フランクフルト在住の女性アーティスト Vera こと Vera Heindel。名門クラブ Robert Johnson で長年レジデントを務める実力派DJでもあり、Oslo などから良質なトラックをリリース、また先日来日したことも記憶に新しい Federico Molinari との共作や、Miss Fitz とのユニット Mara Trax としても活躍する才能の持ち主である。そんな彼女が待望の初来日を果たすとありインタビューを入手することができた。DJ、楽曲制作においての考えや自らのパーティー哲学など、男勝りとも言えるしっかりとした思想が余すことなく伝わる、貴重な内容となった。
Interview : yone-ko
Translation : erika
Introduction : Midori Hayakawa (HigherFrequency)
--あなたの音楽的なバックグラウンドを教えてください。
Vera : 小さい頃、母に子供のためのクラッシックやオペラのコンサートに連れて行ってもらっていたわ。ピアノとバレエを習っていて、家でもクラッシックを聴くこと が多かったの。ティーンエイジャーになってからはウェーブ、グランジ、70’s、80’s、ヒップホップなどなんでも聴いていたわね。その後エレクトロニック・ミュージックに出会い、アンビエント からエクスペリメンタル、ダブ、ハウスからテクノまで、この15年ほどで一番よく聴いているわ。家ではクラッシックやジャズを聴くことも多くて、特にピアノが好き。私は Steve Reich と Philip Glass の大ファンなの。David Sylvian, Laurie Anderson, Grace Jones, Juana Molina, Sade, Nina Simone も大好き。それからキューバや南米の音楽やベイルートのフォークみたいなのも好きよ。
--お住まいのフランクフルトといえば、まずは名門クラブ Robert Johnson と Cocoon が思い浮かぶのですが、フランクフルトのクラブシーンはどのような感じなのでしょう?
Vera : 私にとってフランクフルトはとてもクオリティの高いクラブミュージックを聴けるところだと思うわ。Perlon, Playhouse, Cocoon の Sven Vath などの影響力の大きいレーベルやアーティストなども元々フランクフルトからきたのよ。ほとんどのアーティストはベルリンに引っ越してしまったけど、Oslo や raum...music などのレーベルの成功を見てみれば今もまだフランクフルトから良い音楽を発信していることがわかると思うわ。
Ata の Robert Johnson というクラブはフランクフルトの音楽シーンにとても大きな影響を与えていて、彼はクラブミュージック(特にハウスとディスコの)のダイナソーみたいなものね。
Freebase Records もフランクフルトでの音楽シーンに大きな影響を与えているわ。各国からのDJも必ず行くし、ハウスのセレクションがとても良いことで知られているの。
フランクフルトで主要の3つのクラブ、Robert Johnson, Cocoon, Monza はとても良いサウンドシステムがあるわね。世界中のたくさんのDJが一番好きなクラブに Robert Johnson の名前をあげているわ。その他には Merkwrdiges Verhalten, Love Family Park, Green and Blue などのいいフェスティバルもいくつかあるのよ。でもベルリンのようにいつでもどこかでパーティーがあって毎日遊びに行けるっていうようなことはないわね。
--Freebase Records といえば、Groove マガジンでもあなたや Federico Molinari, Nekes, Johnny D などが、とても家族的な雰囲気で載っていました。Freebase とはどんなレコードショップでしょうか?
Vera : Freebase はとても品揃えがよくて、私もほとんどそこでレコードを買っているわ。レコードを買う以外には交流の場となっていて、フランクフルトのDJたちや、世界中のDJたちもフランクフルトにいる時はそこにいるわね。だからレコードを買いに行くといつも誰かに会う感じよ。とてもお客さんに親切でたくさん良いレコードを紹介してもらえるし、恥ずかしい気持ちになることなく何でも聞きたいことが聞けるわ。
--次にDJについてお聞きしたいと思います。あなたがDJする際、最も重要視している要素は何ですか?
Vera : 私にとって一番重要なことは良いサウンドシステムがあること。というのはそれでレコードを作った時の本来の音を再現できるということで、もうひとつは私のDJセットの中でどの方向に向かっても着いてくるオープンマインドな良いクラウドを持つことね。
--今まで最もクラブでプレイしたベスト5と家でのベスト5を教えてください。
Vera :
クラブで :
Melchior Productions - let's go deep
Maurizio - M5 - M5
Losoul - Open Door - playhouse
Stephan G & the Persuader - Kaos - svek
Derrick Carter - dreaming EP - classic
G-Man - Sparticus - swim
家で :
David Sylvian - secrets of the beehieve
The Cure - seventeen seconds
The KLF - chill out
Bryan Ferry - boys and girls
Johann Pachelbel - Canon & Gigue
--ではここ最近で注目しているアーティストはいますか?
Vera : 今は Tobias. と Cassy がやることすべてに注目してるわ。他には Agnes, Miss Fitz, Sascha Dive, Damian Schwartz, Move-D, mountainpeople, Rozzo/Peter Dildo, Reboot, そして Oslo のみんなが私のお気に入り。 Martinez とDJ W!ld もいいわね。
--最近ではあなたの楽曲を聴けるタイミングも増えてきました。あなたの楽曲にはフランクフルトから発信される新しいハウスサウンドの要素とともに、オールドスクールなハウスサウンドの要素を強く感じます。楽曲を作る上で、過去影響を受けた音楽を意識したりしますか?
Vera : そうね、私が’90年代のハウスとテクノに影響されているというのは私の音楽からわかると思うわ、でもそこにはもっと他の影響もあって聴くすべての物が作る音楽に影響すると思うの。それはグルー ヴであったり、雰囲気であったり、音や感性であったり…何かからの影響を感じたとしても、それがコピーでなければいいんじゃないかと思うわ。いろんな物に影響をうけた中で独自の音とグルーヴを見つけ出すことが大事ではないかしら。
--また、あなたは Federico Molinari との共作、Miss Fitz とのユニット Mara Trax というようにコラボレーションでのリリースも行っています。コラボレーション時の作曲プロセスや分担を教えてください。
Vera : まず、コラボレーションをちゃんとした形でやっているのは Miss Fitz とのもので Federico Molinari とは何度か一緒に音楽を作っただけよ。その後は一緒に音楽を作る時間がなくて…。コラボレーションでの私の役割は自分で作る時とまったく変わらないもので全部を二人で一緒に作り上げて行くの。 ジャムセッションのようなものでビートやベースラインを作ったりパーカッションやヴォーカルを入れたりね。それから一緒にそれをアレンジしていくのよ。そこにはいつも4つの耳と2つのマインド、そして2つのハートが関わってくるわ。
--あなたの作曲環境を教えてください。
Vera : 古い Roland808 ドラムマシーンと古い Vermona ドラムシンセサイザー、ベースラインに Studio Electronics SE-1 シンセサイザー、Jomox M-Base とそれにブルーの Korg Electribe EMX を使っているわ。それ以外にパーカッションやヴォーカルなどのプラグインもたまに使っているわね。
--先月、あなたは Robert Johnson で不思議な誕生日パーティーを開いたと聞きました。パーティーへ行くお客さんは、事前に指定された留守番電話から流れる 「音楽とは・・・?」 という質問に思い思いの答えをメッセージとして録音しておき、それを当日の出演者であるあなた、Zip、Bruno Pronsato がプレイするというパーティーです。なぜこのようなパーティーを開き、またパーティーはいかがでしたか?毎年あなたの誕生日パーティーには色んなアイデアを凝らすのでしょうか?
Vera : パーティーは大成功だったわ。みんなアイディアを気に入ってくれてたくさんの声がもらえたの。凝ったビジュアルも完璧でパートナーの Patrick Raddatz と美大生たちにはとても感謝してるわ。過去3年にわたって誕生日パーティーにはなにか特別なことをしようといろいろ試してるの。どうしてそんなことをしようと思ったかというと、パーティーの準備段階からみんなに関わってもらって、もっとパーティーを楽しんでほしいと思ったから。
その頃どのパーティーもマンネリ化して何かを作り上げるというよりは音楽、アルコール、ドラッグなどの消費の場になってしまっていると感じていたし、参加することによって自分達でパーティーを作り上げている、というのをクラバー達が実際目に見える結果を出すことに挑戦してみようと思ったの。初めてのパーティーではみんなに全身一色のコーディネートで来てカラフルなダンスフロアを作ってもらい、2回目はバスストップという’80年代のダンスステップをみんなに覚えてもらってみんなで同時に踊る(パーティー中にサイレンが鳴ると全員がバスストップを踊る)というのを企画したわ。
みんなで同じように踊りたかったの。家でステップの練習をできるように何人かの友達と教則ビデオも作ったのよ。私の Myspace Video のページでそのビデオが見れるわ。
http://vids.myspace.com/index.cfm?fuseaction=vids.individual&VideoID=26771526
--日本人で気になるアーティストはいますか?
Vera : 坂本龍一が好きよ。でも残念ながらまだそんなに日本の音楽は知らないから日本に行った時にいろいろ知れたらいいなと思ってるわ。
--初の日本ギグを楽しみにしている日本のファンも多いです。なにかメッセージをください。
Vera : "Let's go deep!"
End of the interview
CABARET
2009年3月27日 (Fri) @ UNIT _ 23:30〜
Door : Y3,500 _ w/f : Y3,000 _ Adv : Y3,000
【UNIT】
Guest DJ : Vera (Oslo, Mara Trax, cargo edition/Frankfurt)
DJ : Yone-ko (Runch), So Inagawa (Telegraph, nrk, minimood), Masda (Coupe)
VJ : Sakota Haruka
【SALOON】
DJ : Sackrai (Archipel, nrk, minimood), Keisuke Kondo (Frankie rec., 9 Volt), Kon
Sin (Tree River), Suganuma (Microsurf)
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