

STUDIO APARTMENT によるレギュラー・イベント MUSeUM が、めでたく1周年を迎え、そのアニヴァーサリー・イベントに、ニューヨークからハウス・シーンのディーヴァ
Kimara Lovelace が登場した。STUDIO APARTMENT のニュー・アルバムでも、Eric Clapton ‘Wonderful
Tonight’ のカヴァー曲でヴォーカルを担当している彼女が、アニヴァーサリー・イベントに華を添えるという記念すべきイベントの当日、STUDIO APARTMENT
の二人と Kimara Lovelace のスペシャル対談が実現。ニューヨークで行われたレコーディングで、すっかり息の合った様子の両者によって、終始和やかで笑いの耐えない対談となった。
> Interview & Introduction : Kei Tajima (HigherFrequency)
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HigherFrequency (HRFQ) :今回、Eric Clapton の ‘Wonderful Tonight’ のカヴァーで共演されることになりましたが、まず、STUDIO APARTMENTのお二人にお伺いします。この曲をカヴァーされることになった経緯を教えてください。
Morita Masanori (M) :’Wonderful Tonight’ は、僕が小学生くらいの時に観ていた連続ドラマの主題歌に使われてて、それ以来すごく好きな曲だったんです。前作の “People To Peole” の時にも、‘Isn’t She Lovely’ というカヴァー曲を1曲やっていたので、今回のアルバムでも1曲ぐらい何かカヴァーをやりたいと言うことになって、 ‘Wonderful Tonight’を提案したんです。
HRFQ :オリジナルはもちろん男性ヴォーカルですが、今回のカヴァーにはなぜ女性ヴォーカリストの中でも、特に女性らしい声を持つヴォーカリストの Kimara をフィーチャーされたのですか?
M : 逆に男性が歌うラヴ・ソングを女性に歌ってもらうって言うのも面白いかな?と思って。あと自分は前から Kimaraのファンで、前のアルバムの時にも彼女に歌ってもらいたかったんですけど、実現できずじまいだったので、今回改めてオファーをし、共演が実現したというわけです。
HRFQ : なるほど、では次は Kimara にお伺いします。今回のオファーを受ける前に STUDIO APARTMENT についてはどのくらい意識されていましたか?
Kimara Lovelace (K) : 彼らの楽曲は Shelter といったクラブでよく耳にすることがあったわ。私は普段はそんなにしょっちゅうダンス・ミュージックを聴いてるわけじゃなくて、あまり知らなかったけど…今はこうして知り合うことが出来て嬉しいわ。
HRFQ :では、今回この楽曲のオファーを受けていかがでしたか?
K : すごくエキサイティングだった!Eric Clapton は大好きだし、彼らが渡してくれたリミックス・ヴァージョンを聴いてみたらすごく良かったの。かなりハイ・クオリティーだと思ったわ。オファーを受けても、クオリティーの低い楽曲が送られてきてがっかりすることも時々あるのよ。だからすごく嬉しかったわ。
HRFQ :それは素晴らしいですね。
一同:(お互いを見て)笑
HRFQ :みなさんは、先日ニューヨークで行われたレコーディングで初めて対面したそうですが、ものすごく仲が良さそうですね。そのレコーディングはいかがでしたか?何か面白いエピソードがあれば教えてください。
K :エピソードならあるわよ!(笑)スタジオに向かう途中で…私ったら大遅刻しちゃったの。車を運転していたら、何かの拍子で目を突いてしまって、血が止まらなくて(笑)ちょうど掛かりつけの眼科の近くを運転してたから、携帯で予約を入れて、すぐ病院にいったというわけ。だからすごく遅刻しちゃったんだけど、その時は目から血が出ていてパニックになっていて、失明したりしたら怖かったから先に病院に行って、お医者さんに診てもらったら「問題ない」ってことだったからスタジオに行ったの。その日は本当に“ハプニングの日”だった。彼らに 「調子に乗った大御所」って思われちゃうか心配したけど(笑)すべて上手く行って本当に良かったわ。
Abe Noboru (A) : Kimara はスタジオに着くなり、ブースに入ったんですよ。パッパッて感じでレコーディングしてしまって…
M :早かったよね。
K : 準備万端だったの。
HRFQ :レコーディングの時は、いつもそういう感じなんでしょうか?
K : 「NO」(笑)どこでレコーディングするかとか、誰とレコーディングするかとか、楽曲によるわね。例えば、 ‘When Can Our Love Begin’ を Urban Soul とレコーディングした時は、すごくエキサイトしてたし、準備万端だったからすぐレコーディング出来た。それに、今回の ‘Wonderful Tonight’も同じだったわ。でも、’Misery’ をLittle Louis Vega とレコーディングした時は、「あ〜あ」って感じだったの(笑)というのも、そのレコーディングの日が母の日だったから。前回ここに来た時に連れてきたんだけど、私にも息子がいて、母の日にはレコーディングしたくなかったのよ。だから、毎回ってわけじゃないわ。
A : 息子さんはバンドマンなんですよね?
K : 彼は19歳で、フロリダにある Full Sail っていう大学でプロデュース業を勉強してるわ。日本のアニメも大好きで、グラフィック・デザインも勉強してるのよ。だから日本に来るたびに毎回お土産買ってるの(笑)
HRFQ :Kimara、あなたはそのレコーディング現場に「謎の水筒」を持って現れたと聞いたのですが、その中には一体何が入っていたのでしょう?
K : 歌う前には、かならず中国のアーティチョーク・ティーを飲むようにしてるの。たまにジンジャー・ティーにしたりするけど、その中にホールズ・キャンディーを入れて、溶かして飲んでいるのよ。ホールズは喉がスカッとしていいの。これだけ長い間クラブで歌っていると、タバコの煙で喉が痛むでしょ。だからこのお茶を飲んでスッキリして、喉をケアするようにしてるの。

A :でも、結局その水筒を忘れていったよね…(笑)
K : そうなの(笑)だから新しい水筒を買わなくちゃいけなかったの!
HRFQ :さて、出来上がった楽曲を聴いてみていかがですか?期待以上の仕上がりになりましたか?
M : 期待通りというか、期待以上でしたね。
K :素晴らしかったわ。すごく新しくて、斬新なカヴァーだと思う。スローな展開のオリジナルとは違って、人に聴かせても、ヴォーカルが2小節くらい入ってくるまで何のカヴァーなのか分からないの。すごく斬新な解釈で好きだわ。
HRFQ :Kimara、あなたは今までに数々の名プロデューサーと仕事をされてきたと思います。そんなあなたにとって、今回のSTUDIO APARTMENT とのコラボレーションはどんな経験でしたか?
K : 今まで一緒に仕事をしてきたプロデューサーと比べて、そんなに大きな違いはなかったけど、彼らは自由に歌わせてくれるからすごくやりやすかったわね。
HRFQ :逆に STUDIO APARTMENT のお二人はどうですか?KImara と一緒に仕事をして、新鮮だったことは…?
M : これまで競演をしてきたヴォーカリストさんには悪いんですが、僕の個人的な感想としては、Kimara の声が一番好きでしたね。声がすごく女性的というか、なんというか。
K : 嬉しいわね。アリガトウ(笑)
HRFQ :最近、全体的に見ると最近あまりポジティヴなニュースのないニューヨークのクラブ・シーンですが、実際にクラブに行かれて、プレイもされたそうですが、印象はいかがでしたか?
M : 今回でDJは2回目でしたけど、楽しかったですよ。確かに、白人系のクラブ・ミュージックが主流になっているとは思うんですが、巷で言われているほどニューヨーク系の音が厳しいとは感じませんでしたね。大体ニューヨークに行くと、そういう白人系の大きなクラブには行かずに、Cielo とか Shelter に行ってしまうので分からないんですけど、そういうクラブでもお客さんもみんな楽しそうというか、音楽が日常に溶け込んでいる印象はありましたね。
HRFQ :Kimara、あなたはニューヨーク出身ですか?現在のニューヨークの音楽シーンは昔と比べて変化したと思いますか?
K : もともとはニュージャージーの出身で、今はニューヨークに住んでるわ。ニュージャージーの音楽シーンはもっと小さくて、ソウルフルなシーンなの。Kenny Bobian や Stephanie Cooke もニュージャージーの出身よ。すごく小さくて、濃いシーンだけど、ニュージャージーにはそういうマーケットがあるの。私の曲で彼らが知ってるものと言えば、’Circles’ と、’When Can Our Love Begin’ ぐらいだと思うけど。ニューヨークのシーンについて言えば…そうね、これは私の考えなんだけど、楽曲には、絶対にヴォーカルが必要なの。最近になって、ダブやテクノ…といったトラックが注目されてるけど、クオリティーの高い楽曲には、常にクオリティーの高いヴォーカルが付いているものだと思う。ニューヨークのハウス・ミュージック・シーンこそ、そういったクオリティーの高いシンガーを見つけられる唯一の場所だと思うわ。R&B や ヒップホップ・シーンには口パクで歌ったりするアーティストもいるけど、ハウス・シーンにはそんなヴォーカリストは絶対にいないもの。
HRFQ :本日のライヴでは、その’Wonderful Tonight’ のほかにどんな楽曲を期待できますか?
K : 全部歌うつもりよ(笑) ’When Can Our Love Begin’も歌うし、’I Luv You More’、’Circles’、’Only You’、‘Misery’…もしかすると、アンコールに ‘Magic of Love’っていう新曲も歌うかもしれないわ。たくさんあるでしょ(笑)
HRFQ :それでは、アルバムと本日のライヴを期待しているファンに一言お願いします!
K : ダンス・ミュージックをサポートし続けて、レコードやCD、mp3 をきちんと購入して下さい。違法ダウンロードやブートレグはダメよ(笑)ダンス・ミュージックに関連する賞に参加して、DJ
やクラブ、 プロデューサーをサポートし続けてね!
M : 今回で MUSeUM も一周年を迎えましたが、これからも引き続き応援宜しくお願いします!
End of the interview
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STUDIO APARTMENT / For Her For Him For You 発売日 : 2007/06/27 |
名曲 'Flight' などが様々なハウス系コンピレーションに収録され、今や日本のハウス・シーンを代表するアーティストとして世界中で注目を浴びる STUDIO APARTMENT による待望のニュー・アルバム。 前作 "People To People" から約2年ぶりのアルバムとなる本作は、'Flight' でもボーカルを務めた実力派 Monique Bingham をはじめ、 NYのAK、 先日の MUSeUM 1st Anniversary でも見事なライブを披露してくれた Kimara Lovelace、 さらに世界のハウス・シーンを代表するトップ・プロデューサー Blaze といった豪華アーティストをフィーチャーし、上品ながらもダンサブルなサウンドを追求した STUDIO APARTMENT らしい世界が堪能できる仕上がりとなっている。 (Masanori Matsuo : HigherFrequency)
収録曲
01. Found Him feat. Monique Bingham ![]()
02. Round The World ![]()
03. Something Between Us feat. Deborah Bond ![]()
04. Beautiful Sunrise feat. AK ![]()
05. Signpost ![]()
06. Wonderful Tonight feat. Kimara Lovelace ![]()
07. The Rising Sun feat. Blaze ![]()
08. Siarre ![]()
09. Dimensions ![]()
10. Hope ![]()
11. Spirit Of Elephant ![]()
12. I'm In Love feat. Ron Carroll ![]()
13. Fellow ![]()
14. Beautiful Sunrise feat. AK -Sunshine Soul Mix- (Bonus Track) ![]()
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パーティーレポート : MUSeUM feat. DJ SPEN @ Space Lab Yellow, Tokyo (2007/01/19)
インタビュー : Studio Apartment Interview in Tokyo (2005/06/15)
関連リンク
STUDIO APARTMENT Official Site
New World Records Official Site