DJ/オーガナイザー PI-GE。'96年に地元大阪にて活動をスタートし、拠点を東京に移した後、'06年に西麻布 Colors Stusio にて現在のミニマルテクノ・ハウスブームを牽引しているパーティー "Organza" をスタートさせる。現在はWOMBに場所を移し、レギュラーパーティとして開催。また同クラブにて Satoshi Otsuki とともに "TRES VIBES" も展開している。DJとしては自身のパーティーでレジデントを務める他、日本では都内を中心に精力的な活動を続け、また近年においては2年連続でドイツ・ベルリンの最高峰のクラブ Watergate への出演や、世界中からビッグアーティストが集う、スイスの Caprices Festival に参加。さらに、制作においては東京を代表するアーティスト Ryo Murakami (Porker Flat)、Sisi (Timothy Really/Real Grooves)と共にレーベル "pan records" を立ち上げ、ワールドワイドな活動を展開している。
今回、Organza が記念すべき3周年を迎えるとあって、当パーティーのDJ/オーガナイザーである PI-GE にインタビューを決行。DJとして世界へ飛び出し、オーガナイザーでもある彼だからこそ感じた日本のシーンに対する考えや思い、世界を視野に入れた今後の展望など、その立ち位置からリンクする貴重な話を訊くことができた。
Interview & Introduction : Midori Hayakawa (HigherFrequency)
HRFQ : では、ダンスミュージックに触れるきっかけは?
DJ PI-GE : もともとロック好きから始まって、バンドやったりロックDJをやったりしてて、その頃から Primal Scream や、New Order、Chemical Brothers だった りが当時新鮮で、どんどんそういった音楽に傾倒していきました。昔はシンセサイザーの音がそんなに好きじゃなかったんやけどね。。。その後たまたま知人を通して「MIX UP」というミックスCDを聴いて、完全にテクノに魅了されていったかな。それからテクノ系のイベントを始めたり、田中フミヤさんのパーティ-に遊びに行ったりしてたかな。MIX UPシリーズが確実にキーポイントだったね。
HRFQ : PI-GEという名前の由来は?
DJ PI-GE : 特にないですね(笑)ノリで決めました。昔、本名の Yasuo でやっていた時代も実はあります。
HRFQ : 近年、2年連続で海外ツアーを行っていますが、そこで感じたことは?
DJ PI-GE : 日本は、例えばカラオケだったりとか、24時間遊べる夜遊びの選択肢がたくさんある国で、クラブが常に盛り上がってるということはないけど、海 外は知ってのとおり基本的に飲むか、クラブに行くかだから。自分でもわかっていたことなんだけどそういう文化の違いを改めて実感したかな。特にベルリンは そういう環境が好きな人達が集まって住んでいるような町だから、日本との違いを感じたね。
あと、日本はストイックに音楽をやっている国なんだなぁと。向こうは”パー ティー”あってのミュージックであって、日本ほどのストイックさは感じなかっ たかな。本当に東京、大阪もそうだけどは特別なんだと思ったね。ある意味そういうところが日本のカッコ良いとこだったりもるし、逆に閉鎖感もあって残念な ところもあるけど、まぁ国それぞれで良いところもあるし、悪いところもあります。
HRFQ : 今年はスイスの Caprices Festival にも出演しましたが、どうでした?
DJ PI-GE : スイスの高級避暑地のスキー場での開催で、若者だけでなく老若男女問わずいろいろな人が参加しているフェスでしたね。アーティストに対しての ケアはすごくよくてびっくりしました。日本の大きいフェスに出たことないんで、違いはわかりませんが。自分がオーガナイザーという裏方的なこともやって いる分、いろんなところが見れてすごく刺激的だったね。勉強になりました。あと場所は最高すぎました。
HRFQ : 都内を中心に様々なパーティーでDJをされていますが、DJの魅力とは?
DJ PI-GE : その都度その瞬間、全てが完璧でないところが面白いのかなと。その時のバランスだったり、気持ちのモチベーションだったりが思いっきりプレイ に出るし、どんなアーティストでも自分の理想100%にこなすDJはいないと思 う。それが逆によかったりするんだと思う。だからこそいいグルーブを掴んだ時 はテンションめちゃくちゃあがるし、過去にこんな感じでやったなーとかプレイバックしたりしてみて、その変化を楽しんだりもしてます。その時にしかないひ らめきや発想、2枚先、3枚先のレコードが見えてくる瞬間は本当に楽しいし、 針が飛んだり、探しているレコードがすぐ見つからなかったりする時はめっちゃ 苦しいけど、あとから考えたらそれもまたおもしろいかなと。
HRFQ : では、Organza のオーガナイザーとして、話をお伺いしたいと思うのですが、まず、Organza が始まった経緯を教えてもらえますか?
DJ PI-GE : 大阪にいる時からパーティーをやってたんやけど、東京に来てからAIRで orgarhythm という Organza の前進パーティーを始めたのが最初かな。今 は無いですが 西麻布の Colors Studio で、Alex Under を呼んでやってみました。当時はこういう類のアーティストを呼ぶ風習があまりなかったし、結果沢山 の人が集まってくれて尚且つ、良い反響がだったから、これを毎月やってみたら面白いことになるんじゃないかなぁと思って初来日のアーティストばかり呼んで 東京のシーンに新しいものを提示していこうと思いましたね。
HRFQ : 今回3周年を迎えるわけですが、変化した点と、変化していない点は?
DJ PI-GE : 変化した点では、WOMBという大きな箱に移ったのが大きいですね。 始まり当初から比べるといろんなパーティーが増えた分、新しいこともやってい かないといけないなぁって感じてます。変化していない点では日本に認知度がなくても Organza に合ったアーティストを人選しているのは間違いないと思います。
HRFQ : 続けていくことで規模が大きくなっていったということは自然の流れですよね。
DJ PI-GE : そうだね。全く予想はしていなかったけど、Colors Studio で築き上げてきた国内外の人との繋がりだったり、産まれたものをそこに貯めておくだ けでなく新しい環境で、新しい人達に魅せていこうと思いましたね。ただ大きくなっても、昔の Organza の”原点”は絶対に大切にしたいから、別の小さいパー ティーをしていこうとは思いますね。
過去に5回、大阪でも Organza をやってきてるんだけど、産まれ育った場所、自分の始まりの場所でもあるから、それも続けていきたいと思ってる。前回も Grand Cafe でやれてすごくよかったね。
HRFQ : これまでの Organza で特に印象深かったのは?
DJ PI-GE : WOMBでの初開催はすごく大盛況に終わって印象に残ってるかな。その時の自分のDJもよかったので。あと、Colors Studio での1周年は、大阪、名 古屋からもアーティストを呼んでみたり、人が入りすぎてライターに火が付かなくなるくらい、みんな汗だくになって踊り狂っているのを見て嬉しかった。本当 にカオスな空間ができてよかったなと思います。あとその時タイムテーブルが朝9時まであったし(笑)GONNO 君の朝7時からのライブセットもフロアパンパン だったし、すごい楽しかった記憶です。
HRFQ : 今後の展望は?
DJ PI-GE : 正直外タレありきなパーティーを作り上げてしまったことは、 Organza のいいところでもあり悪いところでもあると思っているけど、人との繋 がりや海外との繋がりを作ったパーティーであることは間違いないと思ってるし、それをこれからいろんな方向にどう広げていくかが重要だと思ってて、来年 はできれば海外でも開催したいと思ってます。それを皮切りに東京のパーティー も海外でやることが主流になっていけばいいなと思います。
DJ PI-GE @ WOMB
HRFQ : 今注目しているアーティストは?
DJ PI-GE : いっぱいいすぎて困る(笑)日本人だと、DJで Yone-Ko 君はオリジナルなブランドを確立してるいいDJだと思うな。あと今後レーベルを一緒にやっていく Ryo Murakami くんは世界に通用するプロデューサーだし、あとは DJ Sodeyama くんや別のパーティで一緒にやってる Satoshi Otsuki くんかな。海外だと、若手はドイツの Baaz や Michael Merchner、スペインの Kasper かな。仲がいいアーティストだと Reboot、Mathias Kaden はもう売れっ子だけど好きですね。
HRFQ : ダンスミュージックに興味を持つ次世代の人達に伝えたいことは?
DJ PI-GE : パーティーをもっと作っていってほしいかな。小さいところからで もいいからフライヤーを作ったり、どうしたらいいものができるのか話し合った り。そこから生まれる人との繋がりだったり、将来の方向性を見出していってほしい。シーンはもともとあるものではなくて、自分たちで作るものだから。シーンがよくないと思ったら作ってやり続けることが大切だと思う。あとレコード屋に週1回通って欲しいかな。これだけレコード置いてる東京はすごいから。
HRFQ : 今の日本のシーンに思うことは?
DJ PI-GE : アーティストだけでなくて、プロモーター、つまりパーティーを作り上げる裏方がもっとプロフェッショナルになっていってビジネスとして確立していけば、もっとよくなると思います。昔はあったのかもしれないけど、今の日本にはそういう体制が整っていないのが現状で、それを変えていかないといけな いと思いますね。簡単にはいかないのはわかってますが。。。
HRFQ : 目標にしている人はいますか?
DJ PI-GE : アーティストとしてだけでなく、レーベル運営やエージェント業、若手のアーティストの発掘などトータルでみて尊敬しているのは Sven Vath や Luciano かな。
HRFQ : 最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。
DJ PI-GE : パーティーに行く前に、フライヤーを見たり、出演するアーティストの音を聴いてみたり、自分なりにパーティーに行く動機を作ってほしい。そし たらもっともっと楽しめると思う。今回の Organza 3周年、外タレも日本人も素晴らしいアーティストが出演するので、関東の方はWOMBで、関西の方はGRAND cafe に是非遊びに来てください。あと、両日来るのもアリです。
End of the interview
Organza 3rd Anniversary Dumb-Unit vs Vakant Night
Organza 3rd Anniversary meets Dumb-Unit vs Vakant Night
2009年8月21日 (Fri) @ WOMB
Door : Y4,000 _ W/F : Y3,500 _ Clubberia Member : Y3,000
LINE UP :
【2F】 Organza
DJ PI-GE
JEREMY P. CAULFEILD (DUMB-UNIT)
TOLGA FIDAN - LIVE (VAKANT / COCOON)
【4F】 Organza Friends
YONE-KO (CABARET / RUNCH)
NOP (DIAL / FUSION)
ZUYACK (TIMOTHY REALLY)
KUNIMITSU (Tetra LogisticS / Osaka)
【1F】 freebase
suganuma
mitchelrock
TAK-03X
Organza 3rd Anniversary meets Dumb-Unit vs Vakant Night
2009年8月22日 (Sat) @ GRAND cafe
Door : Y3,000(1d)
LINE UP :
DJ PI-GE
JEREMY P. CAULFEILD (DUMB-UNIT)
TOLGA FIDAN - LIVE (VAKANT / COCOON)
DJ SODEYAMA - LIVE (ARCHIPEL / NO MORE REC:)
SHIRAKAWA KUNIMITSU
【KRAUSS LOUNGE】
yodaHaruka
KEnJI
ABROCK
himeee, and more
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ニュース : スイス Caprices Festival '09 が開催 (2009/03/09)
Mix Show : Yone-Ko (2009/07/03)
関連リンク
DJ PI-GE Myspace page
Organza Myspace page
WOMB Official Site
GRAND cafe Official Site