HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

ORGANZA 10 feat. ALEX UNDER 1st ANNIVERSARY !!

SPULMATE MUSIC FESTIVAL @ KOKURITSU KYOGIJO KAIROU, TOKYO

DATE : 16th August, 2008 (Sat)
DJ : Darren Emerson, DJ Kkentaro, Ken Ishii, Luke Solomon, Konrad Black, Butch, 3Channels, Mayuri, Ryota Nozaki a.k.a Jazztronik, Daishi Dance, Tetsushi Hiroyama (Ryukyudisko) , Yosuke Hiroyama (Ryukyudisko), Naoto, Techriders, Washikita, Satoshi Otsuki
LIVE : 土屋アンナ, Meg, Altz, O.N.O (The Blue Herb), Dachambo, Sunpaulo, Cro-Magnon
VJ : Enlightenment, Heart Bomb, Realrockdesign, Xaidep
TEXT : Kazuya Setagawa is Zuyack
PHOTOS : Agari Omori, Hiroki Tanaka, Keita Miyai


オーバーグラウンドからアンダーグラウンドまでを網羅した、都市型ミュージックフェスティバル! ここ東京を象徴するエリアの一つ国立競技場に、総勢30組以上のアーティストと5000人以上のクラ ウド達が集結。開催前より話題性が高く、注目を浴びていただけに、12時間に渡るその一晩へ期待を膨らませ会場へ向かった。到着するとまず目に留まったのが、入り口にそびえ立つ大きなゲートアートだ。四本の柱でしっかり支えられた3つの門構え。白を基調にLEDによる鮮やかな光で彩られ、シンプルながらポップな質感のアートを施し、イベントロゴが中心に落とし込まれた強調性のある風格。イベント内容と街の雰囲気に溶け込み、成る可くして成ったであろうこの形に、強烈な東京っぽさをも感じる事が出来たのは、最小限にして最大限活かされたアートディレクションの感性が伺える見事なクリエイションだと言えるだろう。

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受付周辺の物静かさは一瞬不安になったが、それは会場の広さが物語る雰囲気で、ゆっくり中へ進むにつれて賑やかさが増し、歩くだけでトリップ感のあるロケーションに思わず歩幅が大きくなった。 スタジアムを眺めスタンドで休憩する人々、フードエリアで宴会モードの人々、思い思いに過ごす人々を見ているだけで朝までたっぷり時間のある事に嬉しくなったが、そんな余裕も回路エリアにあるSOUL STAGE〜MATE STAGEを目の当たりにしてふっ飛んだ。ここで目を引いたのが両エリアの間に設置された巨大スクリーン。あいだを行き来する通行人をカメラで撮り加工、VJによってダイレクトに映し出されるヴィジュアルなど徹底的に創り込まれた空間に更なる期待が膨らんだ。 しかも既に物凄い熱気で盛り上がるオーディエンスのテンション!興奮してくる気持ちを押さえつつも取りあえず位置関係把握の為、バックステージや、控え室、3rd Stage のエリアまでの道順などを散策するが、とにかく広い!残念だったのは東京の湿度、、代謝の良い筆者は既に汗だく。。。

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そんな中メインフロアーの SOUL STAGE には DJ KENTAROU が登場!ブース前に設置されたポップな照明、フロアを囲むかの様な巨大なフルスクリーンの中心で遂にスタート!ワントリックごとに起こる歓声、その度にあがる熱気、彼のプレイにロックされるクラウド達のパワーとDJ KENTAROがダイレクトにぶつかり合い生まれるグルーブ!オールドスクールネタを散りばめつつBREAKSからHIP-HOUSEチューンにシフトチェンジさせる展開は、ブレイカーズ泣かせなトリックプレイでバトルモード全快!自由気ままに操り攻め込んで行く姿は、VJによってフルスクリーンに映し出され、彼の手元がしっかり見え、ダンサーの踊る姿とミックスさせる一体感ある映像パフォーマンスに筆者も鳥肌が立ち何度も万歳。厚いストリートヴァイブスを究極のエンターテイメントで披露!時折テクノポップやフレンチエレクトロのようなトラックまでもを挟みながらの物語は、次のダレンへの期待感さえ高まらせる内容だった。本番直後の彼も「最高に楽しめた!ありがとう!」とプレイスタイルとは裏腹な程に清々しい顔をして答えてくれた。 一方セカンドフロアー MATE STAGE では札幌を拠点に全国各地にその名を響き渡らす DAISHI DANCEが登場!スタートから彼の得意とするメロディアスなヴォーカルハウスを投下し、瞬時に一体感を創りだすそのスキルに圧巻。そのまま、ピアノハウスやストリングスハウスをDEEPに聴かせる展開で、ファンキーにビルドアッップして行く様は、正にSEXY!ハッピーで腰にくるGROOVEと彼の立ち振る舞いを前に、両手が挙がり続けるオーディエンスのレスポンスは凄い!彼の人気を証明させるプレイだった。

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そしていよいよSOULSTAGEでは今回のヘッドライナー DARREN EMERSON がブースに登場!更に高まる歓声と熱気が急上昇し期待集まる一曲目!待ち受けるオーディエンスに向けて、 光放たれる照明と映像と共に投下されたのは「Chemical brothers /HeyBoy!HeyGirl!」 もう言うまでも無いとは思いますが、一気にフロアを飲み込むその強烈なパワーで沸き上がるオーディエンスの歓喜は、絶頂へと向かう、ダレンの創りだすストーリーの始まりの合図であった。 安心感さえ感じさせる、その姿勢にはサービス精神をも強く感じた。序盤からアップリフティングな一定したテンションをキープしつつ、一曲一曲丁寧に気持ちの伝わるミックスでフロアの温度は、グッと上がっていた。時折、陶酔させる浮遊感のあるトラックで展開をつけつつも、ファンキー且つダークに流動的な内容で、自然とラストトラックへの期待が高まっていった。中盤にもこれといったピークタイムはあえて創らなかったものの、ヴィジュアルクリエイションユニット「Enlightenment」とのコラボレーションで演出されるその空間には、目に見えない輪郭までが浮き出るかの様な、異次元の世界へと導かれるGROOVEが生み出されていた。迎えたラストトラックは、不朽の名作、「Underworld / Born Slippy」だった。あえて最初と最後にピークタイムを持ってきたとも思える その選曲。なによりも終始笑顔の理由はその物語の内容をも裏付けさせる事実かもしれない。アンダーグラウンドからオーバーグラウンドへ、SOULMATE ヘッドライナーによるメッセージは都市型フェスの偉大なる可能性を確信させる物だった。

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今回筆者がもう一つ楽しみにしていたのが 3rd Stage の ZONE TRICO! 良い意味で隔離されたこのエリアは今回のイベントスペースの中に設けられたクラブフロアー!ダークな雰囲気はメインエリアに比べるとちょっと寂しい気もしたが、それはその分音にハマって踊る為に創り込まれたであろうコンセプトに感じた。ポーランド出身、その名をヨーロッパ全土に響き渡らせる『SOULMATE』な二人組、3 Channels!が登場!シーンに於いても波に乗る彼らのLIVE SETは、エレクトリックな質感を強調する中、疾走感のあるループハウスを厚み在るミニマルサウンドできっちり躍らせてくる内容。面白かったのがゴーヤなのかトウモロコシなのか暗くてどっちかハッキリ見えなかったが、可愛いマラカスの様な楽器を振りまくって、その音をマイクで拾い、連発する良質なトラックにラテンスパイスをダイレクトに効かせていた。二人とも笑顔で非常に楽しそうにプレイしていたのが印象的で、この日一番愛のあるELECTRONIC HOUSE GROOVE を作り上げていたのは彼達だろう。

そして続いて登場したのが、Konrad Black!全体を通して感じたのは、とにかくストイック! 且つ快楽的な空間を創り上げていた。時折ファンキーなシンセベースで印象づけながら、 ディープ・アシッドトラックをミニマルテクノに聴かせてくる鋭いプレイ。限られた時間の中で どこまで踊り狂わそうかを試みるかの様な、攻め込む姿勢に、オーディエンスの踊る姿もひと味違い、強烈にクールなGROOVEが生まれていた。 筆者もこの辺りから踊りに陶酔しだしていたのも、言うまでもない。 イベントもいよいよラストスパート!SOUL STAGE ではダレンからバトンをもらった、テクノ・ゴッドKEN ISHIIが既にフロアを埋め尽くすオーディエンスを強く揺らしていた。 ハードな質感は最小限に押さえつつも、ファンキーにビルドアップして行く展開で、会場を最大限に盛り上げていた。長めのピークタイムを創り、映像とのコラボレーションで、SOULSTAGE を最先端テクノロジ一色に染め、日本が世界に誇れるテクノシーンを創り込めるレベルである事を再認識、いや、更なる向上と可能性を感じた。バックステージでも関係者の皆様方の激踊りされる光景がとても微笑ましく印象的だった。 そのころ 当然 MATE STAGE でもラストスパート!筆者が一番楽しみにしていたアーティストLUKE SOLOMONが 既にプレイしていた。弱冠人数が引いたフロアーは身動きしやすく、ちょうど良い具合。90年代にUKテックハウスシーンからシカゴハウスシーンへ衝撃を与えたアーティストの貫禄はビッグフェスだとまた、ひと味もふた味も違って感じる。ファンキー シカゴ テックハウス とでも言えばよいのか?瞬間的に音に吸い込まれた。Derrick Carterと運営していた伝説のレーベルCLASSIC MUSIC COMPANY の偉大なる創始者である事を改めて実感。と、思ったのも束の間エレクトロベースラインを強烈に鳴り響かせ、複雑な展開でダビーな要素を散りばつつ、ディスコ・エレクトロにシフトチェンジしたり、、決して失速させず、振り幅の広い内容を綺麗にまとめて聴かせるスキルは流石の一言。この辺りの音色は、Justin Harrisとのユニット"Freaks"をも彷彿させていた。

そしてこの音に絶妙にマッチしていたVJプレイを担当していたのは、筆者もファンである「Real Rock Design」のトリッキーなヴィジュアルワークだ。協調性をもちつつ強烈なインパクトで、その空間に溶け込まし、音の持つ効果を最大限に後押ししていたであろうクールな質感が印象的だった。いよいよラスト60分!説明不可能な謎のキラーチューンを連発!アシッディーな上フリーキー且つディープでミニマル!混沌とした音の世界で包み込まれ、正にサイケデリックなGROOVEを生み出していた。筆者も最前列で馴染みの顔ぶれに遭遇し激踊りでフリークアウト! 本当に最高でした!

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今回SOUL MATEに取材として参加させてもらった事にまず感謝! そして主催者・運営スタッフ・関係者の皆様へ感謝と敬意を払って、最後に感想を述べたい。 イベントというものは、大きく成れば成る程、複雑に様々な要素が絡めば絡むほど、賛否両論の意見や感想が出るのは当然の事で、最終的な絶対数はあくまでもその時の結果でしかないと思う。 それよりも今後どの様にして継続させていくかが大きな課題だと思います。 そういった点では今回の「SOUL MATE MUSIC FESTIVAL」はオーバーグラウンド・アンダーグラウンドを多角的に網羅したラインナップと様々な企業とのコラボレーションで創り込み、その隔てに透明性を持たせた影響力は今後の文化の向上、繁栄にも大きく役立つ内容だったに違いない。 ここ日本に於いてクラブダンスミュージックカルチャーが、また少しづつ身近な物になり、シーンの現状に、新たなる可能性と希望を与えてくれ、次回の開催にも期待高まる、素晴らしく貴重なフェスティバルだった。

 


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