HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Reelpeople Interview


ウエスト・ロンドン・シーンを代表するクラブ・ジャズ・ユニットとして、2000年から活躍を続けている Reel People。クオリティーの高いハウス・ミュージックをリリースすることで定評を得ているロンドンの Papa Records 主宰 / DJ の Oli Lazarus と、キーボーディスト の Mike Patto からなるこの Reel People が、Vanessa Freeman や Phil Asher、Seiji など、多くの豪華アーティストをゲストに加えてリリースした 1st Album “Second Guess” が、今回、ハウス・シーンを代表するレーベル Defected から再リリースされることが決定。そのリリースと、Defected への移籍を記念して、主要メンバーにゲスト・アーティストを加えた8人のメンバーが来日、3公演に渡ってライブ・ショーを行った。今回 HigherFrequency は、来日中の彼らと接触。中心メンバーである Oli Lazarus にインタビューを行った。

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HigherFrequency (HRFQ) : DJとしては何回か来日されていますが、Reel People のフル・メンバーでの来日は今までに何回ほどあったのでしょうか?

Oli (Reel People) : Reel People として来日したのは確か2年前だったな。その時はメンバー4人で来て、バンドというよりは、DJ & PA って感じで、僕とシンガーしか来なかったんだ。それと、去年お台場の東京ビッグ・サイトで行われた Tokyo Jazz Festival…Herbie Hancocks 主宰の Jazz Festival でプレイしたときはフル・バンドだったよ。だからフル・バンドとして来日するのはこれで2回目だね。

HRFQ : 昨年のギグの反響はいかがでしたか?

Oli : 良かった。すごく良かったよ。かなり Jazz っぽいフェスティヴァルではあったけど、6000 人くらい観客が集まっていてね。NHK で生中継もされていたんだ。だから、結構大きいフェスティヴァルだったみたい。ライブの間、観客が座ってるのを見てちょっと心配したけど…僕たちのライブって、みんな立ち上がって踊る感じのクラブ系の音だからさ。でもみんなすごく楽しんでくれたよ。

HRFQ : 結局立ち上がってくれたんですか?

Oli : そう、結局ね。嬉しかったよ。最初は僕と Mike の頭が大きなスクリーンに映ってるのを見て変な感じだったけど。今まであんなに大勢のオーディエンスの前でプレイしたことはなかったんだ。200〜500 人規模の小さくてコアなギグがほとんどだからね。Southport Weekender のメイン・ルームで1000 人の前でプレイしたことはあるけど、6〜7000 人なんて ほとんどないよ。

HRFQ : Reel People のメンバーは、全部で何人なんでしょうか?

Oli : 全部で8人だよ。

HRFQ : 新しい人が参加したり、逆に抜けたりと、メンバーは頻繁に変わりますか?

Oli : そうだね。これがいつも問題なんだ。バンドの中の4〜5人は常にライブに参加していて、バンドを結成した当時からいるようなコア・メンバーなんだけど、その他のメンバーはいつも忙しくてね。だから常に同じラインナップをキープするのは難しくて、ヴォーカリストやドラマーを変えなきゃいけなくなるんだ。

ただ、今回は3人のメンバーと初めて一緒にプレイするんだけど、こういう風にちょっとした変化があるのも決して悪いことじゃないしね。僕らはいいプレイヤーに囲まれていてラッキーだと思うよ。こういったかたちで活動を進めて3年になるけど、もし誰かがプレイ出来なければ、代わりにやってきて素晴らしい仕事をしてくれる人がたくさんいるんだ。僕と Mike は常にいるメンバーで、メイン・ヴォーカリストの Vanessa freeman、そして ギタリストの Leon も常に僕たちと活動してる。それと、セカンド・キーボードとトランペットの Scott Davis を合わせて5人のメンバーがコアなメンバーでその他は誰がプレイ出来るか出来ないかって感じだね。

Reelpeople Interview

HRFQ : 世界中のクラブでプレイされ、コンピレーションにも多数収録された トラック "The Rain" のヒットによって、あなた方の名前はシーンに広がっていくことになりましたね。最近のインタビューで、「自分の周りの環境が少しずつ変化しているように感じる」と話されていましたが、Reel People として新しいスタートを切るきっかけをつくったのは、このトラックだったのでしょうか?

Oli : そうだね。このトラックはファースト・アルバムをリリースしておよそ一年後につくったもので、言うならば、物事を前に進めて、フレッシュに保つためにつくったトラックだったんだ。というのも、1st アルバムを制作する中で、僕たちのサウンドはものすごく発展していてね。アルバム制作の最後の方になって、やっと自分たちの音を見つけたという感じだったんだ。だからアルバムをつくり終えた時は、「クソッ!このまま続けられれば良かったのに」って感じだった。その時点で、自分たちが何がやりたいのか分かってたから、もっと長く出来ていれば、さらに良いものが出来たはずだったんだ。

HRFQ : 満足できなかったのは時間制限があったからなのでしょうか?

Oli : いいや、そうじゃなかったんだけどね。アルバム制作をスタートした時は、自由なコンセプトでつくり始めたんだ。音楽的に好きな方向は分かっていたけど、あえて何でもアリにして、何も怖がらないでただ制作していった。だからアルバムにはレゲエや、ディスコっぽいトラック、それにロックっぽいサウンドも入っていたんだ。だから全体的にソウルフルではあったけど、まとまりがない感じだったね。

今回そのアルバムを再リリースすることになったんだけど、今回リリースするのは初めから終わりまで、完璧にまとまったアルバムなんだ。アルバムそのものに Reel People らしさが表れているような作品だよ。"The Rain" は、新しくスタートを切るような気持ちでつくったトラックだったね。

HRFQ : オリジナルより今回の再リリース盤の方が気に入っているということでしょうか?

Oli : もちろんオリジナルもすごく気に入ってるよ。ただ、今こうして3つのニュー・シングルを加えることで、このアルバムはより一層インパクトの強いものになったと思うんだ。いいトラックがたくさん入っているしね。3つもニュー・シングルをつくるきっかけが出来たことも素晴らしかった。そのおかげでライブ・セットもより優れたものになるしね。Defected から、3つのニュー・シングルのリリース…単にアルバム・カットだけをリリースすることはしたくなくて、アルバムを宣伝するためのシングルをリリースしたかった。そのおかげでライブ・ショーもよりクールなものになったんだ。

HRFQ : 今名前を出された Defectedとの関係はどのようにスタートしたのでしょうか?

Oli : 以前からオーナー兼 A&R の Simon (Dunmore) は知り合いで、彼も僕のレーベルの、Reel People がもともと所属している Papa Records のことは知っていて、僕らの音をすごく気に入ってくれていてね。彼がアルバムをきちんと聴いていたとは思えないけど、一年半の間、シングルやリミックスをチェックしていてくれていたし、3ヶ月ごとに顔は合を合わせて、いろいろ話をしてたりはしたんだ。

昨年、初めてのハウス・ミュージック・アワーズがロンドンで行われて、僕たちも何かの部門でノミネートされていたんだ。確か Best Live Show だったかな?よく覚えてないんだけど、とにかくノミネートされてることが分かった途端、主催者にアプローチして、「ライブ・パフォーマンスをやらせてくれ」って頼んだんだ。会場には音楽関係者がたくさんいるはずだと思ったし、その中で、クラブ系のライブ・パフォーマンスを直に観たことがある人は少ないはずだと思ったのさ。そして、アワーズのオープニング・アクトとして3曲プレイすることになって、アワーズの中でもライブ・バンドは僕たちだけだったから、観客がすごい盛り上がっちゃってね。Simon も以前僕が彼に理解してもらおうと思っていたことを、そこで初めて分かってくれたんだと思う。僕たちのライブを観れば、僕たちの音楽で大事なのは音源だけじゃなく、ライブも重要なんだってことが分かるはずなのさ。

Reelpeople Interview

HRFQ : そうですね。音源で聴く場合とライブで観る場合とで、テンポやフィーリングにどういった違いが出てくるものなのでしょうか?

Oli : 今は以前よりライブも少しクラブっぽい感じになったかもしれないね。実は、今回がバンド編成を変えてから初のツアーなんだ。以前までの Reel People はドラマーも含めた7人編成だったんだけど、今は僕がライブでDJをすることで、クラブっぽい感じに近付けようとしてる。プログラミングされたクラブのビートと生音の融合をね。今でもライブ・セットではドラマーがプレイしているんだけど、僕はバンドの音の上に、エフェクトやサンプル、パーカッションなんかを加えてるんだ。だから音は変わってきているよ。ただ "アシッド・ジャズ" っぽいサウンドにはしたくなかったんだ。'90年代後半に流行った感じのね。僕たちの音は、よくIncognito や The Brand New Heavies と比べられるんだけど…もちろん彼らは素晴らしいよ、ただ僕たちのルーツは、'70年代のソウルであったり、Stevie Wonder で、僕と Mike は、そういった音を聴いて育ったんだ。でも僕はハウス好きでもあるし、DJだしね。だから僕たちの音は、そういったクラブ・カルチャーや、ダンス・ミュージック、'70年代〜'80年代のブラック・ミュージックを融合したもの。それが僕らの音であって、Ingognito や、その他のバンドとは違うんだ。僕たちは常にフレッシュな存在でありたいのさ。今のライブにはすごく満足してるよ。ドラマーにダンス・ビートをプレイしてもらうことは物質的に無理だからね。簡単なことじゃないよ。でも今は現実的にそういった音がライブで表現できてるんだ!

HRFQ : 二枚目のアルバムも Defected からリリースされる予定ですか?

Oli : そうだね。他にもオプションはあるけど。ただ、まだ次のアルバムについては具体的に話を進めていないんだ。今回リリースするアルバムに集中したかったからね。Defected の素晴らしい点は、彼らはハウス・ミュージック・シーンの中でも成功したインディー・レーベルとして知られているし、アンダー・グラウンドな作品もリリースしながら、コマーシャル的な成功もしていること。だから Defected と契約が決まった時も、たくさんの人から、「なんで Defected なの?合わないでしょ?」って言われたんだ。ただ彼らは、契約することで僕たちを 典型的な Defected アーティストに仕立て上げようとしてるわけじゃないしね。そういった方面で彼らはすでに成功してるから、アーティストの幅を広げようと思ったんじゃないかな。かなりエキサイティングだと思うよ。

HRFQ : Papa Records から最新のリリースはありますか?

Oli : たくさんあるよ。実際、ここ2〜3年は Papa Records の仕事に自分の時間ほとんどを費やしてるんだ。レーベルはすごく上手くいっていて、良い評判もあるしね。 Reel People が忙しくてここ18ヶ月何のリリースもしていないけど、2006 年には4枚もアルバムがリリースされる予定になっていて、かなりいい感じになりそうだよ。まずは DJ Spinna のアルバムが3月か4月にリリースになって、これは新しいアーティスト・アルバムだからすごく楽しみだね。最近シェフィールドの Pete Simpson っていうシンガーと契約をしたんだけど、ウエスト・ロンドンのブロークン・ビーツのプロデューサー Dominic と Reel People の Mike が彼をプロデュースして、作品をリリースする。Papa Records のコンピレーションも出すし、Phaze Action もリリースがあるんだ。Phaze Action のリリースは結構あって、2月にニュー・シングルが出て、アルバムもリリースされる。だから来年はかなりたくさんリリースされるよ。僕が A&R という仕事が好きなのは、何かをクリエイトしたり、実現させたりすることで、大きな満足が得られるから。すごくエキサイティングだよね。だからレーベル業も合わせて続けていくことが、僕にとってはすごく重要なんだ。

HRFQ : 先程お話にも出たブロークン・ビーツですが、最近のシーンの状況を教えてください。

Oli : すごくいいよ。シーン出身の僕たちも今こうして Defected と契約したし、Bugz in The Attic も今は V2 Records と契約して、アルバムをリリースするみたいだしね。それに Booty La La もちょうどアルバムのレコーディングの最終段階みたいだよ。彼らが最近リリースしたシングルは大ヒットだったからね。ブロークン・ビーツのレコードで1万枚も売れるなんてすごいことだよ。このトラックは、Trevor Nelson や Pete Tong みたいなDJにラジオを通してたくさんプレイされていたんだ。

だから今、シーンを代表する2つのグループが両方とも大きいレーベルと契約して、アルバムを出そうとしてる。すごく順調にいっていて、音楽が広く認識されるようになった気がするよ。それに、最近になってかなりたくさんのハウスDJがブロークン・ビーツのレコードをプレイしてるんだ。僕はDJとして、ハウスのレコードがかけられないんだよね。ハウスはすごく好きなんだけど、僕のスタイルはエクレクティックなんだ。それが時々、不利になる時もあるんだけどね。

HRFQ : 最後に、日本のファンにメッセージをいただけますか?

Oli : そうだね。日本は本当にすばらしい場所だと思うよ。ここは僕一人でも、バンドとしてもよく来る場所だし、他の場所ではただライブをしているようにしか感じなくても、日本のクラウドの前でプレイすると、そこにいるみんなが自分たちのファンのように感じることが出来るんだ。だからここに来てプレイするのが大好きで、今回もまた来日できて嬉しい。みんなにすごく感謝してるよ。再リリースした "Second Guess" も、みんなに楽しんでもらえて、また来日して、みんなの前でクールなショーができたら嬉しいな。

HRFQ : ありがとうございました!

End of the interview


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