HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Steve Beckett


今や説明不要の人気を博している Warp Records は、'89年にイギリスはシェフィールドにてレコード・ショップを経営していた2人の若者によって設立された。2人の名前は、Rob Mitchell と Steve Beckett。彼らのレーベル・オーナーとしての嗅覚の鋭さは目を見張るものがあり、Autechre、LFO、Squarepusher といった先鋭的なアーティストを次々と発掘し、瞬く間に Warp Records を世界的に高い人気を誇るレーベルにまで育て上げたのである。

'01年には惜しくも Rob が他界してしまったため、今は孤立奮闘してレーベルを支えている Steve Beckett。今回の i-Warp にはスペシャル・ゲストとしての出演が決定している彼に、HigherFrequency ではEメール・インタビューを敢行し、目前に迫った i-Warp のことはもちろん、ダウンロード・サイト Bleep.com や映像部門の Warp Films のことなど、多岐に渡り話を聞いた。

> Interview : Nick Lawrence(HigherFrequency) _ Translation : Kei Tajima(HigherFrequency) _ Introduction : Yoshiharu Kobayashi (HigherFrequency)

triangle

HigherFrequency (HRFQ) : Warp Records の作品は、インテリジェント・ダンス・ミュージック(IDM)と定義されることがよくありますが、それはあなたが意図しているものなのでしょうか?あなたの考える IDM とは果たしてどんな音楽なのでしょうか?

Steve Beckett : IDM なんて存在しないよ!そんな言葉は使ったこともないしね。音楽は人生のリズムであって、そこにインテリジェンスは存在しない…要するに音楽は音楽なのさ!

HRFQ : シーンには数年と続かないレーベルが山ほどありますが、Warp Records が設立から数十年たった現在でも、未だに成功したレーベルでいられるのは何故ですか?

Steve Beckett : 素晴しいアーティストと、深く長く付き合うこと。常に新しいアイデアをもって、進化し続けることだね。いいレーベルはたくさんあるのに、そのほとんどが数年で消えてしまってる。すごく残念だよね。僕たちはこのシーンで長く生き残っていけるアーティストと契約するようにしているんだ。すぐに消えてしまうような流行のジャンルには惑わされないよ。

HRFQ : Richie Hawtin や Aphex Twin、Nightmares on Wax や Boards of Canada といった素晴しい才能をどのようにして発掘してきたのですか?

Steve Beckett : アーティストや友人、知り合いなどのネットワークを通じて。人と会話したり、話に耳を傾けるのさ!

HRFQ : 今まで Warp からリリースした中で、最もエキサイティングだと思うアーティストを教えてください。

Steve Beckett : それは彼しかいないね。唯一のレジェンド Squarepusher だよ。

HRFQ : '04年には、所属アーティストのビデオ・クリップ集を収録した DVD をリリースされましたね。また、あなたは Warp Film という映像会社も経営されていて、Vincent Gallo の作品などを多数リリースされています。映像と音楽をリンクさせることはどれほど重要なのでしょうか?

Steve Beckett : 映像と音楽の間には、常に強いリンクが存在していると思っていてね。それに、僕らは Chris Cunningham や Lynne Ramsay、Vincent Gallo、Chris Morris といった素晴しい個性を持った作品を作る映像監督に囲まれているんだ。だから自然と音楽と映像をリンクするようになったのさ。

HRFQ : あなたのレーベルが運営されている Bleep.com は、大きな企業やアーティストが強制している DRM のシステムを適用していない配信サイトですが、この決断の裏にはどんな理由があったのでしょうか?

Steve Beckett : 僕らは人々を犯罪者としてではなく、顧客として扱いたいんだ。自分の買った音楽は自分のものなんだから、好きにすればいいのさ。このポリシーのおかげで、Bleep.com はものすごく成功しているしね。僕らとファンが築いてきた貴重な関係を DRM を無理やり押し付けることで傷つけたくはないんだ。

HRFQ : 5月26日に行われる i-Warp は、日本ではかなり久しぶりとなるレーベル主催のパーティーですが、このタイミングでイベントを開催するのには何か理由があったのでしょうか?

Steve Beckett : ずばり、それが理由さ!日本では随分と長い間 Warp のパーティーをやっていないから、Beat Records と話して開催することにしたんだ。Plaid や Jimmy Edgar、Jackson (and His Computer Band) も、素晴しいアルバムをリリースしたばかりだしね。それを祝うのもいいと思ってさ。それに、Luke Vibert ももうすぐアルバムをリリースするしね!

HRFQ : 初期の Warp Records では、エレクトロニック/ダンス・ミュージックのリリースが主でしたが、最近では Maximo Park などのロック系の作品もリリースされるようになりましたね。今回の i-Warp にも、そういった音楽的な変化が影響してくるのでしょうか?今回のパーティーを開催するにあたって、何か特別なコンセプトがありましたか?

Steve Beckett : 今回のパーティーで Maximo Park のトラックをプレイするとは思わないな。もしギリギリでクールなリミックスが手に入れば話は別だけど。今回は泥くさいエレクトロニック・ミュージックにフォーカスしたフェスティヴァルにするつもりだよ。最新のビデオや Warp のフィルム・ワークを放映するスクリーンは設置するけどね。

End of the interview


関連記事


関連リンク