日本屈指のアナーキーテクノレーベル WC Recordings を主宰し、毎週新曲をリリースする”週間少年WC”や和柄のアートワークなど、日本人の作品を独自の切り口で紹介し続けると同時に国外のさまざまなレーベルより自身の楽曲を発表するなど、クリエイターとして常に前線にたった活動を続けながら、 Unit で開催されている WC Recordings のレーベルパーティでは徳川家康名義で鎧をまとって登場し、観客の度肝を抜くなど非常にオリジナリティ溢れる活動を展開する Salmon 。 Higher-Frequency では先日の Satoshi Otsuki に続きドメスティックアーティスト第2弾として彼に焦点をあて、レーベル運営の話や、どのように海外レーベルへのアプローチをおこなっているのかなど貴重な話を聞かせていただいた。
> Interview : Ryo Tsutsui (HigherFrequency)
HRFQ : これまでの音楽遍歴について少しお聞かせください。
SALMON : 13歳の時に姉のお古のカセットMTRをもらって自宅多重録音を始めました。兄貴がモヒカンのパンクスだったせいもあり、パンク、ニューウェーブにはまってた中学時代です。その後はイギリスのサイケデリックロックやジャーマンロック、N.Yのノイズバンドやアバンギャルドな物を好んで聴いていった感じです。ロックバンドも色々やってましたね、実験的な物からPOPな物まで。2000年くらいにmetro999というサンプラ−と生ドラムの2人組で人力アブストラクト、エレクトロニカのユニットをやっていました。一枚アルバムを出したけど、今聴いてもなかなかだと思います。この時期にSALVANILLAというMIX MEDIA ARTの前衛舞踏集団があってその舞台音楽をやってました。その時はノイズの構成での表現を追求してましたね。
テクノはプラスチックマンとかDOOPな物から入り込んだ感じです。そこからBPM110くらいのテクノばっかり作ったアルバムや、タブラのサンプリングのみで構成したアルバムをリリースしました。今のスタイルに来るまでにすごく色々なトラックを制作して来ましたね。今はやっぱりダンスミュージックが面白いです。bpm125くらいの独特な作品を沢山出しました。
HRFQ : どのようにしてDJ, 及びテクノのプロデューサーとしての活動を始められたのですか?
SALMON : DJは自分の運営してるレーベル"WC RECORDINGS"を立ち上げた時くらいに始めました。今から5年くらい前。自分のレーベルのトラックをかけたかったですしね。プロデューサーとしては20歳の頃から色々な音楽のお仕事をさせて頂いてる過程で身に付いて来た物が基本としてあるのかなあとなんとなく思います。自分の性格というか希望としてコンセプチュアルアートが好きなので、向いてるのかも!?と思ったり思わなかったりします。
HRFQ : ご自身の楽曲を様々な海外のレーベルからもリリースされてますが、どのようにしてご自身の楽曲を海外でのリリースへと結び付けていったのですか?
SALMON : 好きなレーベルにデモを送って気に入ってもらった感じですね。自分のレーベルでレコードをプレスするのはコストもかかるし大変。だけど自分のトラックを多くのレコードにして残したいので沢山のレーベルからなるべく出したいと思っています。今は簡単にどこの国のレーベルでもコンタクト取れるし、色んな国の人とコミュニケーションが取れるのはすごい事だし楽しいですからね。
HRFQ : ご自身でもWC recordings 及び Kawaya Sounds という2つのレーベルを運営されていますが、なぜご自身でレーベルを運営しようと思い立ったのですか?
SALMON : レーベルを立ち上げたきっかけは、自分がやりたいような音を扱うレーベルが日本に当時あまりなかった為です。あとは周りに面白い事やってるアーティスト達がいたからまとめたら楽しそうだなと思って。やってみたいコンセプトもあったし。
HRFQ: それぞれのレーベルでどのようなことを表現しようとされていらっしゃいますか?
SALMON : WC recordingsの初期の頃はジャンルにこだわらずにテクノからブレイクビーツ、ダブ、ハウス、アンビエントと酸き放題に色々リリースしました。コンセプトと言えば僕の好きな物です。それを毎月1枚CDアルバムにして12ヶ月連続でリリースしました。12枚のジャケットを全部合わせると1枚の絵になるようにしたり、曲間を無くしてMIXした状態でリリースしたりなど、楽しい作品群にはなったと思います。
今デジタルでリリースしてる"週間少年wc"シリーズはアーティストそれぞれが思う"和"をテーマにテクノ、テックハウスを制作してもらっています。これは国内のアーティストに絞ってリリースしています。海外からでは無くて日本からの発信を常に考えたスタイルを模索しながらといった感じですが、今のトコ評判も良く面白い作品がどんどん出来上がっています。
"Kawaya Sounds"の方は国内外問わず面白い作品をを出しています。WCよりもさらにゆるめな感じが特徴でどことなくアジアなテイストを感じてもらえると嬉しいです。二つのレーベルともに07年の12月から毎週リリースと言ってやって来ましたが、ちょっと大変なので少しペースを最近は落としています(笑)ただこの形で来年くらいまではやるつもりなので引き続きご注目よろしくお願いします。ほんとにお願いします。
HRFQ : レーベル運営で大変なことはありますか?
SALMON : そうですね、大変な事は山ほどあります(笑)けど費用の面ではデジタルも主流だし選択出来る形は増えましたからね。リリースだけじゃなくてWCのレギュラーパーティーも今年から始めたのでトータル的にリンクした面白い活動が出来ればと思います。
HRFQ : 先日ご自身がUnitで開催されているWC recordings のパーティへ鎧を着て、徳川家康という名義で出られましたね。エンターテイナーとしての姿勢に感銘を受けましたが、ご自身ではやってみていかがでしたか?
SALMON : ありがとうございます!うーん(笑)事の始まりはMYSPACEでお蔵入りのトラックを生かせないかなと思って徳川家康を立ち上げたんですが、反響が異様に良いので「鎧着てみようかな..」と思ったのがきっかけなんです。実際ステージで刀を振り回したのは初めてですが、やっぱり鎧を着ると気が引き締まると言うか、テンション上がりますね。忍者軍団もいるからなんとなくバンドでステージに上がる的な気分ですしね。次回は来年の1月にまたUNITに出陣の予定です。
HRFQ : 今後、UnitのWC recordingsのイベントではどのようなパーティを目指していきたいですか?
SALMON : 引き続きパーティーとしての楽しさや存在感を出してクオリティーを追求したいです。ゲストDJもWCのパーティーでプレイすると違った見え方をするようなオーガナイズを心掛けてます。音楽的には今のシーンとは少し外れた物を取り入れたりなど実験的な事もやって行く予定です。絶対的なオリジナルカラーを作り出そうと妄想してるので楽しみにしてて下さい!
HRFQ : 今後のご予定を少しお聞かせください。
SALMON : Salmonとしては秋に割とシンプルなトラックばかりを集めたEPがスイスのvaninahanin recordから出ます。これはレーベル面がかなりインパクトのある奇妙なデザインなのでぜひチェックしてみて下さい!あとメタモルフォーゼ関連のEPにオーガナイザーのMAYURIさんとやってるユニット"MAYURI&SALMON"のトラックが収録予定です。WCでも秋からデジタルリリースが活発化します。あとは久しぶりにアルバムを制作中なので今年中には出せるかな。 WCのパーティーは次回10/11(土)です。この日はSalmon名義ですが生ドラムを入れた2人組でLIVEをやります。そしてスペシャルゲストには"RADIO SLAVE"の来日が決定なのでお楽しみに!
HRFQ : それではこれからDJやクリエイターを目指す人たちにメッセージをお願いします。
SALMON : まず楽しむ事が一番だけど、人がやらない事をやって欲しいです。勢いを大切にして下さい!
End of the interview
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