HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

layo

3年前の The Labyrinth にて初来日して以来、そのDJプレイという音楽の表現法を極めたスキルの高さに一気に多数の中毒者を生み、一昨年の The Labyrinth には大トリとして登場、昨年の出演を経てとうとう今年4度目のThe Labyrinth 出演となる Three。ここ日本での反響が世界に届いたかのようにここ2〜3年で一気に有名レーベル複数からリリースを重ねており、彼が真の実力者であることの確かな証明となっている。ThreeがA&Rを務め、かつて有名USトランスレーベルとして認知されていた Hallucination Limitedも今年デジタルレーベルとして復活、新しい動きを見せている中、Threeの快進撃は止まらない。

今回は人気の盛り上がりとは裏腹にメディア露出の少ない彼に、来日前のエクスクルーシブ・インタビューを敢行。彼自身のバックグラウンドや音楽観、そして The Labyrinth への想いを語ってくれた。

Interview : Yuki Murai (HigherFrequency) , Miki
Introduction : Yuki Murai (HigherFrequency)
Translation : Terumi Tsuji
Special Thanks : Mindgames

triangle

HRFQ : まず、あなたの印象的なDJネームの由来を教えていただけますか? 何故 Two でも Four でもなく Three なのでしょうか?

Three : DJネームを決める時に、色んなトラックメーカーやリミキサー、DJ、音楽家、それに楽器の名前を参考にしてみたけど(Flood, Mantronix, Derrick "Mayday" Ma, Baby Ford, The Edge、ドラムマシーンの Dr.Avalanche とかね)残念ながらどれもピンとこなくってさ。そんな時、数に特別な思い入れを持ってる人が多いってことに気がついたんだ。ただ僕にとってスペシャルな数は特になかったから、その中でも一番好きな "3=Three" を選んだのさ。なぜ"3"が好きかは、ご想像にお任せするよ。あまり面白いエピソードじゃなくてゴメンね。

HRFQ : あなたの音楽的バックグラウンドを、またDJとして活動するようになったいきさつを教えてください。

Three : 父も母も音楽好きだったから、小さい頃からとても恵まれた音楽環境で育ったんだ。家には最高のステレオセット、莫大な音楽コレクション、それに小さなグランドピアノまであったよ。そういったこともあって小さな頃から、音楽が中心の生活を送ってたんだ。中学2年までクラリネットを習ってたし、ピアノもちょっとだけ練習してたよ。だから楽譜を読んだり、楽譜通りに演奏することは出来ないけど、頭に浮かんだ音を奏でることは出来るよ。初期ヒップホップ・カルチャーとローラースケート場のDJに影響を受けてDJを始めたんだ。今考えれば、ローラースケート場でDJが掛けてた音が、ダンスミュージックとの出会いだったかもしれない。ローラースケート場に行くたびに好奇心を掻き立てられ、ワクワクしたものさ。それからローラースケート場以外のDJにも興味を持つようになって、自分でもDJをしてみたいと思うようになったんだ。そして気がつけばダンスミュージックの虜になってたよ。'90年代の始めには、フロリダからわざわざ飛行機でニューヨークの Sound Factory まで遊びに行ってたものさ。それ位いつも音楽に夢中なんだ。

HRFQ : 私の個人的な印象ですが、あなたのMixは、Psychedelic、Hypnotic という表現がとても似合う点が他のDJとは一線を画しているように感じます。ご自身ではどう思われていますか?

Three : 音楽や映画などのアートを心から楽しむためには、知識や固定観念に捕われないということが大切さ。音やイマジネーションに身を任せて、ありのままを受け入れるということが肝心なんだ。音を通じて自分自身が感じたことや、受け取ったメッセージを信じればいいのさ。僕の音を Psychedelic (幻覚的)、Hypnotic (催眠的)と感じてもらえるのは凄く光栄だよ。ありがとう。

HRFQ : オンラインを探してもあなたのMix音源は他のDJと比較してあまり出回ってないように思えます。あなたは録音を好んでいないのでしょうか? あなたの熱狂的ファンからは、もっとUPしてほしいという声を多く聞いているのですが…(笑)

Three : 最高のパーティーを録音しても、必ずしもその良さが伝わる訳じゃないってことが最近分かったんだ。オーディエンス、音楽、フロアのバイブのすべてがうまく合わさって化学反応を起こした時に、初めて素晴らしいパーティーが出来上がるんだと思う。プレイしてる時はイマイチだなと思ってたセットを後で聞き返してみたら、凄く良かったってこともあるしね。だから出来る限りの音源を公開するようにはしてるよ。とはいえ、「知る人ぞ知る」的なミステリアスな考え方も好きなんだ。言い換えれば、本当の良さを知るには、現場に足を運ぶべきだって思うしね。それに今や、インターネット上でランダムに聞いたMixでDJの善し悪しを決めてしまう人が多すぎるんだ。だから今年はいつもにも増して、Mixをインターネット上にアップしてないんだ。ただクリスマスまでにはいくつか公開するつもりだよ。もっと沢山の人に僕のMixを聞いてほしいしね。今回インタビューをしてくれたお礼に、サイトにアップできるMixをいくつかプレゼントしようか?

HRFQ : オフの日にはどんな音楽を聞いてますか?また、音楽以外でオフの日に楽しんでいることは何ですか?

Three : 写真を撮ることも大好きだよ。小さなころからカメラで遊んでたこともあって、音楽同様カメラも生活の一部になってるね。オフの時には Rolling Stones や The Beatles と言ったクラシック・ロックや、TOnes On Tail、Killing Joke、The Clash、The Modern Lovers などのオルタナティブ・ミュージックを聴くことが多いかな。Kraftwerk、Skinny Puppy、Coil といった初期エレクトロニック・サウンドも好きだよ。あとは4ADレーベルとかね。同じ物ばかり聴き続ける時があるんだ。Brian Eno の曲ばっかり聴いたり、Talking Heads に夢中になってる時もあるよ。彼らのアルバム "Fear of Music" は何週間も聴き続けてたな。昔のエレクトロニックミュージックのmix方法だったり、楽器の使われ方に共感を受けることが多いんだ。

HRFQ : 共感をおぼえるDJ、アーティストはいますか?いたら、それは誰ですか?

Three : まず思いつくのは、Wolf & Lamb レーベルの Gadi Mizrahi、Reverse Commuter それに Seth Troxler だね。彼らの音楽はとてもエキサイティングなんだ。Doc Martin や Derrik May のように常に進化し続けているDJからもインスピレーションを受けてるよ。あと Lee Burridge のプレイはいつ聴いても新鮮だね。他にも共感を覚えるアーティストは沢山いるけど、今日はこの辺で止めておくよ。

HRFQ : 今年4月にレーベル Hallucination Limited を再開されましたね。デジタルリリースのレーベルとしての再開ということですが、どのような経緯で決断されたのでしょうか?

Three : 一度スタートしたものを終わりにしたくなかったんだ。リリース予定のトラックにはとっても満足してるし、これからの12ヶ月が凄く楽しみだよ。

HRFQ : Hallucination Limited の今後の予定について教えていただけますか?

Three : 以前にリリースした作品で、まだデジタルリリースしていないタイトルが沢山あるので、まずはそれをリリースするよ。他にも Wolf & Lamb の Gadi Mizrahi、Business Class の Seth Troxler & Inexec, Crazy Larry, Pier Bucci, Grumptronix, Terry Francis, Sycophant Slags (Mr C and Adulnapper)のEPやリミックス、それに Kenneth James Gibson aka Apendis Shuffle の別名儀 Reverse Commuter のアルバムのリリースを予定してるんだ。後は昔のトラックを使ったデジタル・リリース・オンリーのMixもいくつか出す予定さ。

HRFQ : これまでの来日ギグはすべて Labyrinth のオーガナイズによるイベントでしたね。あなたから見た Labyrinth の印象を教えてください。また、Labyrinth 以外…例えば地方のプロモーターからあなたを呼びたいというようなオファーがあったら、受けていただけますか?

Three : 初めて Labyrinth でプレイした時のことは今でも鮮明に覚えてるよ。Labyrinth での初プレイは、日本での初プレイだったんだけど、Labyrinth クルーと Labyrinth のオーディエンスと出逢ったことは、僕のDJキャリアに多大な影響を与えてくれたんだ。Labyrinth の素晴らしさを語りだしたらキリがないくらいさ。初 Labyrinth だったにも関わらず、その後の Unit での Exit The Labyrinth でもDJする機会をもらったんだ。それ以来 Unit は僕のフェイバリットの一つさ。2回目の Labyrinth ではフェスのトリという大役を任されて、また同じ年に Unit での Exit The Labyrinth でもプレイさせてもらったよ。Labyrinth に3年連続で呼んでもらった時はとっても驚いたよ。そして今年で4回目の Labyrinth なんだ。今回は活動の幅を少し広げて、Labyrinth の翌週に沖縄でプレイすることになったんだ。だから僕に興味を持ってくれてるオーガナイザーやパーティーがいれば、いつでもオファーしてほしい。とはいえ、Labyrinth クルーは僕に取って家族みたいなものだから、他のオーガナイザーからオファーが来た時にも必ず彼らに報告するようにしてるんだ。

HRFQ : 世界各地でたくさんギグを行なっていると思いますが、ここ数年で、特に印象的だったパーティーを教えてください。

Three : 間違いなく、Labryinth そして東京の Unit でのギグだね。ベルリンの Panorama Bar や Club Dervisionaire でのパーティーも想像してた通り、いいものになったよ。'00年後半のサンフランシスコのシーンもいい感じだね。Zen Compound/Temple でのイベントや、Pacific Sound/Sunset クルーのオーガナイズするパーティーはどれもお勧めさ。フロリダで僕がオーガナイズする Snatch Night も特別な物だね。ロンドンの Fabric や T-Bar でプレイするのはいつも楽しいよ。オーストラリアもスペシャルな場所だね、特に Rainbow Serphent Festival は最高だよ。

HRFQ : あなたの地元のダンス・ミュージック・シーン(ニューヨークですよね?)についてはどう思われれますか?最近はどんな感じなのでしょうか。

Three : とっても健全だよ。ただいわゆる普通のクラブよりも、一晩限りのウェアハウスパーティーのようなイベントの方が今は人気かな。シーンが分裂してしまってるこの状況は正直あまり良いとは思わないけど、ニューヨークのクラブシーンはとっても元気があるよ。ニューヨーク出身のアーティストで言えば、DFA や Rub N Tugなんかはこの10年凄く活躍してると思う。良いテクノアーティストもドンドン出て来ていて、Resolute、Black Market 辺りが最近とても頑張ってるね。あとブルックリンをベースにした Wolf & Lamb は要チェックだね。若いアーティスト集団なんだけど、彼らはトラックメイキング以外にも、レーベルを立ち上げたり、パーティーをオーガナイズしたり様々な活動をしていて、NYCのミュージックシーンにとっても貢献してくれてるよ。

HRFQ : 昨年の Labyrinth でのあなたのセットは、シンプルに「踊ることの喜び」を再発見させてくれる、素晴らしい体験でした。今年もとても楽しみにしています。私と同じようなパーティー・フリークに一言メッセージを下さい。

Three : いつも応援してくれてありがとう。日本の人も日本の文化も大好きなんだ。また Labyrinth のダンスフロアでみんなと素晴らしい時間を共有出来るのが待ち遠しいよ。

End of the interview


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