international news _ JONTY SKRUFFF _ 2005.06.15
Text by Jonty Skrufff _ Translated by H.Nakamura (HigherFrequency)
サウンド・ファクトリーのオーナーである Richard Grant 氏が、自身が経営するこのニューヨークのスーパークラブが「合成ドラッグの巣窟である」との疑いを晴らし、無事に無罪放免となったことが伝えられた。このニュースを報じた New York Times によると「この事実は連邦検察官に相当な動揺を与えるだろう」とのこと。逆に、我々クラブ・ミュージック・ファンにとっては嬉しい知らせとなった。
今回の裁判の判決次第でグラント氏は、最長で数十年の刑務所暮らしを強いられる可能性があったが、検察側が用意した証人である元サウンド・ファクトリーのチーフ・セキュリティー Ronald Coffiel が、実はチケットの売上から400万円近くを盗んでいたことが公判途中に判明。これによって Ronald が行っていた「クラブで行われていたドラッグの取引については常に Grant 氏に報告を入れていた」とする証言自体の信憑性が疑われることになり、最終的には Grant 氏の無罪放免が確定したようだ。
しかし、クラブ側の弁護士は公判終了後に、「あの悪名高きレイブ禁止条例を利用して、アメリカの当局はいずれにしてもサウンド・ファクトリーを閉店に追い込むつもりだったのだろう」と指摘している (サウンド・ファクトリーは昨年3月に当局によって閉店に追い込まれており、現在はニューオーナーである Eddie Dean氏 の元で再開に向けて準備をしている)。
「この法律の根拠はものすごく曖昧で、そのために音楽好きな若者に対して営業を開始した人であれば誰でも告訴されてしまう恐れがある。今回のケースはそもそもダンスが嫌いなジョン・アシュクロフト司法長官によって始められたようなものだ」と Grant 氏の弁護を担当した Camille M Abate 氏は Times に対してこのように語っている。
実際、今回の秘密捜査を総括していたDavid N Kelleyは、昨年の3月4日付で発行された告訴文の中で「自らの店でドラッグ売買が横行するのを放置していたクラブのオーナーとマネージャーは、麻薬密売所を運営している連中と全く同じであり、そのように告訴されるべきだ」とまくし立て、最後にこう付け加えている。
「サウンド・ファクトリーのドラッグ・ファクトリーとしての時代は終わった」…… 残念ながら、その考え方は大きな「間違え」であったことが、今回裁判によって証明されたわけだ。(Jonty Skrufff/Skrufff.com)
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