人そろって立つAliとSharamは次々にトラックをドロップしていく。ロックのフレーバーが印象的だったトラックを最後に音が鳴り止むと、セットが終わりに近づいているのを認めたくないと言わんばかりに激しくアンコールを求めるクラウド。気が付くとHRFQも自然とその中に混ざり、純粋に音楽を楽しんでいるのであった。ダンス・ミュージックに境界線はないということを改めて実感させてくれたDeep Dish。彼らの偉大さと音楽に対する愛情を十二分に感じた夜だった。 | |
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関連リンク
Yoshitoshi Official Site
WOMB Official Site