international news_2010.03.29
Text by Higher Frequency
音楽業界にとって 「違法コピー」 の問題は、相変わらず大きな頭痛の種であるが、今回、Universal グループのコンテンツ戦略部門のトップである Niamh Byrne 氏を中心に、"Music Matters"という新たな啓蒙キャンペーンが立ち上げられた模様だ。
既に Amzon や HMV、i-tunes と言った大手企業も賛同の意思を表明しているこのキャンペーン。ホームページを訪れると、Paul Weller 率いる伝説のパンク・ユニット The Jam や、ジャズの大御所サッチモこと Louis Armstrong を始め、Kate Bush、Nick Cave、Sigur Ros などの大物アーティストたちのストーリーを綴ったアニメ・ショート・フィルムを見ることが出来る。そして、その内容は、伝説のアーティストの偉大なキャリアを描いたものだったり、作品を制作する際のエピソードだったりするわけだが、要するに、そのストーリーを見た人たちが、最後は 「だから音楽は大切なんだ・・・」 という決めゼリフへと誘導される仕掛けになっている。
アイスランド出身のポストロック・ユニット Sigur Ros のビデオ などは、彼らがセカンド・アルバムを制作した際のエピソードを語っているのだが、これがなかなか感動的。筆者も、思わず、彼らの過去作品を聴きたくなってしまったが、要は、ここから先が問題。
さて、この Sigur Ros のアルバムを持っていなかったり、サッチモを一度も聴いたことのない人たちは、その後、どうするのだろうか?
かつて、その選択肢は、「レコード屋に行って、アナログかCDを買う」 くらいしかなかったわけだが、今は、ユーザーが興味を持った音楽やアーティストに触れることが出来る機会は多種多様。そんな中で大きなテーマになってきているのが、この 「違法ダウンロード」 という問題だ。
今回のこのキャンペーンは、リスナーの感動値を上げることで、違法コピーの根絶を訴えようという目論みだが、数分間のビデオだけで果たしてこの 「頭痛の種」 が根本的に解決するかどうかは、少々、疑問の残るところだ。
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