international news _ 2006.11.10
Text by Jonty Skrufff (Skrufff.com) _ Translation by Kei Tajima (HigherFrequency)
イギリスのトップ・ディストリビューター Intergroove が、先週マーケットから姿を消した。
この突然の倒産によって、特にブレイクス系レーベルを中心とした多くのインディー・レーベルが大きな打撃を受けることになりそうだ。
「Intergroove はレーベルに対して支払いをきちんとする素晴らしいディストリビューターだったよ」Finger Lickin’ Records の Abel Reynolds は DJ Magazine に語った。
「ただこの会社が倒産したことによって、多くのレーベルが同じ運命を辿ることになるだろうね。ここ数ヶ月のうちに Intergroove を通して流通したレコードの支払いが受けられないわけだから」
この倒産の影響を受けなかったベルリン・ベースのレーベル Flesh のオーナー Mark Reeder は同情的に、しかし特に驚いた様子はなく Skrufff に「これはインディー・アナログ・シーンにとって悲しい出来事だね。アナログは好きだけど、僕たちに進化を止めることは出来ないんだ。アナログはその価格の高さから、だんだんラグジュアリーなものとして見られるようになって来たし、世界中を飛び回る DJ は重いアナログを入れた大きなバッグを持って旅したくはないんだろうね」
「最近ではどのレーベルも DJ もインターネットで節約する傾向にあるから、このようなクローズの話も将来的にもっと出てくるようになるんじゃないかな」
ブレイクス・レーベル Functional のボス Biff は、違ったスタンスでこのように語った「Intergroove がなくなってしまうのは悲しいよ。でもこの倒産が“MP3 によるアナログの死”が原因だとは思えないんだ」
「Intergroove とも良いセールスの結果が出せていたと思うよ。過去2年間でセールスは伸びる一方だったしね。最新のリリースははじめの2週間で800枚以上も売れたんだ」
「新しいディストリビューターはもう見つかっていて、一週間〜10日以内にはビジネスをスタートさせる予定なんだ。当分はアナログ販売をやめるつもりはないよ。初期から始めていたデジタルのセールスもすごく好調だしね。しばらくはこの二つを両立させてやっていくつもりだよ」
64 Records のボス Rui Da Silva も同様にアナログとデジタルの二つのフォーマットでの販売を行っていくと強調したが、Intergroove の倒産によってレーベルのリリース量は減っていくだろうと話した。
「アナログのセールスはレーベル全体の売り上げの60〜70%を占めてるんだ。僕らは消費者が音楽を買い求める方法が変化していく過程のちょうど真ん中にいるんだと思うよ」
「曲を制作するために働いた人々に対する報酬システムが時代遅れなものになって来ていて、この新しい音楽の購入方法では音楽制作に関わったすべての人々に適当な報酬を与えることができないんだ」
「素晴らしい音楽を消費者に届けるために時間を費やしている人々を報いるシステムを見つけなきゃならないと思う。ある意味、消費者によって素晴らしい音楽を届けてくれるエコシステムが破壊されてしまっているんだからね。だから、この新しいデジタル・ダウンロードが今後アナログよりいっそう強力なものになることを願おうじゃないか」
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