international news _ 2005.08.23
Text by Hide Nakamura (HigherFrequency)
60年代に自らの名前を冠したシンセサイザー Moog を世に送り出し、その独特
なキャラクターを持つ野太いサウンドで、ロック、ジャズ、ファンク、ソウル、
ヒップ・ホップ、そしてクラブ・ミュージックと、その後世の中に登場するあり
とあらゆる音楽に革命的な影響を与えた「シンセサイザーの父」、Robert Moog
博士が、先週の日曜日、悪性腫瘍のため ノースカロライナのアッシュビルにあ
る自宅で亡くなった。71歳だった。
コーンウエル大学で物理工学の博士号を取得した Moog 博士は、1964年、最
初の市販モデルとなるモジュラー・シンセサイザーを発表。電気で音を出すとい
う革命的なテクノロジーを一般的なものへと広め、鍵盤楽器といえばピアノかオ
ルガンというそれまでのポピュラーミュージックの構造を一変させることになる。
その後、デジタル・シンセの普及などでアナログ・シンセは衰退の一途をたどる
ことになるが、その中にあっても、Moog製のシンセサイザーはエバーグリーンな
輝きを放ち続け、ヒップホップ系のアーティストやクラブ系アーティストからも
熱狂的な支持を集めるなど、常に伝説のシンセサイザーとして音楽シーンに君臨
を続けてきた。
2004年には、彼の足跡をたどるドキュメンタリー映画「Moog」が公開され、
世界的にも大きな話題を呼んだばかり。「電子音楽=エレクトロニック・ミュー
ジック」という世界の産みの親と言っても過言ではない Moog 博士の逝去… 心
からご冥福をお祈りしたい。
関連リンク
Nowonmedia - Moog Official Site
Moog Music Official Site