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international news_2010.03.25

Jeff Mills が6年ぶりにミックスCDをリリース

Text by Higher Frequency

テクノ・シーンのカリスマ Jeff Mills が、約6年ぶりとなるミックスCDを、Third-Ear Recording より、4月14日にリリースすることが明らかになった。毎回、独特の宇宙観、世界観で素晴しい作品をリリースしてきた Jeff。約3年間の宇宙旅行の体験をもとに制作された作品が前作 "Sleeper Wakes" であったが、今回の作品は、「宇宙遊泳中にジェフ・ミルズが体験したアクシデントの記録である。」とのこと。又しても大きな話題を呼ぶ作品になることは間違いなさそうだ。

より皆さんにこの作品の内容を理解していただくべく、レーベルから送られてきた解説文を、そのまま全文掲載したいと思う。


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宇宙から帰還したジェフ・ミルズ
その邂逅から生まれる“サイエンス・フィクション・ミュージック”

Text by yukari sakamoto

ミニマル・テクノのオリジネーターにして 「ターンテーブルの魔術師」 と称されるジェフ・ミルズ。ダンス・ミュージックという快楽を追求する音楽の枠に留まらず、彼の作り出す音楽には哲学や思想が色濃く反映されている。そんな彼が長きにわたり考究しているテーマが“宇宙”だ。このことから、また、その風貌から “宇宙人DJ” と例えられることも多い。
これまで年に数回来日し、2002年からは毎年10月に1カ月間、週替わりで志向を凝らしたレジデンシー・パーティを開催してきたジェフが、2006年のレジデンシーをもって日本での活動を封印。3年間にわたる 「宇宙旅行」 に出て、その旅の記録をアルバムとして発表することを宣言した。定期的に彼のプレイを見られる恵まれた環境にいた日本のファンが、こんなにも長い間、生のジェフが見られないということはこれまでなかったことだ。その封印がようやく解かれ、渇望していたオーディエンスの前に再び姿を現したのが昨年末のWOMBでのカウントダウン・パーティだった。「ジェフ・ミルズで新年を迎えられる」 ことに至福を感じるテクノ・ファンは日本だけに留まらず、海外からの問い合わせも多かったという。
12月31日、この日のWOMBには正面に円形のステージが設置され、そのステージ上にはたくさんのCDがディスプレイされたラックがあるのみ。DJセットの姿は見えない。オープンと同時に、フロアに設置された2台のお立ち台に、シルバーのフルボディスーツに包まれた2名の女性ダンサーが登場。シンメトリーにシンクロするダンスのコンセプトは 「Advent(到来)」。それは何か特別な事が起きる予感を呼び起こすスピリチュアルな開眼を示唆し、そのダンスは来るべきものへ信号を送り、迎え入れる準備を意味するものだとジェフ・ミルズは定義付けた。この時点ではまだジェフは姿を現さず、オーガニックなパルスを中心にした重厚な胎動のような音楽が彼女たちのサウンドトラックとして用いられた。 いよいよ正面スクリーンにカウントダウンの数字が映し出される。フロアはいつの間にか超満員の熱気に溢れ、ジェフの登場を待ちわびる。00:00:00。2010年に切り替わった瞬間、スクリーンにジェフの目覚めを象徴するような目のアップが映し出される。そして、ハードなフライトスーツに身を包んだジェフ・ミルズが3年ぶりに日本のオーディエンスの前にその姿を現した。大きな歓声が上がる。さらにオーディエンスは彼のDJスタイルに息を飲むことに。円形ステージには、ミキサー、4台のCDJ、TR-909が埋め込まれていて、彼は地面に膝まづきプレイをしているのだ!
常々想像を超えたコンセプトを提案してくれる彼だが、このような斬新なプレイスタイルで特別な空間を作り出そうとしているとは、まさに驚愕のひとこと。 もちろん、今回もコンセプト、映像、演出含めすべてジェフ・ミルズのアイディア。円形ステージに斬新なプレイスタイル、その後ろに円形状に映し出される宇宙の映像とアルバム 『スリーパー・ウェイクス』 のジャケットにも描かれているスパイラル。ライティングもあえてレーザーは使わず、3段に分けて設置されたストロボで視覚を震撼させる。ジェフ自らが作成した進行表には、時間軸でその時に映す文字、映像、ライティングの細かい指示が書き込まれていた。視覚的こだわったものがもうひとつある。衣装だ。彼は服装さえも音楽のコンセプトのひとつとして捉えている。航海中に身に付けていたフライトスーツの他に、“セカンドスキン” という名のジャンプスーツをこの日のためだけに制作。衣装を手がけたのは、2008年のFirst Transmission、WIRE09でもジェフの衣装を作成したPUBLIC IMAGEだ。航海も終わりに差しかかり、いよいよ地球への帰還が近づいたときにチャンジされた細身のスーツを連想させる “セカンドスキン” は、地球への帰還に際した正装ともいえるものだろう。
オープニングのダンサーパートからクロージングまで、プレイされた楽曲はすべてこの特別な日のために作られた旅の記録。その数はなんと125曲にもなる。ステージ後方に配されたラックのCDは、使用したものを裏返しにしていったのだが、終わったときにはほとんどの盤面が裏になっていた。この日、この場所を訪れたオーディエンスは100曲以上の彼の新曲を聴けたことになる。 地球帰還のスペシャルなショーに先立ち、新作オリジナル・アルバム 『スリーパー・ウェイクス』 がリリースされた。前述のように約3年間の宇宙旅行からインスパイアされた壮大なるスペース・シンフォニーだ。ジェフの音楽は 「テクノ」 とカテゴライズされるものだが、彼自身は自分の音楽を「サイエンス・フィクション・ミュージック」 と呼んでいる。コンセプチュアル・アートとも呼べる彼の創作する音楽は、単なるテクノとは一線を画するものだ。これからは彼の作り出す音楽を、我々も 「サイエンス・フィクション・ミュージック」 と呼ぼうではないか。
最新の 「サイエンス・フィクション・ミュージック」 が、早くも4月に我々の手元に届くという。それは、『スリーパー・ウェイクス』 の旅の途中で、宇宙遊泳中のジェフが遭遇したアクシデントのレポートとしてまとめられたもの。実験的なコンセプトを基に作られた 『Exhibitionist』 から実に6年ぶりとなる一筋縄ではいかないMIXアルバムで、彼の波乱に満ちた旅を確認してほしい。


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Jeff Mills "The Occurrence" は 4月14日(水)、Third-Ear Recordings から、日本初となるCD面 / アナログ面の両面ディスク 「ヴァイナル・ディスク」 仕様の生産限定盤と、通常版を同時発売予定。ライナーノーツには漫画界の巨匠・手塚治虫の漫画 (『火の鳥 望郷編』 より) をアートワークに使用している。
トラックリストは以下の通り。


01. Indications
02. Spacewalk (The Storm)
03. Abnormal Feeling
04. Inception
05. Hallucinations
06. Something Is Happening
07. Protons
08. Opening The Passageways
09. Infected
10. Eve
11. Satellite Retrieval
12. The Occurrence
13. A New Found Sense Of Being
14. Damaged Tether
15. From Beyond The Star
16. eviewing The Incident
17. Transmitting Data To Mission Control
18. Re-establishing Connection
19. Spiral Galaxy
20. New Measurements
21. Peaceful Encounter
22. Determination
23. Off-line

[Vinyl Side (生産限定盤のみ)]
01. Markings (未発表ボーナス・トラック)





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