ワールドワイドで絶大な人気を誇るドイツ・ケルンのレーベル Kompakt の総帥 Michael Mayer とレーベルを代表する看板アーティストの一人である Superpitcher による Supermayer。驚きをもって迎えられたアルバム ”Save the world” では多彩な音楽的要素を内包した極彩色の楽曲群でたちまち全世界の話題をかっさらったのは記憶にあたらしいところ。先日、人気テクノイベント CYCLONE で来日公演をおこなった彼らへのインタビューを入手することができたので読者の皆様にお伝えしたい。彼らならではのユーモアを持った語り口で日本に対する印象や、ドイツのこと、Kompakt の成り立ちなど貴重な話を聞かせてくれている。
Interview : DJ MIKU Translation : Yamamoto Lieko Photographer : Mitsutome Kazufumi
Miku: 今回のツアーはシンガポールから始まって日本に来たんでしょ?この後は?
Superpitcher : 今回はアジア・オーストラリアツアーで、シンガポール、東京、その後は、オーストラリアのメルボ ルン、シドニー、ブリスベンをまわるんだ。
Michael Mayer : もっと正確に言うと、昨日の夜にシンガポールでDJをして酔っ払ったあと、そのまま空港へ直行して、飛行機の中で酔っ払って、日本に夕方について、ご飯を食べながら少し飲んで、そのあとホテルで1時間だけ休んで、車でここに来たんだ。
Miku: 日本は何回目だっけ?アクセル(Superpitcher)は4年前にも CYCLONE でDJやってもらったけど。
Superpitcher : 今回で5回目くらいかな? 前に来たときは、宮崎駿ミュージアムにいったよ。
Michael Mayer : 1999年に初めて来日してから毎年来ているので、9回目だね。
Miku: 日本はいろんなものがありすぎて住んでると気がつかないとこもあるんだけど、どういうとこが好き?
Michael Mayer : たくさんありすぎるね。でも日本では、いつ来てもいい思い出しかないよ。とても、楽しみにしてたんだ。
Superpitcher : 僕たちは日本が大好きなんだ。人や、ファッションや、アニメや、あと、もちろん女の子も。
Miku: ツアーが終わったらまた何かあるの?
Superpitcher : 夏には、トルコ、ロシアで、ツアーがあるんだ。
Michael Mayer : あとは、作曲や、remix が山ほど。
Superpitcher : 僕たちは、仕事中毒なんだ。スタジオに行って、仲間たちと曲を作ったり、remix したりしていないといけないんだよ。
Miku: そういえば、去年リリースされた Supermayer のアルバム聴いたんだけど、今までの作風と違って、よりポップでいろいろチャレンジしているように思えたけど、俺自身もポップ寄りのレーベルもやっててこのアルバムはいい参考になったよ。
Superpitcher : 去年、日本に来た時 BREMEN のコージロー達と食事した時いろいろ話したよ。彼らが MIKU のレーベルだとは知らなかったけどね。
Michael Mayer : Supermayer に関しては、なるべく幅広さを持たせて、できるだけ多くの人に楽しんでもらえるように創ったつもりなんだ。
Superpitcher : みんなそれぞれ違う趣味を持っているからね。少しずつでも、なるべく多くの人にアプローチして楽しんでもらえるようにね。
Miku: 今年の1月に、ドイツでは十数年ぶりにケルンで Platzhirsch と Nummer のパーティーで、DJをしてきたんだけど、雰囲気とか変わらないなと思ったよ。アンダーグラウンド感というか、好きな奴らだけが本当に楽しんでいる所が特にね。東京はテクノとかのクラブシーンは一般化されて、ネットとかでも情報が簡単に入るようになった分いろんな人が混在してて、だいぶ様子は変わったよ。いろいろ細分化もあったしね。それは、それだけ広がったという事で悪い事ではないけど、あのころの熱気も捨てがたいものがあるからね。その熱気みたいなのがずっと続いているように思えたけど、実際の所はどうなの?まあパーティーによっても違うだろうけど。
Michael Mayer : ドイツも同じような感じだと思うんだけど(苦笑)
Superpitcher : テクノをメインでかけてる大箱は、もう2つだけだし、それぞれ好みの違う客が大勢いるわけだから、なるべく幅広い選曲を心がけて、できる限り一体感が出せるようにはしているよ。
Michael Mayer: クラブだけでなく、ファッションショーや、家具やアートなどの大きなフェア、ギャラリーなんかでDJするときもあるし。そんなときは、早い時間はヒップホップなんかがかかったりすることがあるんだよ。(笑)
Miku: そうなんだ(笑)。でも十数年前といえば、Harthouse、Superstition、Tresorなんかのレーベルが日本のテクノシーンに凄く影響を与えてた時期だったけど、2000年前後くらいからは、kompakt が間違いなく日本のDJ達にも大きな影響をもたらしたレーベルのひとつになっていったと思うよ。せっかくだから kompakt の事話してくれる? Wikipedia とかでもあんまり詳しく書かれてないよ(笑)。
Michael Mayer : OK。 kompakt は、15年ほど前に4人の友達とレコードを売ったり、アーティストをブッキングしたりしたのが始まりなんだ。90年代前半のディストリビューターたちがよくなかったので、自分たちでやり始めたって感じだね。それが広がっていって、ディストリビューション、マネージャー、ショップ、アーティストと契約したり、ブッキングしたりして、今は、プロモーションビデオ、アニメや、アクセサリー、フィギュアなんかも作ったりしてる。今、世界に、1000人近い従業員がいる大きなファミリービジネス企業だね。みんな歳も近いし。でも、コアなメンバーは4人くらいかな。
Superpitcher : 大事なのは、kompakt は、あくまでも、アーティストの、アーティストの為のレーベルで、お金儲けのためにやっているわけじゃないんだよ。Super Euro というアイディアを見ることができる開かれた新しいドアのようなもので、長年の夢だったんだ。できるだけ多くの人に楽しみながらアプローチするようにしているよ。 (笑)
Michael Mayer : 僕たちは まだストーリーを作り始めたばかりで、音楽だけでなく、ファッション、アート、コミックとかもやり始めたしね。
Superpitcher : 音楽に加えて、パペット・ムービー、ビデオクリップ、新しいキャラクターなんかも次の曲のために作ってるよ。
Miku: すごい規模でやってるんだね。あっ。俺そろそろDJやんなきゃなんないから、なんか皆にメッセージちょうだい。
Superpitcher : いつまでも、キュートに、クレイジーに、花のように踊り続けてね。
Michael Mayer : ウィークエンドにはクラブにいって、レコードを買うのをやめないでね!(笑)
End of the interview
関連記事
関連リンク