HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Sub Space & Elektrable Interview


10月に渋谷 WOMB で行われた テクノ界のカリスマ Jeff Mills によるレジデント・イベント "Contact Special" 。未知との遭遇をテーマに、3週に渡って開催されたこのコンセプチュアルなパーティーも、Axis のサブレーベルであるMission 6277 レーベルの新人アーティスト、チェコの Elektrabel とフランスの Sub Space を最終ゲストに迎え、フィナーレの時を迎えようとしていた。

そんなダンス・ミュージック史に大きく刻まれるであろう出来事を前に、HigherFrequency は、レーベルの長である Jeff Mills の血をダイレクトに継承する彼ら - Elektrabel こと Tomas Hartl、Gonzague そして Julien からなる Sub Space に接触。パーティーに参加する感想、バック・グラウンド、Jeff との交流開始のきっかけなどについて話してもらった。

> Interview : Nick Lawrence (HigherFrequency) _ Translation & Introduction : Kei Tajima (HigherFrequency)

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HigherFrequency (HRFQ) : 皆さん日本は今回が始めてですか?

全員 : そうだよ。

HRFQ : いかがですか?

Gonzague (Sub Space) : クレイジーだね。

Julien (Sub Space) : 信じられないくらいクレイジーだね。

HRFQ : 日本の読者のためにも、あなた方の音楽的なバック・グラウンドをお伺いしてもいいですか?

Tomas Hartl (Elektrabel) : ヒップ・ホップから始まって、ファンクを聴くようになった。それから '90年代初頭に流行った Technotronic や Snap! みたいなアーティストを通って、ゴシック系のレイブや、オランダのレイブ・カルチャー、ハードコア・ガバを経験して、遂に Surgeon や Jeff Mills といったテクノ・サウンドにたどり着いたんだ。テクノとの出会いは僕の考えを大きく変えてしまってね。今のような音楽をつくるようになったんだ。

Julien : ブラック・ミュージック全般。ファンキーなものから、R&B、ブルース、レゲエ、そして Public Enemy やフランスの Supreme NTM といったヒップ・ホップのアーティストも少し聴いたね。エレクトロニック・ミュージックでは、Jungle Brothers や Technotronic みたいなアーティストを聴いてたよ。

Gonzague : 始めはね。20世紀の古き良きブラック・ミュージック全般かな。

HRFQ : アメリカとフランスのどちらのものが中心でしたか?

Julien : アメリカだね。

Gonzague : フランスのバンドも少しは聴いたけどね。

Julien : ファンキーな音楽に関してはあまりないよね…。一人 Cerrone っていう有名な人がいるんだけど、知ってるかな?ディスコっぽい音なんだ。でも、僕たちにとって一番重要な人物は…。

Gonzague : Stevie Wonder.

Julien : そう。でも残念ながらフランスには Stevie Wonder や George Clinton もいないんだ。

Sub Space & Elektrabel Interview

HRFQ : Jeff Mills との関係はどのように始まったのですか?

Tomas : これは面白い話なんだけど、Jeff が 6277 のコンペを主宰してね。自分の音楽を他人に理解してもらえなかったり、リリースさせてもらえなかったりして困っている人を募集したんだ。それで音を送ったんだけど、ミラクルが起こったのか、Jeff に選ばれて、レーベルからその作品がリリースされたのさ。それからシングルを3枚とアルバムを Axis からリリースしていて、そのおかげでヨーロッパのテクノ・シーンで認知されるようになったんだ。

Julien : 僕たちの場合は少し違うんだ。Jeff には音楽的にすごく影響を受けてね。今はパリに住んでるけど、もともとはリヨンというフランスの真ん中にある町から来たんだ。'96年から'97年にかけて、Jeff がそこで一年に2〜3回プレイしたことがあってね。それまで僕たちはトランスからハッピー・ハウスまでなんでもプレイしていたんだけど、彼のギグを観た後、全てが変わったんだ。新しい道を見つけたって感じだったよ。すぐには分からなかったけど、実際、Jeff は僕たちの未来へ導いてくれた。Jeff のギグを初めて観た時は、それこそ「ワオ!」って感じだったね。

Gonzague : 他の経験は全く違うものだったね。

Julien : そう。'96年のギグを機に、DJの面でも作曲の面でも Jeff は僕たちのお手本になったんだ。このレーベルでリリースする前にも、実はリリースの経験はあって…フランスに小さいレーベルを持ってるんだ。6277 とは違って、伝統的なテクノ・スタイルなんだけど、今まで僕たちがリリースした作品を全部 Jeff に送ってね。'99年に初めて Jeff がギグで僕たちのトラックをプレイしてくれたんだ。すごく嬉しかったね。Jeff に対しては、すごく特別な気持ちを持っているんだ。彼は僕たちにとって、テクノ・ミュージックにおいて一番重要なお手本だからね。それで、今から2年前 - ちょうど彼が 6277 を始めたときに、僕たちはパリに移住したんだ。以前はもっと伝統的なテクノをやっていたんだけど、今はパリに移住して、スタジオもそこにあるんだ。Jeff が 6277 をスタートしたのは、僕たちにとっても音を変えて、違うことにチャレンジし始めるいい機会だったね。それからすぐ5〜6曲つくって、Jeff に送ったのさ。

Gonzague : そうしたら Jeff が電話をくれたんだ。

Julien : ちょうどクリスマスの10日前くらいだったね。

HRFQ : このようにコンセプチュアルなパーティーで彼と一緒にプレイすることに対してはどのように感じられますか?

Julien : 新しいスタイルだよね。以前までは…。

Gonzague : クラシック・テクノのパーティーとかレイヴでプレイしてたからね。今回のパーティーでプレイする音楽はもう少し精神的で内面的なものなんだ。両方のスタイルが好きだけど、Jeff と一緒に取り組んでるコンセプチュアルな音楽は特に素晴らしいよ。

Tomas : 今回のパーティーのコンセプトはすごくエキサイティングなものだと思うし、こういったしっかりとしたコンセプトと、アイデアがあるパーティーが実現するなんて素晴らしいと思う。こんな風にDJとクラウドが呼応し合うパーティーはあまりないと思うんだ。他にもこういったパーティーが多く出てくればいいのに。最近は音楽についても同じことを感じていて、お金目当ての音楽ばかりがリリースされて、気持ちが入ったものが少ないと感じてるんだ。

HRFQ : チェコではこういったパーティーは行われているのですか?

Tomas : もちろんあるよ。どこにでも素晴らしい音楽やDJ、プロデューサーが存在するし、もちろんその逆もあるものさ。

Sub Space & Elektrabel Interview

HRFQ : 今日の Contact Special では、私たちはどんなものを観て、「コンタクト」することができるのでしょうか?

Tomas : ギグを観てもらえばわかるはずだよ。音楽の話をするのは好きじゃないんだ。だって音楽は聴くものであって、話すものではないからね。今日は僕の日本初のギグで、お客さんは僕のギグを観たことがない人々ばかりだし、僕も彼らを知らない。だからここで話をするより、待った方がいいのさ。

Julien : 難しい質問だね。まず特別なのは音楽とライティングかな。ただ、結果として何が起こるかは言えないよ。Tomas と同じように、僕たちにも今日が日本で初めてのギグだし、Jeff のイベントでプレイするのも初めてなんだ。それに、Sub Space としてプレイするのも今日が初めてだしね。Mirage のパーティーではライブやDJをしてきたけど、Jeff のパーティーでプレイするのは今日が始めてなんだ。 Gonzague : どんなリアクションが得られるのか、すごく楽しみで待ちきれないよ。

HRFQ : ではもう少し答えやすい質問を。今後 6277 から予定されているリリースはありますか?

Julien : リリースしたいトラックは十分揃ってるよ。20〜22曲ぐらい揃っているんだけど、今までにリリースしたのはたった4曲なんだ。その他の16曲は全くリリースされてない状態なんだ。それが全部 6277 からリリースされるかは分からないけど、Jeff は絶対に気に入ってくれると思うよ。

HRFQ : アルバムとしてリリースされる可能性はありますか?

Julien : そうだね。進行しているプロジェクトはあるけど、それについては話せないんだ。でもたくさんあることは確かだよ。今は Sub Space を中心に活動していて、以前はいろいろなプロジェクトをやっていたけど、最近ではそれを全部やめて、Sub Space に集中しているんだ。Mirage から少しはリリースしていくけど、それだけ。将来は Jeff のレーベル用のプロジェクトに集中するんだ。今とは少し違った方向でね。今 Jeff はサウンドトラックっぽい音楽に取り掛かろうとしているみたいで、それもすごく面白そうだよ。

Tomas : 今年の4月にリリースされた作品が一枚あるんだけど、それがヨーロッパでヒットしたんだ。ただ、ヨーロッパ以外の場所では、もっと売れているみたいだけどね。今日 6277 から3枚目のシングルが今日のイベントのためにリリースされたところだよ。

HRFQ : 日本のファンにメッセージをお願いします。

Tomas : 常にオープン・マインドで、自分らしくいて欲しいな。

Julien : その音楽に対する知識の深さと、他人を敬う心を忘れないで欲しいな。僕たちから見て、日本人の他人をリスペクトする姿は、すごく印象的なんだ。ヨーロッパではあまり見られないことだよね。ヨーロッパではそんなにたくさん「ありがとう」を言わないよ。でも、僕たちにしてみれば新鮮だし、素晴らしいと思う。日本は世界中のどことも比べられない国だよ。ヨーロッパとは違うね。フランスもドイツも似てるけど、日本はすごくユニークだと思う。

Gonzague : すごくモダンだけど、歴史もある。すごくいいミックスだね。

Julien : そういったバランスを保ち続けられればパーフェクトだと思う。このまま変わらないでいて欲しいな。

End of the interview

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