今週末でいよいよ7周年を迎えるAIR TOKYO。そんなAIRから、ハウスシーンでもっともメジャーなレーベルへとのし上がったといっても過言ではない
DEFECTEDのボス、サイモン・ダンモアと、7年にわたり同クラブの運営を担ってきたディレクターの西村氏のインタビューを入手したのでお届けしたい。
ダンスフロアで機能するクラブ・サウンドに指標を置きながら、ビジ
ネス面でも充
実した展開を見せているUK屈指の実力派レーベル:
DEFECTED。そのオーナーであるとと
もに、昨今はDJとしても活躍するサイモン・ダンモアが、
AIRでプレイしたのは通算5
回を数えた。世界の潮流を踏襲しながら、ハウスの革新を射貫く――そ
のスタイルはま
さにAIRの姿勢とリンクするところ。今回はAIR TOKYO /GROBAL-
HEARTSディレクターの西村洋
一氏を迎え、ふたりのクロスポイントを訪ねた。
> Interview : HIRONORI YASUDA
―まず、AIRがDEFECTEDのパーティを始めた経緯をお聞き したいのですが。
西村 : 「2004年のマイアミ『WMC』がきっかけですね。その ときDEFECTEDのパーティに行っ たら、(AIRでもプレイしたことのある)ボブ・サンクラーがプ レイしていたんですよ。 それで彼に『ボスのサイモン・ダンモアって、どの人?』って聞いて、 紹介してもらっ たんです。 ただその瞬間、ちょうどパーティの音が止まってしまって、 サイモンはバタバタしていたんですけど(笑)。 確か、ディミトリがプレイしていた かな」
サイモン : 「音が止まってイライラしていたかもね(笑)」
西村 :「当時、AIRではDEFECTEDの冠を掲げたパーティは やっていなかったんですけど、 『あなたのレーベルの音楽が大好きで……』っていう話をサイモンにし て、パーティを 日本で定期的に開催していきたい、って直訴したんですよ。それが最初 ですね」
サイモン : 「そんなにまで評価してくれていて、凄く光栄だよ」
西村 : 「いえいえ、純粋に日本でDEFECTEDを広めたいと思ったんで す。その過程で、サ イモンにもDJをしてもらおうと」
―ここ最近はAIRのフックアップにより、サイモンは DEFECTEDのオーナーという側面に 加え、DJとしての才も日本で広く浸透していますね。
サイモン : 「うん、ホント信じられないよ。というのも、やはりレーベル を優先して、 活動してきたからね。僕がDJを始めたのは20歳の頃だか ら、もう25年も経ったんだけど、 ずっと他の仕事に追われていたんだ。だから、いまこうして東京の 素晴らしいクラブでプレイできることは すごく楽しいよ。しかも、日本の観客は僕の 名前を知ってくれている。それって、信じがたいリアクションなんだ。 まぁ、彼(西 村洋一)の功績があったからこそだけど」
―西村さんはサイモンのDJプレイをどう評価していますか?
西村 : 「彼にプレイしてもらおうと思った理由は、やっぱりエンターテイ ンメント性と高いクオリティを兼ね備えて いるということですかね。DEFECTED という世界最大級のレーベル・プロデューサーであるからこそ、 毎回旬な音を届けてくれ る。 現在進行形のハウスをサイモンは的確に伝えてくれるんです」
サイモン : 「僕はラッキーなことにレーベル・オーナーってことで、新曲 がダイレクトに送られてくるんだ。 自分が気に入れば、契約する前にプレイすること もあるよ。ただ、まだリリースされてないものばかりプレイしても オーディエンス が飽きちゃって……。だから、彼が言うように、エンターテインメント・・・ その人を 楽しませるために、そして踊ってもらうためにいま流行っているものやダンス・クラシックスを 混ぜるんだ。それが僕っぽいのかな、って思っていたけど、ヨウイチの判断はすごく的確だね(笑)」
―同時に、サイモンのDJスタイルは、DEFECTEDの姿勢を反映しているような感覚もあるのですが。
西村: 「僕もそう思いますね。サイモンのDJプレイはレーベルのオー ナー業と深くリンクしている。 ダンス・ミュージックの真髄を伝える、っていう部分は一緒ですよね。彼独自の選曲眼はすごく楽しめるんです」
サイモン : 「僕もAIRとDEFECTEDのビジョンは似ていると感じていて。AIRは僕がやろうとしていることを 汲み取ってくれる数少ないクラブなんだ。 DEFECTEDがやろうとしていることは、現場(ダンスフロア)とCDが しっかりと繋がること。同様に、AIRもDJと観客、そして世界のレーベルとネットワークを広げようとしている。 そういう外世界に向けた動きはすごく大切だよね」
―では、西村さんがAIRで伝えたいDEFECTEDの音というと?
西村 : 「AIRが目指しているところは、日本人を含めワールドワイドに活躍している人たちをフューチャーすること なんです。お客さんに世界基準の音楽を届けることが、いちばんの信条だな、と思っていて。 そういう意味でも、サイモンが見出しているアーティストはまさに世界の先端にいる人たち。だからこそ、 DEFECTEDのパーティを企画 したんです」
―一方、サイモンは日本にDEFECTEDのサウンドを届けることには、どういった意義を感じていますか?
サイモン : 「ハウスは“世界を1つにする”という力を持っているんだ。例えば、他のジャンルを見てみると、 カントリー・ミュージックなんかはアメリカの限られた地域でしか支持されていないだろ。 でも、ダンス・ミュージック、特にハウスは世界中で愛されている。ダンスそのものが社交的な音楽で、 人々を煽動するからこそ素晴らしいと思う。日本に僕らの音楽を届けたいっていう理由も同じだよ。 ただ残念なことに、最近は音源が無料でダウンロードできたり……、人々の声や耳を媒介して、 リスナーに届くということがなくなりつつある。 DJが旅して、みんなに楽しんでもらって、外国の人たちと異文化体験する、っていう魅力がどんどん減りつつ あるのは悲しいよね」
―ハウスは時代を反映する音楽でもあると。
サイモン :「うん。だからこそ、素晴らしいアーティストは世界中に存在している。特に日本のプロデューサーは、 ここ数年でテクニカルの面でもサウンド面でもクオリティが高いよね。例えば、HUNDRED BIRDSはアーム“Rej”の リミックスを手がけていたり。 それからDJ KAWASAKIとも仕事したんだ。もちろん、野崎良太(Jazztronik)も僕らのレーベル・メイトだよ」
西村: 「僕も日本人と海外のアーティストが繋がればいいな、っていうのは以前から考えているんです。 DEFECTEDのアーティストを呼んだら、日本人も一緒にブッキングするみたいな。 そこからコミュニケーションが生まれて、日本のクラブ・カルチャーが発展すればいいなって」
―今後のパーティ像はどのように考えてますか?
西村 : 「これからもシンプルに最新の音楽を伝えたいですね。プロデュー ス業とDJ業、両方のバランスが取れた人と 仕事がしたい」
サイモン : 「DEFECTEDのビジョンの同じだね。ハウスというジャンルに対して、オープンマインドでありたいんだ。 例えば、最近だとジャイルス・ピーターソンに『IN THE HOUSE』(※編註:DEFECTEDの人気ミックスCDシリーズ) を手掛けてもらったんだけど、彼のクラブ・ジャズはハウスと重なるアティストゥードがある。そんなふうに幅広い ハウスを追求していきたいんだ」
―なるほど。最後に何か言いたいことはあります?
サイモン : 「ヨウイチ(西村)はある意味、変態なんだ(笑)音楽モンスターというか。 明確なビジョンと音楽に対する情熱を持っている人だからこそ、おもしろいパーティを大胆に企画できる 世界一のプロモーターだよ、これからもDEFECTEDのサポートをよろしく!」
End of the interview
[Information]
10.18 SAT
NEXT FLOOR presents
『Defected In The House』: HMV Special Edition
Mixed By Simon Dunmore Release Party
supported by HMV SHIBUYA & ONLINE10th Aniversary
22:00〜
door/3500yen
DJ: Simon Dunmore From Defected UK,
Aron T (Soul Heaven, London / SOUL, Tokyo) and more
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