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international news_2010.01.14

SNSサイトとアーティストの関係性

Text by Jonty Skrufff (Skrufff.com) _ Translation by Shogo Yuzen

フィンランドのエレクトロ・ハウスプロデューサーである Jori Hulkkonen は先週、「音楽はその意味を失った」 と語り、スター達はSNSサイトなどを利用することで 「謎めいた部分」 を失ってしまったと発言した。

「僕は昔から自分のイメージやステージの人格を作り上げて、音楽を表現するタイプのアーティストが好きだったんだ。だけど Facebook や Twitter、番組 "Pop Idols" みたいなリアリティー・ショーが出来て、誰もがアーティストの全てを知ることが出来るようになったんだ。ファースト・シングルが出る前に、そのアーティストの全情報を知っているということだよ。そうすると、アーティストっていうのは単に 『才能のある普通の人』 みたいだよね。つまり、『音楽が作れる一般人』 になってしまったんだよ。こんな風に言うのは申し訳ないけど、僕はただの人は好きじゃないし、そんな人が作る音楽にも興味が無いんだ。」 と、Jori は TurboRecordings.com のインタビューで語っている。

上記の記事について、派手な風貌で知られるフランスのエレクトロ・テックアーティスト Lady B (a.k.a. Bruno Gauthier) は意見の大半に同意を示した。(皮肉なことに、Lady B が意見を述べたのは Twitter を通してだった)。

「僕が Jori の記事について Twitter で発言したとき、前置きに 『アーメン』 って書いたんだ。だって、彼は見事に過去数年間の音楽業界で起こったことを指摘していたからね。だけど 『意味を失った』 のは音楽だけじゃなく、それ以外のことにも当てはまることだと思う。音楽業界は未だに音楽を物質的なものとして売ろうとしているけど、もう音楽はCDやレコードのような商品として成立しなくなってしまった。 だからこそ今、僕達は自分と音楽との関係を改めて見直す時期なんじゃないかな。これから音楽はマーケティングではなく、もっとリアルな感情に近いものになるんじゃないかと思うよ。」 と彼は今後の音楽の形を予想している。

Lady B 自身はSNSサイトを進んで取り入れていると語っているが、それと同時に発信する情報については細心の注意を払っているという。

「SNSは人と繋がりを持つ上で素晴らしい手段だと思うよ。特に、離れたところにいる人だったり、緊急で誰かに連絡を取らなきゃいけない時なんかにね。だけど、自分のその時々の気分や自分が今やってることなんかをアップすることは無いね。それは僕個人の生活に密着したことだから。だけど、何度か失敗をして学んだこともある。僕は本能的な人間で簡単に人を信じすぎてしまうんだ。だから、時間を使う価値も無いような人にも、たくさん時間を使ってしまうこともあったんだ。2、3度くらい、知られるべきではないことを悪い人間に打ち明けてしまったこともあったよ。」

一方、The Guardian はポップスター達が商品に付加価値を付けてCDの販売を促進していることを記事にし、Lady Gaga の最近のマーケティング戦略として発売された、カツラがついた114ドル (約1万5百円) のCDボックスセット "Ga Ga Super-Deluxe Fame Monster Bundle" について取り上げた。(http://www.guardian.co.uk/music/2010/jan/03/music-downloads-extras

Radio 1のDJ・Scott Mills は新聞でのインタビューで、Lady Gaga のボックスセットのような仕掛けは、現在の音楽ビジネスにおいて”必要悪”であると語っている。

「みんなも Lady Gaga ならこういうことをやるだろう、って思うだろ?面白いじゃないか。 だけど、ああいう限定版のボックスセットでCDを売る人もいれば、一方で自分の人生を売る人(リアリティ番組などで)もいるんだ。もし全てを売ってしまったら、ポップスターやロックスター達の魔法は消えてしまうっていうのにね。」