HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Francisco Allendes

近年の Kompakt が推し進めるポップ的・ロック的なテクノの中でもひと際目立つ、生楽器感を前面に押し出しつつエレクトロニック的なセンスを併せ持つ楽曲群で、ここ日本でもデビューアルバムがロック系リスナーをも巻き込んだクロスオーバー・ヒットとなった The Field。セカンドアルバム "Yesterday and Today" も好評を博す中、待望の初来日ジャパンツアーが行われた。HigherFrequencyではツアー初日となるUNITでのギグ直前のあわただしい中、貴重な時間をいただきインタビューを決行。今回はバンドでのセットということで、バンドメンバーの2人も合わせ、3人そろってのインタビューに気さくな雰囲気で応じてくれた(繊細な楽曲の印象からは少々意外な、一見いかにもバンドマンらしいタフな風貌には一瞬驚いてしまったのだが…)。

The Field こと Axel Willner とベースの Dan はギグの一週間ほど前から東京に滞在しており、あちこちに出かけて街の散策を楽しんでいた模様。Dan は今回のギグ用に東京でベースを買ったそうで、いわく 「持ってくるよりも買うほうが安いからね」。ちなみに Axel にも何か買い物をしたか聞いたが 「自分は見る専門!」 とのこと。また、2人に遅れ前日に合流したドラムの Jesper が日本について率先して発言しようとするや否や、すぐに2人から 「お前は昨日来たばかりだろ!」 と素早い突っ込みが入ったり…。こんな会話からもよく息が合っている様子が伝わってきた。

Interview : Midori Hayakawa (HigherFrequency), Yuki Murai (HigherFrequency)
Introduction & Translation : Yuki Murai (HigherFrequency)
Thanks : root & branch

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HigherFrequency (HRFQ) : まず、The Field という名前の由来は?

The Field : まずこの言葉の響きが好きだっていうのと…ええと…そうだな、単にいい響きだからつけたんだ(笑)。

HRFQ : 音楽的なバックグラウンドを教えてください。

The Field : 10代前半くらいから音楽活動を始めたんだ。パンク・バンドでギターを弾いて、それ以来ずっとギターを弾いているよ。その後いろんなエレクトロニック・ミュージックに出会ったんだけど、Daft Punk を聴いて、自分でもすごくエレクトロニック・ミュージックを作りたくなったんだ。

HRFQ : Kompakt からリリースすることになった経緯を教えてください。

The Field : 彼らにEメールを送ったんだ。Kompakt が大好きだったし、特にレーベルオーナーの Wolfgang Voigt のファンだったからね。そうしたら向こうからリリースしないかって連絡が来て、Kompakt との関係がスタートしたんだ。

HRFQ : それはラッキーでしたね!

The Field : ああ、本当にラッキーだったと思うよ。

HRFQ : ギターをはじめとした生楽器を楽曲の中でたくさん使ってらっしゃいますが、サンプリングはどのように行っているんですか?

The Field : 各楽器を直接録音して、音をすごく小さな単位まで切り出すんだ。それをさらにアレンジする。そうやることで、完全にオリジナルな音、色んな種類の音ができるからね。

HRFQ : 今言ってらしたような音作りの過程では、やはり何かソフトウェアを使っているのでしょうか?

The Field : うん、Buzz っていうすごく古いプログラムを使ってるよ。技術的に何か優れてるってわけでもないんだけど、僕には合ってるんだ。

HRFQ : その他の楽器はどんなものを使っていますか?

The Field : ギター数本とベース、ドラムにキーボード、それにもちろんシンセサイザーも使ってるな。

HRFQ : あなたの楽曲は、非常にビジュアルな印象に訴えかけてくるように感じます。たとえば光、風、風景などといったイメージですが、ご自身でもそれを意識して楽曲を作っていることはありますか?

The Field : うーん、特にそういうことはないかな。聞き手側がそれぞれ自分のイメージを持ってくれればいいと思うんだ。

HRFQ : "Yesterday and Today" の中でカバーされている 'Everybody's Got to Learn Sometimes' は Korgis のカバーですよね。実は以前にあるインタビューで見たのですが、そこではあなたの好きな映画として "Eternal Sunshine of the Spotless Mind" の名前が挙げられていました。そちらの映画内では Beck がカバーしたバージョンの当曲が使われていましたが、やはり "Eternal Sunshine of the Spotless Mind" に何らかインスパイアされてこの楽曲をカバーしたんですか?

The Field : その映画は実際に好きだし、Beck がカバーしたバージョンももちろん好きさ。だけど(今回のカバーは)映画にインスパイアされたわけではなくて、オリジナルの Korgis の曲のほうだね。アルバムのレコーディングをしていた時、夕食を食べてた時にたまたまその曲の話になって、それであのカヴァーができたんだ。

HRFQ : もし前作のアルバム "From Here We Go To Sublime"、今作のアルバム "Yesterday and Today" のそれぞれのテーマなどがありましたら教えてください。

The Field : 特にこれといったテーマはないんだけど…。前作は既に作ってあった古い曲だったし、いろんなサンプリングの集大成といった感じだったけど、今回は次のレベルを目指して生楽器をたくさん使うことにしたんだ。"From Here We Go To Sublime" は、殆どコンピューターの中で作ったものだったから、"Yesterday and Today" は生楽器をより多く使うことを重視してみたよ。それがテーマといえるかもしれないね。

HRFQ : あなたの拠点、ストックホルムのエレクトロニック・ミュージックのシーンは今どのような感じですか?

The Field : なかなかいい感じだね。(バンドメンバーに同意を求めながら)そうだよな? 実は僕はベルリンに引っ越してしまって、今はストックホルムにはいないんだよね。だけど、まだストックホルムのシーンはいい感じだと思うよ。

Dan : ストックホルムにはもう一つ大きい音楽シーンがあるんだけど、ほとんどが他から集まってきたバンド達で構成されてるんだ。

Jesper : スウェーデンの他の2都市には、よりギター寄りの、ダークな感じのバンドのシーンがあるからね。だから実は本当の意味での『ストックホルムのバンド』っていうのはあまりいないんだ。

HRFQ : なるほど、興味深いお話をありがとうございます。 次の質問ですが、エレクトロニック・ミュージックやそのほかのジャンルに、注目しているアーティストはいますか?

The Field : もちろんたくさんいるよ!まず、僕の大好きなアーティストは Ashra の Manuel Gottsching。60年代後半のドイツの音楽全般が好きだな。そのあたりの音楽が今でも一番大好きなんだ。

HRFQ : Battles のリミックスもされていますが、彼らとはどのように知り合ったんですか?

The Field : Battles とはブラジルで共演したんだ。それから仲良くなって、Battles のドラムの John Stanier から曲のリミックスをやってくれないかって言われたんだ。もちろん僕もやりたかったしね。

HRFQ : 特に前作のアルバムに多かったのですが、女性の声が入ったトラックが印象的です。その意図は?

The Field : 音楽自体はインストだから、声を楽器と同じように扱うのが好きなんだ。あと、以前トラック製作用に女性ヴォーカリストの声をサンプリングさせてもらったからね。

HRFQ : なぜ男性ヴォーカルではなく女性なのでしょうか?

The Field : うーん…そっちのほうが響きが良いから、かな(笑)。

HRFQ : MySpace でツアースケジュールを拝見させていただきましたが、かなりタイトですね。ツアー中に健康のために心がけていることはありますか?たとえば、食事ですとか、スポーツですとか…。

The Field : スポーツはないな…(一同笑)。スケジュールはたしかに結構タイトだけど、特に何もしてないよ。ただ、落ち着いて、自分らしくしてることかな。

HRFQ : 今回のツアーがひと段落したら、何をしたいと考えていますか?

The Field : 実はもうすぐ父親になるんだ。だから来年はちょっと、普通にゆっくりしようと思ってるよ。

HRFQ : 日ごろ、リラックスするためにはどういったことをしていますか?

The Field : 料理したり、彼女と一緒に過ごしたりという感じだね。

HRFQ : OFFの日にはどんな風に過ごしていますか?

The Field : ベルリンには最近引っ越してきたし、あちこち見て回るのが楽しいね。いろいろ新しい発見があるから、なるべく街に出るようにしてるんだ。それに歴史の深い街でもあるから、見るべきものがたくさんあるよ。

HRFQ : あなたがこれまでにライブで行った様々な国のフェスやクラブで、特に印象に残っているのは?

The Field : 本当にいろいろなことがあるからなぁ…だから、たまに悪いこともあるんだ。(バンドメンバーを見ながら) 例の話ってしてもいいかな? 酷い話なんだけど、以前、アメリカでのツアーの時に入国拒否されたんだ。それで西海岸を一周するツアーを全部キャンセルする羽目になった。さらに、ドラムセットからラップトップまで全部置いていかなければいけなくて…だから未だに入国審査の時はちょっと怖いんだ。アメリカの入国審査は特にひどいからな。

HRFQ : それでは最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

The Field : まず、僕らを日本に呼んでくれてありがとう。すごく光栄に思ってるよ。 東京は皆、落ち着いていて、ゆったりしてて…だから、メッセージは 「KEEP ON (そのままで)!」 だね。

Dan : アメリカに追従しすぎないでね。

Jesper : 日本人のままでいてほしいね。STAY JAPANESE !

全員 : 「STAY JAPANESE !」 これっていい言葉だろ?

End of the interview





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