HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

CREAMFIELDS

CREAMFIELDS 2004 in LIVERPOOL, UK

DATE : 28th August, 2004 (Sat)
PHOTO & REPORT : Matt Cheetham (HigherFrequency, samurai.fm) / Official Site
TRANSLATION : H.Nakamura (HigherFrequency)



全てのダンスミュージック・ファンにとっての至福の祭典。そして、そのラインアップは全ての人の憧れ…。イギリスのサマー・フェスティバル・シーズンを締めくくるに相応しいスーパー・イベント Creamfields 04が、去る8月28日土曜日、丁度日本ではMetamorphoseが行われている頃、本家お膝元であるリバプールにて開催された。少し予定より遅くスタートした今年のCreamfieldsであるが、4万人を超えるとも言われる熱狂的なクラウド達が早くも波のように押し寄せ、古い飛行場跡に設けられた会場には、これから15時間に渡って繰り広げられることになる、2枚のビニール盤を使ったお祭り騒ぎへの大きな期待感がみなぎっていた。特に今年のCreamfiledsは過去最大級のスケールとの呼び声も高く、100を超えるトップDJやライブ・アーティストが10箇所に設けられたアリーナにおいて腕を競い、しかもその何れもが余りにビッグネームばかりである事から、「どれを見るべきか」に最も頭を悩ますことになりそうである。

MATTHIAS HEILBRONN
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と、そんな事を考えながら草に覆われた会場を歩き回っていると、まず、Myloが奏でる陽気なエレクトロ・サウンドが、メインステージから筆者の耳に飛び込んできた。音に引き寄せられるがままに彼らのパフォーマンスをしばし堪能。それほど多くのクラウドが集まっていなかったのが不思議ではあったが、今年発表した最新ヒットアルバム"Destroy Rock and Roll"から数曲を演奏した彼らのパフォーマンスは、筆者にとって今年のCreamfiledsにおけるベスト・ギグの一つに数えられる程の素晴らしい内容であった。その後登場したThe Cuban Brothersは、勢いよくステージを飛び跳ねていたが、あまりサウンド的にピンと来るものではなかったので、Essential Mixのアリーナへと移動。そこでは、ちょうどPlump DJsが、お馴染みのファットなビートと強力なリフで、クラウド達を徐々にヒートアップさせているところであった。ブレイクビーツ・シーンにおけるビッグスターへと急速に成長を遂げてきた彼らのパフォーマンスに、クラウド達も大興奮。夕方前のステージは、大音量とともに盛り上がりつつあった。

MATTHIAS HEILBRONN MATTHIAS HEILBRONN
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その後、タイムテーブルの兼ね合いで、YousefとSeb Fontaineのパフォーマンスは見逃す事になってしまったが、BBC Radio 1の野外ステージへと移動。そこで、Judge Julesが1万5千人もの笑顔に満ち溢れたオーディエンスを前にプレイをしているのを目撃することになる。心地良くさせてくれるハウス・ミュージックは今の時代の主流とも言えるが、ここでもJudgeはキッチリと素晴らしいサウンド・スケープを演出。太陽が沈むに連れて、パーティーの雰囲気も加速度的に盛り上がりを見せ始めていく。そして、次のお目当てであるScissor Sistersのステージまで少し時間が空いたので、再びEssential Mixのテントへと移動、そこでDeep Dishによるプログレッシブ・セットをエンジョイする。そして、いよいよScissor Sistersの出演するメインステージへ。今年の初めにリリースしたデビューアルバムがいきなりチャートを席巻し、U2のボノもファンという彼らのステージは、まさに次世代のビッグスターを感じさせる素晴らしいもので、特に個人的には彼らのキャッチーなシングル"Take Your Mama"に何故かドップリはまってしまった。

MATTHIAS HEILBRONN MATTHIAS HEILBRONN
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Scissor Sistersのライブの後、もう少しエレクトロニックな感じで時間を過ごしたい気分もあって、Subliminalのテントへ移動し、Erick Morilloの重量感あふれるニューヨーク・ハウスにしばし体を揺らしてみる事に。今年はErickにとって当たり年であると言え、その名前がニュースの誌面を飾らなかった事はないくらい。最新アルバムの"My World"も大絶賛され、最近ではP.Diddyとのコラボレーションと言う話題も手伝って、こぞってメディアに取り上げられる事となったのは記憶に新しいところだ。ただ、何故だかは分からないが、この日のErickのプレイはあまり筆者に訴えるものがなく、途中で切り上げて代わりにInfusionのステージを見に行く事にする。テントに辿り着いた時には、このオーストラリア出身のトリオが丁度半分くらいのセットを終えたところだったが、後半から終わりにかけて目もくらむような素晴らしいセットが繰り広げられ、彼らが繰り出すブレイクス・チューンに、超満員のクラウド達はテントを揺らさんばかりの勢いで盛り上がっていた。

MATTHIAS HEILBRONN
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気がつくと、メインステージがクローズするまであと少しになっていたので、The Chemical Brothersの残り30分のセットを見るためにメインステージをのぞいてみる事に。2万人を超える熱狂的なクラウドを前に、初披露の新曲と有名な曲をそれぞれ数曲プレイし、皆の期待に応えてくれた彼らであったが、筆者個人としては、それほど大絶賛できるようなステージといった感じではなかった。やはり、グラストンベリーでのOrbitalの伝説的なステージや、Underworldによるパフォーマンスには及ばなかったと言う感じか。そして、深夜零時になったところで、騒音規制との兼ね合いで全ての野外アリーナがクローズ。その後のプログラムは室内ものへ移行していくことになる。ただタイミング的には、その数時間後に雨が降り始めてしまったので、丁度良かったのかもしれない。さてさて、お次はCream MTVアリーナへと移動し、Sashaのプレイをチェック。全霊を傾けて耳を傾けるオーディエンス達を前に、アルバム"Involver"からのブレイクス・トラックをプレイした彼は、アンコールの大合唱と共にその貫禄あふれるステージを終える。そして、今回のフェスティバル最大の見せ場となったそのプレイの後に続くのはかなり大変な役目ではあったが、それを見事にやってのけたのがブリストル出身のWay Out West。ニューアルバムからの数曲を、ゲストボーカリストTricia Leeの優しく漂うようなリリックをフィーチャーしながら披露し、汗にまみれたオーディエンス達をすっかり魅了してくれた。

MATTHIAS HEILBRONN MATTHIAS HEILBRONN
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Paul Oakenfoldは、筆者にとってダンスミュージックへのめり込むきっかけを与えてくれたDJの一人であり、その意味でいつも特別な存在。その彼がGoodgreef アリーナでプレイすると聞いて早速駆けつける。8,000人ものオーディエンスで超満員となったテントで、Oakeyはハードなプログレッシブ系トラックと歪んだボーカルトラックをミックスしたセットを披露。フロアは完全に狂乱状態へと陥っていた。その後、Jeff Millsのセットの頭数曲を聴いたあと、Felix Da Housecatのエレクトロ・セットを見るべくSubliminal のテントへと足を向ける。その内容は、筆者にとってこのフェスティバルのハイライトとも言えるもので、ファットなエレクトロ・ビートとねじりだすようなアシッド・サウンドに完全に釘付けになってしまう。最近、聞いていて面白いと思えるDJが少なくなってきたが、Felixのインスピレーションに満ちた選曲と素晴らしいミックスには、本当にうっとりとさせられてしまった。

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その後、Krafty Kutsと一緒にChibuku CaukusテントでライブをやっているDave Clarkeを見に行こうと移動しているとき、Skintのブレイクビーツ・デュオFC Kafunaがプレイしている超満員のStrongbow (イギリスのリンゴ酒メーカー)のテントに遭遇。FC Kafunaの繰り出すエネルギッシュなビートと、Strongbowが次々と無料で振舞ってくれるお酒のおかげもあって、超満員のダンスフロアーの真ん中で、楽しく1時間くらい踊りまくって過ごす事が出来た。やがて夜は深まり、雨も降っていた事もあって、次第に足が疲れてくる。が、まだ完全にへばったわけではない。わずかな時間にたくさんのステージ…。 テントからテントへと動き回っているうちに、全てが大きな幻想のように思えてくる。そして、余りにたくさんのDJたち…。Danny Howell、Gabriel and Dresden - そんな時間をしばらく過ごした後に、再びSubliminalのテントへと向かい、まだまだ強力に踊り続ける頑強なクラウドたちを相手にビッグ・ビート・ラップを繰り広げるThe Audio Bullysのステージを堪能する。そして、最後のエネルギーを振り絞って、半ばよろめきながらTidyのテントへ。そこには少なくとも3,000人はいるであろうオーディエンスを盛り上げまくっている日本人DJ…そう、Yoji Biomehanikaの雄姿があったのである。

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こうして今年もまた、筆者のCreamfieldsは終わりを告げることになったのだが、その後もリバプールの市内において、数多くのアフターパーティーが開催されていたことから、さらに収集のつかない雰囲気で日曜の午後まで盛り上がり続けたことは間違いないはずだ。数多くのベストDJ、最高のクラウド、そしてオーガナイザーによる素晴らしいプロダクション…。今回参加してみて、何故このイベントがイギリスのダンスミュージック・シーンにおいて強力な存在であり続けられるのか、改めてよく分かったような気がする。たった一つ残った質問と言えば、「Creamfileds Japanはどうなんだろう?」と言う事だけかもしれない。