10年のキャリアを誇り、50以上に及ぶリリースとリミックス、そしてプロデュースまでもこなし、既に確固たる地位を築いた Sharam Jay が、デビューアルバムとして"4 Da Lovers"のリリースを決めたのがつい最近というのは驚くべき事実だ。
このアルバムは Darren Emerson の Underwater Records から近日リリースとなるが、同じタイトルのシングルが既にリリースされており、こちらはキャッチーなイビサスタイルハウスで既に大ヒットしている。
『この曲は、80年代のサンプルから一日で作ったトラックで、自分のレーベル King Kong Records からリリースしたら、かなり反応がよかったんだ。有名なDJからもサポートしてもらえて、レーベルの売上ナンバーワンになったんだけど、そしたら単なるクラブヒットで終わらせたくないなと思うようになってね』と Sharam は振り返る。
この作品を成功へと導いた人物の一人が、12インチ盤にリミキサーとして参加したフランス人プロデューサーの Play Paul。彼にとっては珍しいことに、Sharam が作ったトラックに自らのメロディ・ラインとボーカルを加えることによってリミックスを完成させたと言う。
『この曲のニュー・バージョンを10パターンくらい用意していたんだけど、最終的に Paul にある曲を送って"これで何か出来ないかな?"って聞いてみたんだ。そしたら「ワオ!」って感じでね。オリジナル・ダブを気に入ってくれたみたいだったから、ついでに聞いてみたんだよね「実はまだヴォーカルを探してるんだけど…」って。そしたら、「ちょっとやってみる」って返事があって、ふたを開けてみたらあのヴォーカルのパートが入ってたってわけ』
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以下は対談形式でのインタビューの模様をお伝えする
(Translation by Eri Nishikami)
Skrufff (Jonty Skrufff): シングルの制作と比べて、アルバム作りにはどういったアプローチで望まれましたか?
Sharam Jey : さすがに10年もクラブ・ミュージックを作りつづけてるから、今回は時間だけが問題だったんだ。2,3年前から作り始めたんだけど、クラブのあの雰囲気とフィーリングを曲の中に込めるっていうのがコンセプトでね。うまく行ったのでよかったと思ってるよ
Skrufff : ダンス・ミュージックの移り変わりの速さは相変わらずですが、完成が近づくにつれて、前に作ったトラックをやり直したりということはありましたか?
Sharam Jey : もちろんあったよ。だって5年前とかに思いついた曲もあったわけだからね。Underwater Records は、これだけ色んなスタイルの音楽があればあと2,3枚はアルバムが出せるって言ってたくらいさ。アップ・テンポからダウン・テンポまで、それにビートだけのトラックとか色々ね。ここ4,5年で僕が音楽的影響を受けた全てが詰まっているという感じさ。
Skrufff : リミックスと自分のトラックを作る時のアイデアっていうのは、どのように使い分けているんですか?ややこしくないですか?
Sharam Jey : ん〜、そうでもないかな。リミックスの時はいつも全く新しいトラックにするし、時には"あ、このトラックはリミックスに使うだけじゃもったいなすぎる!"なんて思うこともあるしね。だから新しいトラックを作る時もリミックスの時も、必ず最初から作るようにしているよ。
Skrufff : 決まった手順はあるんですか?
Sharam Jey : いや、毎回違うかな。リミックスのときは聴き過ぎない程度にオリジナルを2,3回聴いたら、だいたい気に入るパーツっていうのはすぐ分かるし、「好きにしていい」と言われているときは、オリジナルを聴いてベストなパーツを探してそこから始めることが多いんだ。でも例えば"このトラックはヴォーカルが一番重要だから"と言われれば、そのヴォーカルを感じて、その部分から始めるようにするけどね。
Skrufff : "4 Da Lovers"は、イギリスに拠点を置く Darren Emerson の Underwater Records からのリリースですが、イギリスとドイツのマーケットの大きな違いはどこだと思いますか?
Sharam Jey : 8年くらい前からたくさんのイギリスの会社と仕事してるけど、そうだね、イギリスのマーケットはちょっと違うかも。今は良い作品がたくさん出てきてるドイツが一番アツイかもね。何年か前はイギリスだったんだけど。
Skrufff : ケルン出身ですよね?ベルリンに引っ越したいと思ったことは?
Sharam Jey : 時々ね。皆ベルリンに引っ越したがるけど、僕はケルン出身だし、ここにナイスな家もあるし。両親もほんの60キロほど行ったところに住んでるからね。ベルリンはそりゃいいところだよ。でも、今はいろんなことが起こって、ごちゃごちゃだね。ただ、そういうところが好きな人にはいいかもしれないけど。
Skrufff : Darren Emerson に最初に会ったのはイビサだってホントですか?
Sharam Jey : ホントだよ。あれは4年前だったかな。僕はその時 El Divinos でプレイしてたんだけど、Darren がよく僕のレコードをかけてくれてるってことは知ってて。で、誰かに紹介してもらったら"良い曲作っているよね"って言われて、その何ヶ月か後にトラックを送ったら、今度は是非 Underwater でリリースしたいって話になったというわけ。当時は、リミックス作品が山ほどあったのに、肝心のレーベルが見つからなかった時で、ちょうどイギリスで何かリリースしたいと思ってたところだったから嬉しかったね。
Skrufff : グーグルであなたの名前検索したら、着メロのサイトが山ほど引っかかったんですけど、次はマルチメディア王国でも築くんですか?
Sharam Jey : ほんとに? そんなにあるって知らなかったよ。でも、CDとかレコードを売るより着メロのほうが儲かるって寂しいよね。ま、僕は着メロに特別興味はないけど、もし着メロをゲットしたい人が大勢いるっていうんならいいんじゃないの?
Skrufff : ご自分をDJだと思いますか?それともプロデューサーだとおもいますか?
Sharam Jey : どっちも大好きなんだけど、最近はスタジオに入ってることが多いからDJするときは本当に楽しみだね。ここ10年くらいは毎週末プレイしてるけど、今は本当に色んなスタイルの音楽がるからDJが楽しくて仕方ないんだ。あと、クラブに行って僕のアルバムとかニューシングルはもちろん、リミックスなんかに対する皆の反応を見るのも楽しいな。
Skrufff : DJではレコード派ですか?CD派ですか?
Sharam Jey : 半々かな。
Skrufff : いつかレコードは使わなくなると思いますか?
Sharam Jey : いや、そうは思わないな。今でもCDよりレコードのほうが良いモノが手に入るし、それにレコード屋って好きなんだよね。毎週はいかないけど2、3週間に一度は行ってるかな。今はほんと良いモノが多いね。
Skrufff : アルバムのツアーをやるならライブでやりたいと思いませんか?
Sharam Jey : そりゃいいね。いまはアイデアの段階だけど、今までそれは考えたことがなかったかも。実は僕自身、バンドに所属していたことがあって、アルバムを作ったとき、出来るだけベースやギターなんかは自分でやるようにしたことがあるんだ。それに14歳から20,1歳くらいまでやってたから、バンドの気持ちよさっていうのはよく分かるんだよね。もうだいぶ昔の話だけど、もしまたそういう機会があったら是非やりたいものだよ。友達にもまだバンドやってるやつがいっぱいいるし。ホントやりたくなってきたよ!! アルバムがリリースされていいリアクションがあればね、うん、絶対やるな。
Skrufff : バンドってどんなバンドだったんですか?
Sharam Jey : ロック・バンドのヴォーカルだったんだけど。
Skrufff : ロックって、ヘビメタとかの?
Sharam Jey : いや、もっとクールなロックっていうか、グランジとか。Rage Against The Machine とか Alice In Chains とかさ。
Skrufff : じゃあ当時は、いかにもって感じだったんですか?
Sharam Jey : あたりまえでしょ。
Skrufff : いまでもロックは聴きますか?
Sharam Jey : そうだね。結構聴くね。
End of the interview
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ディスクレビュー : Darren Emerson & Sharam Jay / Underwater Episode 4 (2005/07/18)
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