international news_2009.06.15
Laurent Garnier、UKのシーンに物申す
Text by Jonty Skrufff (Skrufff.com) _ Translation by Shogo Yuzen
フランスのDJ・Laurent Garnier は、今のイギリスのクラバー達は視野が狭く、保守的過ぎると指摘した。さらに、イギリスの音楽ビジネスの過剰な商業志向が新たなものを試みるという気持ちを殺してしまったことが原因であると述べた。
「イギリスはかつて音楽の自由の土地だった。みんなが色々なことをやって、常に新たな発見があったんだ。だけど今のイギリスは完全にそれを失ってしまっている。イギリスは今やうわべだけの音楽好きになり、もう新しい何かを受け入れるという気持ちは他の国と比べても無くなってしまっている。今ではドイツの方がもっと実験的な音楽やプロジェクトに寛容的だよ。フランスやベルギーもそうだね。」
テクノのパイオニアとして大きな影響力を持つ Laurent Garnier は、８０年代にイギリスのマンチェスターに住み、黄金期の Hacienda のパーティーに感化された。その後フランスに戻った彼はフランス初のスーパースターDJとなり、世界のダンスミュージック界を股に架ける音楽大使へと成長を遂げた。今でも音楽に対して熱心な彼はUKのシーンに対しての不満を語った。
「イギリスは商業的な考えの中に閉じこもって、リスナーの多くが２０年前ほどは賢くなく、閉鎖的になってしまっている。これは大きな違いだよ。僕はたくさんのDJやアーティストと話をするんだ。２０年前はみんなイギリスでレコードをリリースしたいって言ってたのに、それは完全に変わったね。今ではみんなドイツでリリースしたいって言ってるよ。これはどちらかって言うとエレクトロ・ミュージックの世界の話だけど、それでもイギリスは確実に斬新さを失ってしまったね。」
この話は彼のニューアルバム "Tales of a Kleptomaniac" についてのインタビューの途中に上がったのだが、このアルバムには様々な幅広い音楽のルーツを元にしたトラックが収録されており、彼自身が運営するレーベル F Communication からリリースされる本作は、ドイツとフランスでは高い評価を得ているが、UKでは様々な意見が入り交じっている。
「イギリスの評論家の半分が僕の作品をすごく好きだって言ってくれてるけど、半分は理解できないと言ってるんだ。たぶん色んな音楽が入り交じってるから、ついていけないんだろうね。彼らは音楽をカテゴリー分けするのが好きだけど、僕のアルバムはどのジャンルにも当てはまらないんだ。悪いけど、僕はみんながやってることはやりたくないんだよ。」
「音楽業界で一番大切なものはやっぱり音楽だよ。僕個人的には音楽で一番大切なものはそれが僕にくれる快感であり、新鮮な気持ちなんだ。音楽を聞いてる時に 『このハイハットはいいのかな？このエフェクトは大丈夫かな？ラジオでかけるのに長過ぎるかな？短すぎるかな？テレビで流れても大丈夫な作品かな？』 なんて気にしてないんだよ。僕にとって音楽はすごくシンプルなんだ。好きか嫌いか。だから僕は色んなスタイルの音楽をリリースするんだよ。」
タイトルが目を引く彼のニューアルバム "Tales of a Kleptomaniac" は、ダブステップからジャズまで幅広いジャンルの音楽をカバーしているが、楽曲 'Back To My Roots' では彼のテクノDJ時代の片鱗が伺える。
典型的なフレンチ・ムードのあるリフから始まり、カウベル、トムトム、パーカッションを重ね、強いキックドラムが抜き差しされた作品となっている。またパーカッションのミキシングはあえて手動で行われているという。
Laurent Garnier "Tales of a Kleptomaniac" は F Communications より好評発売中。
トラック・リストは以下の通り。
01. No Musik, No Life
02. Freeverse, Pt. 1
03. Gnanmankoudji [Horny Monster Mix]
04. Dealing With the Man
05. Last Dance @ Yellow
06. Desirless
07. Pay TV
08. Bourre Pif (Avant Bath Time!)
09. Freeverse, Pt. 2 [Stripped to the Bone Mix]
10. Back to My Roots - Back to My Technodiziak Roots
11. Food for Thought With Winston McAnuff
12. From Deep Within
13. Gnanmankoudji [Original Broken-Afro Mix]
14. Freeverse, Pt. 1
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