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international news _ 2007.03.23

NY の Roxy が遂に終焉

Text by Jonty Skrufff (Skrufff.com) _ Translation by Terumi Tsuji

NY の老舗ナイトクラブ Roxy が先日 28年間の歴史に幕を閉じた。ローラー・ディスコとしてオープンし、‘90年代には一躍NY一の人気ゲイクラブとなったRoxyの跡地には、マンションが建設される予定だとVoice誌は報じている。

Skrufff のライターであり、‘90年代には Roxy で DJ をしていた Larry Tee は、今回の閉店ニュースを嘆くとともに、「Roxy が NY に与えた影響は計り知れない」 と称賛する。

「‘80年代中盤から後半に掛けてエイズの恐怖がNYを襲って以来、ゲイたちはクラブではなくバーに追いやられたんだ。そんな中Roxyは、スーパー・ゲイ・クラブとして初めて名をあげた勇敢なハコだったのさ」

「とはいえ、筋肉隆々のマッチョなゲイたちが Roxy を占領し出したのは、‘90年代に入ってJohn Blari が‘Saturday Night’ (有名なゲイパーティー)をスタートするようになってからさ。今でこそマッチョなゲイは時代遅れだけど、当時は体を鍛えて健康体に見せかけることで、彼らはエイズの恐怖から逃れようとしてたんじゃないかな」

「今後、Roxy のようなマッチョなゲイクラブは出てこないだろうね。今じゃすっかり NY はゲイフレンドリーな街になったから、昔のように筋肉をアピールする必要はなくなったのさ」と彼は語る。

一方、ゲイ専用のソーシャル・ネットワーキング・サイト 『D-List』 の設立者であり、アンダーグラウンド・プロモーター/ DJ のD aniel Nardicio は、Skrufff に不満げにこう語る。

「Roxy はもう何年も前から終わってたよ。豪華なマンションを建設するためにクラブがクローズになる度に寂しい思いをしてたけど、Roxy に限っては潮時だったんじゃないかな。Roxy は店内デザインも、ノン気のダンサーも、そして音楽も全部が退屈だったよ」

また彼は、最近可決されたクラブ・エントランスにビデオカメラの設置を義務づける法律に対しても腹を立てているようだ。

「ほとんどの NY 地下鉄のホームにもまだ監視カメラが導入されてない状態なのに、全クラブにカメラの設置させるなんて馬鹿げてるよ。去年1年間の地下鉄構内での死亡者数は、クラブで命を落とした人の数よりよっぽど多いんだぜ」

「NY のナイトシーンを規制しようとしているヤツらの殆どが、年寄りやレズビアンの議員たちさ。モダンガールが全盛期だった‘20年代以降、クラブに行ったことのないようなヤツらにクラブの何が分かるって言うんだい?」

「ナイトシーンはNYに無くてはならない存在だと思うんだ。僕自身もNYのナイトライフは大好きだし、Studio54 はMOMA (ニューヨーク近代美術館)やエンパイア・ステイト・ビル、ブロードウェーに匹敵する歴史的な存在さ。NY 市民にとって大切な物を、市議会が全力で潰そうとしてるんなんて寂しすぎるよ。過保護もいいとこさ」

‘85年に Roxy を購入したオーナーの Gene DiNino は、Village Voice 誌にクラブ閉店について次のようにコメントしている。

「一緒にクラブをスタートさせた友人の中には、今でも刑務所に入っている人や、国外追放された人もいます。また彼らの大半がこの業界から足を洗ってしまいました。Roxy のように有名で伝説的なクラブがクローズするのは本当に悲しいことです。多くの人の生活そして心の一部となっているクラブが無くなるのは、ある意味自分自身のアイデンティティーを失うこととも言えるでしょう」

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