1993年にベルギーのR&SのサブレーベルであるApolloよりMeditation Y.S.名義でのリリースを果たし、その後日本を代表するアーティストの一人として10年以上に渡って日本のシーンを牽引してきたサワサキヨシヒロ!2000年にはV2 Recordsより「Dr.YS & The Cosmic Drunkards」名義でメジャーリリースを果たすなど、音楽制作面においての活躍を見せる傍ら、DJとしても数多くのクラブやイベントでプレイし、最近では渋谷のLa Fabriqueでのレギュラープレイも好評を博すなど、その勢いはデビューから10年経った今でもまさに衰えるところを知らない。
また、多くの雑誌やラジオなどにおいても連載を持ち、みうらじゅん氏とのコラボレーションなどでもその多彩な才能を発揮するなど、文化人的な側面でも多くのファンを持つサワサキ氏にHigherFrequencyがインタビューを実施。彼のミュージシャンとしての実像に迫ることに成功した。
> Interview & Introduction : H.Nakamura (HigherFrequency)
HigherFrequency (以下HRFQ) : R&Sからデビューをされてから今年で10周年ですか?
サワサキヨシヒロ(以下YS): 9年、 いや、やっぱり10年になるのかな。まぁそれ以前から音楽活動はずっとやっていたから、いわゆるテクノフィールドで活動を開始してからがそれ位と言う事になるでしょうね。今思い起こすと、93年の末頃からあちこちにデモテープを送り始めたんですけど、その当時は'みうらじゅん'さんの事務所にいて、自分ではファックスを持っていなかったので、事務所のファックスを勝手に借りて海外に送ったりしてたんですよ。それでみうらさんに「これ何や〜?」ってよく怒られたりして(笑)。まぁそんな感じでデモテープを送って、返事が返ってきたのがその年の12月の末だったかな。だから、僕のR&Sデビューについてのファックスは'みうらじゅん'事務所に届いて、それを最初に手にしたのは他でもない、みうらじゅんさん本人だったんですよね(笑)。
HRFQ : R&Sから「作品をリリースしたい」と初めて聞いたときの感想は?
YS : 当時はテクノの事を全然知らなくて、R&Sの事もあまり知らなかったんですよ。
HRFQ : え?ケンイシイがリリースしていたって事も知らなかった?
YS : いや、それは知ってた。当時ケンイシイ君はまだそんなに有名じゃなくて、彼の最初のライブって言うのが今の下北沢の251のある場所でトランソニックレコーズの永田君が主催したイベントであって、その時に一緒になったのがきっかけで仲良くなったんですけど、その時までは彼の事もあまり知らなくてね。でも何となくR&Sから作品を出したスゴイ奴だって認識はあって、その時に「僕もデモテープ送ってみようと思っているんですよ〜」なんて話した記憶がありますね。その頃は今みたいにWEBなんかは無かったですから、買ったレコードのラベルの周りに住所が書いてあるのを探して、そういうのが書いてある中でR&SやWARP、あとSueno Latinoとかを出していたイタリアのレーベルなんかに軽く送ってみたら、R&Sから返事が来たって感じでした。
HRFQ : じゃ、割とそんなに超ビックリと言った感じでもなかったんですか?
YS : だって全然知らなかったからね(笑)。向こうのテクノとかクラブとか知らないし・・・まぁGOLDとかのクラブに遊びにとかは行ってたりはしてましたけど、正直デトロイト・テクノのデの字も知らかったですからね。プログレを作ろうと思ってはいたけど、それがアンビエントとリンクするとは全く思ってなかったし、プログレッシブ・ロックみたいな世界を打ち込みで再現しようと思って作ってただけですから・・・それが作ってみたら「これはR&SじゃなくてサブレーベルのAPOLLOだよ」みたいな事を言われるものだから「へぇ〜そんなのがあるんだ」って言うのが正直な感じでした。あとになってから、当時渋谷のLOFTの上にあったWAVEへ出かけて行ってAPOLLOのレコードを何枚か買って聴いて、「ここのサウンドって結構プログレしてて自分の世界に近いなぁ」と思ったりしたくらいですからね(笑)。でも、周りの人にそのファックスが来た話をしたら「お金や契約よりも何よりもとにかく出すべきだ」とか「海外から出すのは絶対に良いから」とか言う話になって、それで出す事にしたって感じでした。
HRFQ : では今みたいに「海外で作品を出す事がワールドワイドで成功するDJに秘訣だ」みたいな考えがあったわけではないと?
YS : 全然!ケンイシイが海外から出していると言っても今ひとつピンと来てなかったし・・・それに僕にとっては彼の音楽はあんまり「ダンスミュージック」って感じでもなかったですからね。だから、「このテクノって言うのは結構面白い世界になっているなぁ」とむしろ思うようになって・・・まぁそれがきっかけですね。
HRFQ : その後約10年間、日本のテクノ・アンビエントシーンを代表するアーティストの一人として活動されてきたわけですが、そのサワサキさんから見て最も面白いなって思う日本のシーンの変化はなんだったでしょうか?
YS : 海外から出す事のステイタスみたいなものはものスゴク薄れてきましたよね。でも薄れてきてはいるけれども、一つのコマーシャルとして「海外で活動している」とか「作品が出ている」とか言う事は、まだまだ根強く語られているところもあると思います。あと、日本と向こうの垣根がなくなってきている事は切実に思いますね。
HRFQ : 当たり前のようにボーダレスになって来たと・・
YS : そうですね。
HRFQ : 技術的な面での進歩と言う点についてですが、最近では音楽制作の面でもテクノロジーの進化がたくさん起こっていて、それこそサワサキさんがデビューをされた93年頃には「曲を作る大変さ」とか「プロとアマチュアの差」が大いにあったと思うのですが、最近ではDTM技術の進化によって、誰でもみんな気軽に音楽が作れるような環境になって来ましたよね。その点に関してはどのようにお考えですか?
YS : 今でも僕はプロとアマの差はものすごくあると思います。あんまりそれについては変わっていないような気がしますね。93年とか94年の時でも、音質的な面は横に置いたとしても、耳さえ持っていればお金をかけずに世に残る作品を出せるような機材環境も十分にあったし、技術的な環境についても既に揃っていたと思うんです。この10年で便利にはなりましたけどね。でも、最近ではむしろみんな逆戻りしている部分もあって、例えば昨日も石野卓球のGROOVEでのインタビュー記事を読んだんですけど、「コンピューターだけでやるのは楽しくないでしょ」みたいな事も書いてあったりして。だから、確かに技術的な面での進歩は、エンジニア的な音の抜けの良さとかダイナミックレンジの良さとかそういった面においては見られるのかもしれないけど、そう言った部分を除けば殆ど変わっていないような気がするんですよね。
HRFQ : MP3とかi-tuneでのダウンロードとかの最近のテクノロジーが音楽のパッケージビジネスを食ってしまうのではないかと言われていますが、これについてはどう思われますか?今後は若いユーザーは曲に手に入れるときにはCDを買うのではなくてダウンロードで済ませていくような方向にあると思いますか?
YS : それはあると思う。もうCDは単なるデータと化すでしょうね(笑)。
HRFQ : サワサキさん自身、実際にどこかのサイトでそう言ったMP3の販売やダウンロードによる販売などをされているんですか?
YS : やってますね。つい最近、友達がやっているGREEN RECORDSってところで2曲ほどアップしました。
HRFQ :では今後もっとそのエリアに関しては積極的になって来ると?
YS : 積極的になってくるとは思うけど、まだCDには「形になるというブランド」ってあるじゃないですか。だから、そこの価値観の部分でみんなCDを買ったりしている部分もまだまだあると思うし、「純粋に音楽を聴いて良いと思ったから買う」というものにプラスして「ブランド」的な見方って絶対に残っていると思うんですよ。やっぱり「CDになってメジャーからリリース→すごいね→じゃ買おうか」なんて事も実際には多いわけじゃないですか(笑)。
HRFQ : 「メジャーのダウンロードコーナーからダウンロード出来るようになってます」ではなかなか説得力もないですからね。
YS : そう言う感じもありますよね。まぁ、海外とかでは最早そう言う事も関係ないのかもしれないですけどね。
HRFQ : 最近JEFF MILLSがDVDによるMIXコンピレーションをリリースして、周りでは「これが今後の新しい方向性だ」などと言う人もいたりするのですが、サワサキさん的には如何ですか?
YS : DVDは可能性あると思いますね。ただこの作品は見ていないので何とも言えないですけど。まぁ、「映像と音楽が一つのパッケージで一つの作品として共存していく」というのは、これから「アリ」でしょうね。でも、それって音楽自体がもっと空気みたいになっていくって事かもしれないし、そう言ってしまうと、「僕らは音楽一生懸命作っているのに・・・」って感じになってしまうんですよね(笑)。だからDVDを見る人は一体何を重要視するのか、それは映像なのか、それとも音楽なのかって事もポイントになって来るんだと思います。ただ、自分としてはものスゴク興味ありますよ。次の作品とかでDVDを付けるのもアリだと思うし、この間もミュンヘンの友達で映像を作っている奴がいて、「じゃぁ僕の曲を渡すから映像を付けて何か一緒につくろうよ」って話にもなりましたしね。
HRFQ : サワサキさんは確か携帯電話の雑誌でも連載をされていますよね。その分携帯に関しても色々とお詳しいと思いますが、「着うた」のブームは、将来的に携帯電話がダウンロードを前提としたWALKMANとして機能を持ち始めるまでの過渡期であるという見方もありますが、これに関してはどう思われますか?
YS : 「着うた」って事に関して言うと、本当に良い音質でパッと落とせて、ヘッドフォントとかでWALKMANみたいにして聞けるようになったら本当にスゴイと思うんですよ。例えば電車に乗っていて、「なんかUNDERWORLDの新しい曲を聴いてみたいな」と思えば、それが100円とかでダウンロード出来て、ちゃんと良い音で聴けたりするわけですからね。それこそ、ものスゴク身軽な話じゃないですか。
HRFQ : むしろPCでのダウンロードより携帯でのダウンロードの方がより進んでいくと?
YS : 例えば海に行くとしますよね。で、「今なんかこの曲聞きたいよねぇ」なんて話になるとするじゃないですか。それで「じゃぁ海だから山下達郎でも聞こう!」「よし探そう!」なんて感じで曲をダウンロードして、それを良い音で2チャンネルに分けければ、DJ MIXとして海辺のパーティーで流せたりするって感じになるわけですからね。これは本当にスゴイ事だと思いますよ。
HRFQ : それこそTRAKTORとFINAL SCRATCHとかを使ってリクエストに応じてプレイするみたいな事もできますからね。
YS : そうそう! もしそうなったら本当にスゴイですよ、
HRFQ : ダンス・ミュージックの売上も上がりそうですよね(笑)
YS : ダンス・ミュージックに関しても、そういうのがDJの現場で連動できるようになるとすごく面白くなると思いますよ。例えば「リクエスト受け付けます」みたいなディスコで、年間ベースでダウンロードし放題みたいな形で原盤会社とあらかじめ契約しておけば、「はいリクエストね、5分待っててくださいね」なんて感じでジュークボックス風にプレイすることも出来るようになると思うし。そんな感じのことが出来るようになると本当スゴイですよね。
HRFQ : さて、ここで音楽制作についての話を聞かせていただきたいのですが、近況と言うか、特に2004年のプランとか何かありましたら聞かせていただけますか?聞く所によるとオリジナルアルバムを計画中とか・・・
YS : オリジナルは作らないとなぁとは思っているんですが、なかなかフィニッシュできないんですよね。
HRFQ : 最後のオリジナルは2000年の「COSMIC DRUNKARDS」ですから、今年出れば4年ぶりと言う事になりますね。
YS : ホント月日の流れは速いですね。自分としては1年くらいの感覚しかなくて、ついこの間出したくらいにしか感じないんですけど。でも周りからも「4年間も出していない」みたいな感じで言われるし、しかも出さないと色んな事が回っていかないみたいな感じもありますしね。
HRFQ : そのオリジナルアルバムのコンセプトのようなものは固まりつつありますか?
YS : ダンス・ミュージックのアルバムになると思います。前のアルバムはダンスだけじゃなくて、今までの僕の好きな音楽の集大成みたいな感じだったんですけど、次はちゃんとダンス・ミュージックという部分をベースにしたものにしたいですね。だから、アルバムの曲そのものがDJでかけられるものじゃなかったとしても、リミックスを出したりする事で、あくまでダンス・ベースの作品としてまとめて行くことになると思います。と言うのも、今、DJをしていてスゴク楽しいし、やっとここ数年で自分の中でDJの面白みが掴めてきたような気がするんですよ。出来ればGabriel & Dresdenみたいに全て自分の曲でDJをやりたいくらいですね。
HRFQ : Remix活動に関してはどうでしょうか?
YS : 今度のミュンヘンのアーティスト Sintoのリミックスとかは、70年代ロックのテイストをベースにしていて、もちろん踊れるようにしはしたんですけど、まぁいわゆるハウスとかテクノとか言うところのものではないですね。まぁ、色々やってしまいたい所もあったりするので、あまり統一性は無いんですよ。
HRFQ : MIX CDとかは今まで出されたこととかはありますか?
YS : ないんですよ。企画としては何度か話はちょくちょく来たりしたんですけどね。是非出してみたいですね。
HRFQ : では、今年辺りはいよいよMIX CDなどのリリースもあり得ると言う事ですか?
YS : まぁ、それをやるにしても自分の作品を出しておくべきだと思うんです。多分僕の今の立場って、ちょこちょこ雑誌とかに出たりして、それこそ「文化人的な立場としてDJもやっている人」みたいな捉えられ方じゃないですか。それだけに「音楽もキッチリやっていますよ」と言う事を伝えられるようなアルバムを出さないと、みんなになかなか分かってもらえないというか、ちゃんとやっぱり認識されないですよね。
HRFQ : そうですね。ところで、DJとしてもサワサキさんは何度か海外でプレイされた経験をお持ちだと思いますが、ブースの中から眺めてみて、日本と海外のクラブシーンの最も大きな違いって何だと思いますか?
YS : 海外では、個人個人が楽しんでいると言うか、楽しむ事に対してもアイデンティティと主張を持っているんですよ。だからつまらなかったら全然踊らないし。例えば、プレイのヴァイブが駄目で、フロアが空いてしまって「お客が引いちゃったなぁ」なんて思っていたとするじゃないですか。でも、そこで「よしフロアが空いているから踊れるぞ」って言う感じで踊り始める奴らが10人くらい出てくるのが海外なんですよ。日本ってそう言うのって引いたら一気に引いてしまうところってあるじゃないですか。何か、みんな一方向を向いていると言うか・・・だから、そういった「楽しみ方の個人主義」みたいなものを向こうのシーンから強烈に感じますね。
HRFQ : そういった日本人のスタイルって、多分に日本人の精神的な構造にも由来するところがあると思いますが、それはそれで日本人の特色としてキープして言った方が良いと思われますか、あるいは、それって少しダンスミュージック本来の楽しみ方からずれていると思われますか?
YS : それはどっちでも良いと思います。DJは常にその経験から「あ、今日はこう言うパーティーだな」と言う事を感じて、その場に対応していかなきゃいけないですからね。
HRFQ : やはり根本はDJの腕次第と言う事ですかね?
YS : うん。まぁ、サービス業だからと言うわけでもないんだけど、やっぱりエンターテイメントですからね。こっちが臨機応変に対応して場を盛り上げていく必要があると思うんですよ。そう言った事に対する自分のアーティストとしてのエゴみたいなものは、もう無くなったかも知れないですね。
HRFQ : 今、韓国とかシンガポールといったアジアのクラブシーンがスゴク盛り上がってきていて、何だか日本もウカウカしていられない状況になってきましたが、その辺に関してはいかがですか?
YS : やっぱり、他のアジアの国では「外で遊ぶ文化」がキチンとあるじゃないですか。この間もテレビで、台湾の2〜3,000人クラスの大きなクラブを特集している番組があったんですけど、レポーターの女の子が中に入るとおじいちゃんとかおばあちゃんみたいな人も踊っているんですよね。それも今のハウスとかテクノとかで。やっぱりそう言うのを見ると「外で遊ぶ文化があるんだなぁ」と思いますね。日本はあんまりそう言った文化はなくて、自分の親とかの世代がクラブに行っているなんて滅多に考えられないじゃないですか。でも、外国だとDJ終わって話しかけてきた人が、年齢を聞いたら50歳だったりする事もあって、やっぱり層が厚いなぁと感じることが多いですね。
HRFQ : サワサキさん自身を含めて何人かの例外は居ると思いますが、なかなか日本人のDJとかプロデューサーが海外でデビューをするとか、海外でツアーを組むとかして認知されるような存在になるのって歴史的にも難しかったし、今でもなかなか大変じゃないですか。そう言うのってやっぱり日本のクラブシーンの特殊性とか、何か日本人だけが見落としてしまっているからなんでしょうか?それとも単純に距離の問題?
YS : 距離の問題もあるし・・・・まぁ、でもヨーロッパって基本的には日本のことを知らないですよね。「スシ」とかそんなもんでしょ。例えば北野武が「座頭市」って分かりやすいじゃないですか。伝え方が間違っているわけではないんですけど、逆に日本人が他の国のこと、例えばアフリカの国のことを知っているかと言うとそうでもないでしょ。あと、日本人は元々他の文化を吸収するのが得意じゃないですか。島国だからって事でもないんでしょうけど、他の国の良いところを真似して新しいものを作っていく文化は昔からありますからね。この間もミュンヘンに行ったら、いわゆる東京の銀座みたいなところにラーメン屋が出来ていたんですけど、ところがこれがホントにマズイんですよ(笑)。でも向こうの人たちにとっては珍しいから「Japaneseラーメン」なんて言いながらガンガン食べてたりするんですよ。日本でも70年代から80年代の初めにかけて同じような事がありましたよね。例えば「タイカレー」を食べようと思っても、そんなにカジュアルに食べられるものじゃなくて、それこそ高円寺辺りに住んでいる現地の人たちがやっているお店に行くとやっと食べられると言った感じだったし。でも今では、そんなタイカレーなんてものはスーパーに行けばルーは売っているし、レトルトパックなんかも出てきたりしているわけで、まぁ、そういった感じの状況がヨーロッパにおいては日本と言うものに対してもヨーロッパで起こりつつあるという感じじゃないかなぁと思うんですよ。
HRFQ : もう少し彼らに日本のことを知ってもらうための情報発信も日本人が積極的にやっていかなければならないと言う事ですよね。
YS : そう思います。
HRFQ :サワサキさんは無名のDJの音とかを聞いて発掘して、最終的にはそれを自分のレーベルにしてリリースしていくような発想ってお持ちですか?
YS : う〜ん・・・そんな余裕がまだないかもね〜。
HRFQ : でも他のアーティストのプロデュースに関しては興味がある?
YS : それはありますよ。実際に今までも幾つかそういったプロデュースをやった事もありますし。ただ、発掘って事に関して言うと何ともいえないですね。実はGROOVEって雑誌の中である企画をやっているんですけど、それも発掘と言えば発掘だし、そう言う意味ではもうやっていると言えばやっているとも言えるわけだし・・・。ただ、それをレーベルでやるとかって事になるとまた話は別ですよね。まぁ、それってプロ意識というところなのかも知れないですけど、やっぱり若い人を育てると言う事に関して責任をもってキチンと応えられるかという部分もあるじゃないですか。それにレーベルをやるとなると、やっぱりビジネスと言う側面も出て来ますしね。
HRFQ : お金の話とか契約の話とかビジネス面でのレーベル運営と言う事だとどうしても多少は出てきてしまいますからね。
YS : それがね、何か不得意。不得意と言うか、今はクリエイティブサイドに立って物事を見ていたいと言うところなんでしょうね。「アーティストでずっと生きてやる」みたいなこだわりがある訳じゃないんですけど。
HRFQ : サワサキさん自身、R&Sにデモテープを送られてアーティストとなるきっかけを作られたわけですが、頑張ってデモテープを作っている若い人たちに先駆者として何かアドバイスはありますか?
YS : 自分が良いと思うような音を作る。グッと自分で掘り下げて、自分自身で感動できて、「これは良い!」と思えるようなもの送れば伝わるんじゃないですか。「音楽と死ねる」という雰囲気を醸し出す感じで。もちろん、売れることを考える要素も必要ですけど、やっぱりアーティストにとっては、作品を出すことによってかけがえの無い喜びを得ようとする思いの方が大切ですからね。人から評価される云々も大切なんだけど、その前にもっと自分自身がその奥底で「これはいいやん!」と思えるようなところを出せるかどうかがポイントなんじゃないでしょうか。やっぱりそう言うところを出せている人って上がって来てますしね。あと、言えるのは、自分自身がフィルターになるという事かな。僕もたくさん作品を作っていますけど、実は自分で作っているとは思っていないんですよ。自分が作業的に何もやっていないと言う事ではなくて、何か「授かりもの」的な発想というか・・・。それに対して自分がフィルターになると言う考え方ですね。
HRFQ : 実際にサワサキさんにデモを送りたいと思っている人はどこへ送ればよろしいんですか?
YS : リットーミュージック Groove編集部まで。今、企画の連載をやっていますので、そこに送ってもらうのが一番早いと思います。
HRFQ : 最後に何かメッセージをお願いします。
YS : 何とか新作を作って、海外とかでどんどんDJをやっていきたいと思っています。ドイツとかでもやった事ありますんで、是非呼んでください(笑)。あと最近では、日本的なことをもっとやってもいいんじゃないかなぁと思っています。例えば「民謡リミックス」みたい感じで。まぁリミックスというか、民謡をネタにしたトラックと言う感じですけど。まぁ、とにかく海外へはどんどん行きますよ!
End of the interview
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