DATE : 24 April 2009 (Fri)
【UNIT】
DJ : Fumiya Tanaka (op.disc, Sundance)
【SALOON】
DJ : Mitchelrock (freebase), Yusaku Shigeyasu, Tomotsugu Kondo a.k.a. KON (Ni.com, selfservice)
PHOTOGRAPHER : ryu kasai
TEXT : Chie
昨年末 Perlon の Sammy Dee を迎えてフミヤ氏の顔であるパーティー "CHAOS" を初めてUNITで開催したときも、わたしは参加したが、それはいつものUNITの雰囲気とは違いフミヤ氏のパーティーでしか感じる事が出来ない、独特の空間になっていたことも記憶に新しい。
この日はヨーロッパでのスケジュールを終えて帰国後初のプレイで且つ、オープンからラストまでフミヤ氏1人でのロングセットという楽しみな企画。
UNITのインフォメーション等を読むとエントランスがディスカウントなしの2000円という低い設定だったり「いつも以上のパーティー感が出るようにプレイする本人はもちろん、スタッフ、そして参加するみなさんで作りあげることになります。」
とパーティーの原点に返るような内容が記載されていたりと、なにかと楽しみな要素が詰まっている。
10年位前、まだ新宿のリキッドルームがある頃、フミヤ氏のパーティーに、オープン前からフライヤーを握り締めてエントランスが開くのをまだかまだかと待ち侘びていた頃の気持ちを思い出した。
最近多すぎるイベント的なクラブパーティーで、どこに行っても同じような感じがして新鮮さを失っていたが、久し振りにクラブでのパーティーに胸を高まらせながらオープン後まもなく参加した。
箱側の企画で、長年自身のパーティーを続けてきているフミヤ氏との協力の下、このタイミングでのこのような仕掛けでパーティーをやるという事に、とても深い意味を感じる。
箱に入り、まずUNITの方へ足を運ぶと、いつものUNITのステージと丁度反対側のPAブースがある方にDJブースが設置されており、ブースとフロアの距離がとても近く、1:00迄に来た人はフライヤーなしでも2000円という価格設定からか、客足の遅い東京のクラブシーンにしては珍しく、12時前の早い段階からフロアがいい感じに出来上がっており、ブースに張り付いてフミヤ氏のプレイをひたすら見てる人達や、声を上げて煽りながらパーティーを楽しむ人達、パーティーが始まったばかりの時間帯にしか聞く事が出来ない最初の時間のフミヤ氏が作り上げる黒い独特のディープなプレイを黙々と楽しんでる人達や、ほどよい緊張感と一体感もあり、今日のパーティーを前のめりな姿勢で楽しみにきてる人達の、とてもいいバイブスがフロア全体に広がっていた。 時間がたつにつれフロアには人がどんどん増えていき、低域でグルーヴをキープしつつ抑揚あるフミヤ氏のプレイで、お客さんのノリもそれに伴いパーティーが常に変化し色んな色が見えてくる。 パーティーも終盤になるにつれて盛り上がりは更に大きくなり、いつまでも終わって欲しくないという強い気持ちがフロア全体に広がっていた。 フミヤ氏のパーティーである "CHAOS" もそうだが、フミヤ氏がオープンからラストまで1人でプレイする時にしか感じる事が出来ない独特の音や時間の流れだったり、遊びに来てるお客さんの雰囲気だったり、フミヤ氏とお客さんの音楽を通してのかけあいだったり、その独特でディープな空間やパワーは現場に遊びに来た人にしか味わえない特別なものであることを常々感じる。 普段よりも暗いフロアの中でフミヤ氏とお客さんの出していく色んなカラーがワンパーティーを通して幾度も垣間見ることが出来る。 それは時間の感覚を麻痺させるものであり、この日もパーティーを通して色んな時間帯のそれぞれのカラーを感じることが出来るものだった。 | |
SALOONでは、オープンから Kon がハウシーな柔らかいグルーヴでフロアをあっためていき、優しく壮大でグルーヴィーなプレイで次の Mitchelrock にバトンタッチをし、Mitchelrock は Kon とはまた違うディープな壮大さでジワジワとスペーシーな空間を作り上げオーディエンスを暗黒の世界へ引き込んでいき、最後の Yusaku Shigeyasu は男らしく力強い疾走感溢れる堅いグルーヴでSALOONにいるお客さんたちの心をガッチリ掴み最後まで躍らせる事を忘れさせないプレイでUNITに負けないくらい、最初から最後までSALOONはSALOONで3人の見事なコンビネーションでパーティーが出来上がっており、お客さんが常に絶えることなく盛り上がっていた。 パーティーが終わった時に出た、お客さんからフミヤ氏への拍手や、「ありがとう」 という感謝の言葉は本当に心のこもったものであり、このパーティーに関わった全ての人に向けているもののようにも聞こえた。 パーティーとはアーティスト1人で作るものではない。 場所があるというだけで出来るものでもない。 パーティーが出来る場所があって、そこで働くスタッフがいて、アーティストがいて、アーティストを支える人達の力があって、お客さんがいて、色んな協力があって、そして1人1人が主役であり、それぞれの色んな要素が1つになり、そこで生まれる色んな相乗効果が重なりあって出来あがるものである。 フライヤー1つにしてもそうだが、パーティーに関わる1つ1つの物が大切で意味があり、1つでも必要な要素が欠けると、それは物足りないものになってしまう。 この日は、それが全て詰まった1日で改めて色々と考えさせられクラブパーティーの原点に戻らされ勉強にもなり、それはとてもラディカルなもので、久し振りにクラブパーティーに遊びに行った!という楽しい1日だった。 一昔前に比べてクラブも増えパーティーも増えDJをやってる人達も増えクラブに足を運ぶ人も増え、クラブミュージックというものが以前に比べてもっと身近になっているような気もするが、果たして本当にクラブパーティーと呼べるものは、いくつあるのだろうか? パーティー後にDJやパーティーをやってるわたしの友人が言った。 「今日遊びに来て僕達に足りないものが何なのか少し分かった気がしたよ。」 と。 こうやってパーティーを通して何かを感じた次の世代が今度は自分達が自分達にしか出せないカラーでパーティーをやっていく。 お金を払って遊びに来るお客さんの気持ちをもう1度見直して、こうしたいいバイブレーションがクラブシーン全体にずっと続いて行って欲しい。 この日は色んな仕掛けが上手くいった日であり、遊びに来て刺激を受けた人達が、やる側も遊びに行く側も、今度はお互いが刺激を与える立場になって、その刺激やパワーがどんどん広がって面白いクラブパーティーが増えていけばいいなと思った。 | |
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