HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Studio Apartment


グルーヴィーでありながらどこか爽やかな風のような雰囲気のあるリズムの上を、伸びやかな女性ヴォーカルが軽やかに駆け巡る……ハウス・ミュージック好きのリスナーならば、最近必ずどこかで耳にしたことがあるであろう、DJ/サウンドプロデューサーである森田昌典と、マルチプレイヤー阿部登の二人から成るユニット STUDIO APATMENT によるトラック、 "Flight"。 Abstract Truth のヴォーカリストとしても知られる Monique Bingham をフィーチャーしてリリースされたこのトラックは、Danny Krivit の "In The House" をはじめとするハウス系コンピレーションに多数収録されるなど、ハウス・シーンにおける STUDIO APARTMENT の知名度を世界レベルにまで押し上げたのだ。

そんな "Flight"の収録された 2nd アルバム "WORLD LINE"のリリースから約一年、STUDIO APARTMENT が早くも 3rd アルバム "PEOPLE TO PEOPLE"をリリースすることとなった。さらにハウス・ミュージックへと、世界へとその視線を向けた彼らがリリースする今作には、Stephanie Cooke や Kenny Bobien、Joi Cardwell などの豪華ヴォーカリスト陣がフィーチャーされており、世界中から熱い注目を受けること必至の仕上がりとなっている。

そんなアルバムのリリースを目前にした梅雨入り晴れのある日、HigherFrequency は STUDIO APATMENT の二人に接触、リラックスした雰囲気で新作"PEOPLE TO PEOPLE"や、二人の近況などについて訊くことができた。

> Interview & Introduction : Kei Tajima (HigherFrequency)

triangle

HigherFrequency (HRFQ) : お久しぶりです。前作" WORLD LINE "をリリースされてから約一年が経ちましたが、その間どのように過ごされていましたか?

Abe Noboru (A) : 夏の後くらいからもう(3rd アルバムの)制作に入ってたよね?

Morita Masanori (M) : うん。" WORLD LINE "のリリース後にツアーがあって、10月くらいにはこのアルバムの制作に取り掛かったって感じですかね。

HRFQ : では、前作のリリース時から、今回のアルバム"PEOPLE TO PEOPLE"のコンセプトは見えていた感じですか?

M : とりあえずは、" WORLD LINE "の延長線上となるアルバムをつくろうと。前作で出来なかったというか、やり足りなかったことを出来ればなぁと。

HRFQ : 前作 " WORLD LINE "では、「打ち込みを前面に出した」ということをおっしゃっていたのですが、その延長線上ということは、今回のアルバムでもやはり打ち込みがメインとなっているのでしょうか?

M : そうですね。前作はどちらかというと、"バラエティーさ" がウリ、みたいなとこがあったんですけど、今回のはもう少し"ダンス・ミュージック" というところにこだわって、さらにハウス寄りな感じになってますね。

HRFQ : なるほど。前作に収録されていた中で、最もハウス・ミュージックを意識した楽曲といえば "Flight" だと思うのですが、リリースされてから UK の Defected のDanny Krivit "In The House"を初めとしたコンピレーションに多数収録されたり、最近来日した Frankie Feliciano にリミックスされたりと、かなりの話題になりましたね。ご感想はいかがですか?

M : フフフ(笑)。正直嬉しいですよ。最近 King Street Sounds からリリースされた "Abstract Latin Lounge" Defected の"Soulheaven Presents Blaze"にも収録されたりで。本当に嬉しい限りです。

HRFQ : Defected といえばヨーロッパのみならず世界的にも権威のあるハウス・レーベルですからね。

A : そうですね。すごくラッキーでした(笑)。

HRFQ : 昨年のリリースを機に、お二人の視線がだんだんと世界に向かっていっている印象があるのですが、森田さんは3月にはマイアミの Winter Music Conference にも参加されましたね。いかがでしたか?

M : Danny (Krivit) や、ライブでは Monique (Bingham) と King Street Sounds のパーティーでプレイしたんですけど、やっぱり楽しかったですね。

HRFQ : でも、あまり日焼けなさってないみたいですけど…(笑)

M : 僕ね、基本的に日光が苦手なんですよ。日焼けが火傷になってしまうので、出来るだけ日光は避けて頑張りました。でもかなり良い雰囲気でしたね。 「マイアミ!」って感じでした(笑)。

HRFQ : さて、アルバム "PEOPLE TO PEOPLE" についてですが、Stephanie Cooke や Kenny Bobien など、かなりの実力派アーティストが多数参加していますね。どのような経緯で彼らが参加することになったのですか?

M : 単純に、自分たちが歌ってもらいたいと思うリストを作って、King Street Sounds を通してブッキングをお願いしたんです。

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HRFQ : アルバムを聴いてみてすごく感じたのが、「曲とヴォーカリストの声やイメージがぴったり合っている」ということだったんですが、はじめからヴォーカリストを想定した曲作りをなさったのですか?

A : 曲をつくりながら見えてきた楽曲もあったし、初めからイメージした楽曲もありました。

HRFQ : ヴォーカリストをフィーチャーしたトラックの制作はどのように進めていかれたのですか?

M : #4 "We are lonely" の Terrance Downsの場合は、実際に向こうまで行ったんですけど、メロディー・ラインはすべて彼の方に任せたんです。実はこういう形態での曲作りは今まであんまりやったことなくて。今までは、メロディーまでしっかりつくってから(ヴォーカリストに) 歌ってもらうっていう感じだったんですけど。まぁ、ある意味初めての試みで、結果がいい風に出たんじゃないかなと。そういうトラックもありつつ、でもやっぱり基本的にこちら側でつくってしまってから歌ってもらうパターンが多いですね。

HRFQ : 歌詞などはどうなさっているのですか?

M : キーワードだけ渡して、あとはヴォーカリストに考えてもらう。

A : やっぱり違いますからね。日本の言葉と英語では…

M : 日本人が書く英語詞とネイティヴが書く英語詞では全然違うので。

HRFQ : 今回のアルバムには、Kenny Bobien をフィーチャーしたカヴァー曲、"Isn't she lovely"が収録されていますね。以前阿部さんはフェーヴァリット・アーティストとして Stevie Wonder を挙げられていたと思うのですが、なぜ今回この楽曲をカヴァーすることになったのでしょうか?

M : 今まで僕たちのオリジナルでカヴァー曲がなかったので、前々から" Isn't she lovely"はお互いが好きな曲で、出来ればいいなって感じだったんですけど、日本人ヴォーカルだとあんまりいい感じにならないので、なかなかチャンスがなかったんですけど、Kenny だったらやりたいなと思って。で、オファーをかけたら実現したと。

A : この曲って原曲もリズムが複雑じゃないですか。だから出来上がるまで「どこまでSTUDIO APARTMENTの色を出せるかな」って思ってましたね。

M : 一瞬 "Isn't She Lovely" って分からないようなカヴァーにしたかったので、狙い通りの仕上がりになりました。

HRFQ : 音作りの面で、サウンド的にも意識的にも前作と違った部分はどこでしたか?

M : 全体的に以前よりボトムがしっかりして、音の空間も広くなったかなと。それに、今回のアルバムと前作までのものとの決定的な違いは、前作以前は生のベースを主体とした音作りがほとんどだったんですけど、今回のアルバムで生のベースを使用しているのは一曲だけ。他は全部打ち込みなんです。

HRFQ : なるほど。では、本当に"ダンス・ミュージック"というところに焦点を置かれたんですね。先程も、ハウス・ミュージックを意識されていたというお話が出ていたのですが、昨年〜今年は STUDIO APARTMENT にとって世界的に知名度を上げ、特に世界のハウス人口に存在をアピールしてきた年だと思います。お二人が今の STUDIO APARTMENT のサウンドを一言で表すとすると、どのような言葉が一番相応しいのでしょうか?

M : でも、STUDIO APARTMENT には、まだハウスのイメージはついてないんですよね。どちらかというと、ジャズ、クロス・オーバー系のイメージが強いので。そこをもうちょっと変えれればいいかなっていうのはありつつも…僕たちの音を言葉で表すと…どうでしょう?

A : …虹?

(一同爆笑)

A : いや、今回のジャケットが虹だから…

HRFQ : なるほど、なるほど…

M : いろんな意味で、バランスだと思うんですよ。ポップ過ぎずアンダー・グラウンド過ぎす、家でも聴けるしクラブでも聴けるって感じで、バランス的にはいい感じだと思うんですけどね。

HRFQ : では、今後はハウスのプロデューサーとして精力的に活動していくっていうわけではないんでしょうか?

M : いや、ハウスに対してのこだわりはそんなに無いんです。今回つくりたかったのがそういったハウス系の路線であったというだけで、僕たちの中でやりたいことはまだまだありますし。

A : 音楽感を狭めちゃうと、楽曲自体が小さくなりそうなので幅広く制作したいですね。

M : かといってパンクとかをやるわけではないですけど(笑)。

HRFQ : 最近のテクノロジーの発達で、多くのDJやプロデューサーが「機械的で、つまらない音楽が蔓延している」というシーンの現状を指摘しているのですが、そんな中で、オリジナルでありながら多くの人々に認められる音楽をつくっていくためには、何が一番大切だと思われますか?

M : やっぱり、オリジナリティーも大事ですけど、流行に乗るっていうわけじゃなきにしも、その時々の雰囲気も掴むことっていうのも大事なのかな。バランスだと思うんですよ。いい意味でのバランス調整が出来ると、いい結果が出でくるんじゃないかと思うんですけどね。

HRFQ : 今後の活動について教えてください。海外でのツアーもあるそうですが?

M : 海外のツアーは年末あたりから出来れば、という感じなのでもうちょっと先ですけど。とりあえず7月から10月までの期間、ツアーで日本全国をまわります。制作のほうではプロデュース、リミックスといった感じですね。今年はそっち方面をしっかりやっていこうかなと。10月以降には豪華なリミキサー陣が"PEOPLE TO PEOPLE"の楽曲をリミックスするという King Street Sounds 盤もリリースされます。

End of the interview

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