DATE : 10th December, 2004 (Fri)
PHOTOGRAPHER : Mark Oxley / Official Site
TEXT : H.Nakamura (HigherFrequency)
いきなり個人的な話で恐縮だが、まだ筆者が細々ながらクラブでDJをやっていたころ、どんなにシラケてしまったフロアでも再生することが出来たキラー・トラックがJunkie XLが2000年にリリースした"Bon Boyage"という曲であった。何度か窮地を救われたという理由だけでなく、サウンド的にもロックとダンスの境界線に立つこの曲は、実は筆者のベスト・トラックであり、死んだときには棺おけの中に一緒に入れてくれと周りに頼んであるほど思い入れのある作品である。 そんな、私にとってヒーロー以上の存在であるJunkie XLが12月10日、約1年ぶりの再来日を果たし、WOMBにて2日間に渡るライブ・ショーを行ってくれた。筆者が出かけたのは初日の12月10日(金)。ギグのあとにはビデオ・インタビューも控えているとあって、その日は朝から何となくそわそわしながら一日を過ごすことになった。 | |
ほぼ予定通りの時刻にトレード・マークとも言えるハンチング帽をかぶってJunkie が登場。YAMAHA AW4416にKORGの名機MS20、それにG4 Powerbookというシンプルなセットアップと共にライブをスタートさせる。映画のサントラを彷彿とさせる重厚なストリングス・サウンドとともに幕を開けた約2時間に渡るショーは、ファットなブレイクス・チューンから徐々に4つ打ちに転じ、Sashaとのコラボレーションによるアンセム "Breezer"やSaffronのエキセントリックなボーカルがフィーチャーされた"Crusher"、筆者のフェイバリット・チューンの一つDave Gahanの"Dirty Sticky Floors - Junkie XL Mix"などのキラー・トラックが次から次へとドロップされながら進んでいく。そして、あのMatrixのモーフィアスによる名セリフをサンプリングした"Red Pill"によってフロアがピークに達した後には、99年のアルバム「Big Sounds Of The Drags」に収録されていた "Synasthesia"の美しいオーケストラ・サウンドがフロアを包み込み、彼のライブはいよいよクライマックスへと向かうことになる。最後にドロップされたのはBeastie Boysの"Fight For Your Right - Junkie XL Mix"。まさにとどめの一発といった感じでフロアにいるクラウドたちは完全にノックアウトされてしまったようだ。 全体的にはアゲアゲの選曲で、歌ものに併せて歌詞を一緒に口ずさんだり、ギター中心の曲ではエアー・ギター(ギターを弾くまね)を披露したりと、サービス精神たっぷりのパフォーマンスであったと思う。ただ欲を言えば、もう一ひねり展開があってもよかったかもしれない。特に昨年リリースされた"Radio JXL"にはディープでクールな曲もたくさん収録されていただけに、もう少しじらしてからアゲて欲しかった気もする。お客の入りが超満員というわけではなかったこともあったのかもしれないが、ちょっとハイ・テンションな展開についていけなかったのが正直なところだ。まぁ、ライブ・セットだから「お客の入りを見ながら」という訳にもいかないのは百も承知なのだが…。 | |
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