HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

Claude Young

Nu:trino feat. CLAUDE YOUNG & KEN ISHII @ WOMB, TOKYO

DATE : 27th August, 2004 (Fri)
PHOTOGRAPHER : Ollie Beeston


DJの新たな表現・方向性を提案する新イベント「Nu:trino」。その第一回目が「DJ Performance」をテーマに掲げ、去る8月27日に渋谷のWOMBにて開催された。記念すべき1回目にゲストとして招かれたのは、共に高度なスキルを持ち、「魅せる」DJパフォーマンスにはそれぞれ定評があるClaude YoungとKen Ishii。90年代初期からテクノシーンを牽引してきた二人の重要人物の共演という事だけあって、筆者が会場入りした時には、その緊張感みなぎるコラボレーションを体験しようと既に多くのテクノファンがWOMBのフロアに詰め掛けていた。Claudeと言えばデトロイト・テクノのセカンド・ジェネレーションと呼ばれる一群の中でも、一際そのファンキーでドライブ感溢れるセット構成と、時には鼻や肘でスクラッチを披露する超絶スキルで世界的に名を上げてきたアーティスト。過去の来日公演でもオーディエンスの期待を裏切った事のない彼だけに、今夜は一体どのような展開になるのか、大いに楽しみなところである。

Claude Young Claude Young
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Claude Young

しばらくするとClaudeがステージに登場。ちょっと早めのスタートだった事もあり、最初は何人かの人から「今プレイしているのってClaudeですよね」と聞かれたりもしたが、徐々にフロアにも人が集まり始め、後から来たお客の中には「ヤバイ!もう始まっているよ」などと叫びながら、ドリンクも取らずにブース前に直行する人達も見られるなど、早くもオーディエンスの臨戦態勢が整い始める。そんなフロアの雰囲気を察してか、少し音量を押さえながら感触を確かめるようにセットを進めていくClaude。持ち前のグルーブ感溢れるミニマル・トラックをベースに敷きながらも、派手なピアノ・ブレイクを持つトラックやラテン系のサンプルが炸裂するチューンなど、フロアツールと言うよりは「曲」としての歌ごころを兼ね備えたようなトラックを中心に、徐々にフロアの体感温度を上昇させていく。

Claude Young Claude Young
Claude Young Claude Young
Claude Young Claude Young

そして、フロアの密度が高くなっていくのに合わせるかのように、硬質でタイトなキックと鋭いハイハットを持つファンキーなミニマル・トラックを連発。徐々にターンテーブル上での動きも激しくなり、フェーダーをトリッキーに上下させてイレギュラーなビートを生み出したかと思えば、スクラッチや2枚使いによるクイックなスイッチングで展開に弾みを付ける・・・そんな彼のプレイに、オーディエンスは次第にClaude Youngワールドへと誘われていく。ハード・ドライビングなリズム主体のチューンが炸裂した後には、イルでナスティーなヴォイス・サンプルが絡むトラックをプレイ。そして、パーカッションがうねりまくるトライバル系のミニマル・トラックへ・・・決して、無機質な音の洪水のオンパレードに終始しないのがClaude最大の魅力であり、この日の彼のプレイも変化と起伏に富んだ展開で、我々を飽きさせることなく繰り広げられていく。そして、開始から1時間。フロアは完全に一体となり、筆者もしばし仕事を忘れて一緒に彼のサウンドに思わず酔いしれ始めた頃、遂にひじを使ったスクラッチが炸裂!フェーダーを口でくわえ左右に動かし、しかも全くリズムがずれない!「凄すぎ!」・・・その度にフロアから大きな歓声が沸きあがり、多くの人がClaude Youngの真骨頂を目撃する事になる。そして、そのピーク感を程よい形で維持しながら、かと言ってトゥー・マッチにエスカレートすることの無い、ミニマル・クルージングといった感じでセットを終えたClaude。それまでの鋭い眼光が、いつもの彼らしいハッピーで温かい視線へと戻っていたのがとても印象的であった。

Claude Young Claude Young

しかし、素晴らしい内容のパーティーをこうやって文章にするのは、本当に大変である。それこそ、いずれストリーミング映像か何かでお伝えできれば良いのだろうが、やはり言葉での表現というのは難しい。例えば「今のテクノシーンでこれだけのグルーブ感とレンジ感を兼ね備えたDJは、ClaudeかCarl Coxくらいしかいないだろう・・・」と表現する事は可能だ。でもCarl Coxのプレイを知らない人には「何のこっちゃ」という感じだろう。しかも「それって違うだろ?」と言う意見も出るかもしれない。だから、今回のレポートは、極めて個人的かつ主観的にまとめさせてもらいたい・・・「めちゃめちゃ良かった!又行きたい!Claude最高!!!」

HigherFrequencyでは、Claudeのインタビューも実施。近日中にアップするので、こちらもお楽しみに。
(H.Nakamura - HigherFrequency)


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