HigterFrequency DOMESTIC NEWS

ENGLISH OVERSEAS NEWS

international news_2010.01.28

パリのナイトライフが危機?

Text by Jonty Skrufff (Skrufff.com) _ Translation by Shogo Yuzen

New York Times 誌は先日、かつては名高かったパリの夜遊び文化が全滅の危機に瀕していると伝え、記事内では最近フランスの新聞 Le Monde に掲載された 『パリはヨーロッパの退屈の中心』 という記事についても言及した。

「DJやミュージシャン達もこのフランスの首都を見捨てており、ナイトライフの専門家は 『パリのナイトライフは近い内に死んでしまう』 という結論に到達した。また、積み重なる騒音に対する抗議、罰金、閉店により多くのバーやコンサートホールは存続が難しくなっている。」 と New York Times は報じている。(http://tinyurl.com/y8kreks

さらに、街の高級化、禁煙法、官僚制や厳しい警察の介入などがこのクラブ街が危機に瀕している原因であるとし、パリ版 "Love Parade"の Techno Parade のオーガナイザー・Technopol がクラブ運営に関する新たな法律に反対しており、ネット上で既に1万4000人の 署名 を集めたことや、抗議文や署名の一部も抜粋されている。

「騒音に関する法律が我々のイベント運営を困難にしており、我々が住むこの眠らない街はヨーロッパの眠りの街へと変貌を遂げつつある。たった一人の住民の完璧な平安と静けさを守り、それを全く妨げずに都市の発展を望むのは危険な矛盾である。また人々が踊ることを禁ずることは人権的観点から見てもどうなのだろうか?」

クラブ・プロモーターであり、フランスのクラブ情報誌 Trax Magazine の編集長である Edouard Rostand は、禁煙法の影響は軽視しているが、彼を含めどのクラブ・オーナー達もこれ以上のクラブへの法律的介入を防ぐため、警察に協力する姿勢を見せているという。

これまでの警察の介入を振り返り Edouard はこのように語っている。

「僕も何度か影響を受けているよ。theatre で行った Parissi les Amisha は警察に中止されたし、偽造ID問題でParty Animals っていうパーティーは中断させられたし、日曜の午後に公園で開催したパーティーも止められたよ。どれも最終的には警察と和解してるんだけどね。僕が運営している Basement Members Club については、92デシベル以上の音は出すなって言われた。そんなのは、人が話してたらもう音楽が聞こえなくなっちゃうぐらいの音量だよ。Bagatelle で野外パーティーをやった時は、午前3時にパーティーを終了させるように義務付けられたね。」

パリを中心に活動するテクノ/ソウル・プロデューサーであり、Komplex De Deep レーベルのオーナーでもあるMaster-H (a.k.a. Hassen Gouaned) も、先述した Technopol の署名にサインしており、パリの現在の状況に関しても Edouard と同じく、街の先行きは明るくないだろうという考えを示している。

「個人的には二つ理由があると思ってる。一つは経済状況だね。そして、もう一つは政府が持ってるパリに対するビジョンかな。彼らはこの街をニューヨークのようにしたがってるんだ。2000年頃、今のフランス大統領の Nicolas Sarkosy が、当時のニューヨーク市長 Rudolph Giuliani (クラブ反対派で有名)の元を訪れて、Giuliani が街を取り締まっている方法がいかに素晴らしいかを語ってたのを覚えてるよ。その頃僕はニューヨークでDJをしていて、Chaos Club で(現在 Cielo のオーナーをやってる)DJ の Nicolas Matar と一緒に毎月出演してたんだ。当時、僕達は 「ダンス禁止」 って書かれた看板の下でプレイしてたんだよ。

今パリで起こってるのは全く同じことだね。彼らは街を浄化してるつもりだけど、魂を殺してるだけだ。この不況も原因だね。若い人達がもう外でパーティーするお金がなくなってる。だから彼らはお互いのアパートに安い酒を持ち寄ってパーティーしてるんだ。僕が海外でプレイ出来ていることには感謝したいけど、フランス国内での活動だけで生計を建てるのは難しいよ。今でも賑わっているクラブはあるけど、プロモーター達は小さいクラブで有名なアーティストをブッキングして、出来る限りリスクを背負わないようにしようとしてるんだ。」

Edouard Rostand は今後、パリの市街地でのパーティーを増やしているという。そして、高級化が今後与える影響について質問すると、笑い飛ばしながらこう答えた。

「高級化って一体何なんだ?グラス一杯のシャンパンに25ユーロも払うこと?未来はパリの市外にあるよ。パリの外には素晴らしい市街地や城、公園、倉庫がたくさんある。だから、金持ちのパリ人達は放っておけばいいよ。」




関連リンク