HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

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PRINS THOMAS JAPAN TOUR 2009 @ UNIT, TOKYO

DATE : 28 April 2009 (Tue)
【UNIT】
DJ : Prins Thomas, DJ Chida (Ene, Dancaholic)
LIVE : Sly Mongoose
【SALOON 】"Erection 2nd anniversary"
DJ : Hiroshi Kawanabe (T.1.S.S, InK, Galarude), Traks Boys (DK Sound, SWC), Latin Quarter (PPP), ALF (The Pastime Gang)
LIVE : Luvraw & BTB+DJ Mr.Melody (PPP)
VJ : Heart Bomb
PHOTOGRAPHER : ryu kasai
TEXT : Yuki Murai (HigherFrequency)


日ごろハウスだ、テクノだ、と週末を飛び回っている筆者だが、何を隠そう『隠れディスコファン』で(近しい友人知人から見れば全く隠れてはいないと思うが)、なかなか国内シーンには浸透しきっていないニューディスコ / コズミック・ディスコ・シーンの普及を勝手に願っては止まない身だ。そんな自分にとって、Prins Thomas の来日は、5月病寸前のキリキリした神経をもゆるめてくれる格好の機会。かつてYellowで心ゆくまで踊らされた記憶を胸に、UNITまで向かった。


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現場へ到着すると、まず予想をはるかに上回る人手に良い意味で驚かされる。あいにく当日もう一つの目玉、SLY MONGOOSE のライブが終わる寸前。ひと休憩しにバー側へと戻ってくる人々の満足げな表情から、逃したものの大きさが計り知れた。 バーカウンターにてお酒をチャージした後、早速フロアへと向かうと、すでに踊るのが大変な程の人、人、人。今日はフロアど真ん中で踊るぞ!という意気込みが早くもへし折れそうになるところを何とか抑え、隅のほうから徐々に前に出る作戦に早速変更。なんとか場所をキープし、厚みのあるベースラインに調子を合わせていく。

前半は形容しがたい80’sスタイルのゆるゆるエレクトロポップスやら、ロック・チューンやらを織り交ぜ、クラウドを「カッコイイ」と「ちょいダサ」のかなり微妙な、薄い狭間へと誘い出すような展開に。フロアには深刻さや重苦しさといった感情から一切解き放たれたような、パーティーだ!ダンスだ!という楽しい気持ち、80’sの アメリカ青春映画で見たことがあるような軽妙なハッピーさに溢れていた。クラブの外の世界から時代すら間違ってしまったような感覚に陥りながら、目の前で踊っていた、白地に赤の水玉のビスチェを着て踊ってる、まさに80’sスタイルのかわいい女の子を見てみたり…。

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踊り、盛り上がり、当然汗もかくのだが、気持ちはどちらかというとリラックスに向かっていく。途中でお酒を買いにいったり、知り合いを探しにいったりしていても、気持ちから音が「逃げて」いかないので、すぐにフロアで踊れるのだ。若干空いてきた前列に出て、Prins Thomasのレコードさばきを鑑賞。CDもラップトップも、そしてレコードもそれぞれの見せ方、格好良さがあるが、とにかく彼の音にはレコードが似合ってるなあ、としみじみ思う。

当サイトでのインタビューでも言っていた「3曲以上は同じような音をかけない」ルールの検証もこっそりとしてみたのだが、厳密に3曲で変えて…というよりは、一気に雰囲気の違う曲をもってくるタイミングが絶妙だ(特に「スター・ウォーズのテーマ」っぽい、謎のユルい曲のドロップ・タイミングは最高すぎた…)。

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中盤から、Lindstromとの共作でよく見られる、宇宙的で深い音像が見えてきて、フロアはますます前のめりに。レトロだった前半とまた違う、星の代わりにミラー・ボールが輝くような、これぞ!と言いたくなる世界観、ディスコ・ダブの『ダブ』部分を表現する低音の重たさ、厚みに、身体が埋まっていくような不思議な感覚を味わえる。

精神的にはすっかりフロアの底に埋まってしまったところから、音はじわじわと上に向かっていき、気がつくとすっかり早朝向きの、明るく、リラックスした音へと変化していた。 最後はじつに晴れやかな気持ちで、プレイを終えてブースを去るPrins Thomasを見送った。

底抜けの明るさから、宇宙の深さまで。この、ニュー・ディスコの魅力が、もっと多くの人々へ伝わることを切に願いたい。

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